タ イ 北 部 と ベ ト ナ ム を 巡 る  43
ミトーはフーティウ発祥の地
ベトナム  13   4月19日(火)
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1.賑わっているタイビン市場で朝の食事

バインフランと寒天を売っている美人のお姉さん(当時)はいなかった。浜井幸子さんの『たっぷりうれしいベトナム』に、この人は市場の店としては珍しくよく休む、と書いてあった。
浜井さんは、”す”がいっぱい入った美味しいバインフラン、と言っているが、この前食べた時は”す”はそれ程入っていなかった。技術が上がったのか、それとも質が落ちたのか。特別な味のようには思わなかったが、美人である事がそれを補完していた。

朝のタイビン市場はかなり混雑していた。それでもみんなが助け合って切り盛りしているようだ。こんな中に入ったら、自分が食べたいメニュがある屋台の近くへ先ず座る事だ。すると誰かが心配して聞いてくれる。
私は屋台が混み合っている真ん中の辺りで座った。すぐ前の屋台のおばさんが注文を聞いてくれた。適当に言ってみた。出てきたのはやたら具の多い麺料理だった。もう何が入っているのか見当もつかない。
それでも良い味で美味しかった。辺りを見渡してもみんな同じような物を食べていた。


タイビン市場は屋内よりテントやパラソルの方が活気がある。生鮮物は何でも売られているが、私は果物が気になってよく見て回る。今日もいっぱい並んでいる。ザボン、シュガーアップル、マンゴー、ドラゴンフルーツにバナナ等だ。
この市場に来る途中の道端でもおばさんがミカンやココナッツを売っていた。




2.コープマートから歩いて行くが2番バスはベンタイン方面ばかり

タイビン市場から大きな交差点をコープマートの方へ歩く。2番バスのルートに沿って行ってるのだがバス停が見つからない。イオンの店も通り過ぎて歩いて行く。2番でもベンタイン方面行きのバスは何度か見かけるのだが、ミエンタイ行きが来ないのだ。この辺りでは路線が入組んでいて上りと下りが必ずしも同じでない事は知っていたが、ここは同じな筈だった。
ベンタイン方面のバス停の向かい側でしばらく待ったが全く雰囲気がしない。仕方なくやって来た2番のベンタイン行きに乗った。


ベンタイン・バスターミナルからミエンタイ(Bến Xe Miền Tây)へのバスは2番と39番だが、何度乗ってもどちらが早く着くか分からない。39番は川に沿った広い道路を走るが距離がありそうで、一方の2番は市街地の賑やかな通りをジグザグで進むのだ。
39番が先に来たので乗った。
ミエンドンもミエンタイも慣れない者には分かり難い。チケットを買おうと思っても、行き先別ではなく運行会社別になっているからだ。あちこちでミトーと書かれている。バス会社が違うから料金も変わってくるのだが、ミニバスなのか大型なのか高速道路経由なのか、何度か経験しないと分からないのだ。ベトナム語を話せれば何の事はないが。

私は60.000のチケットを買った。高校生位の男の子も同じようにミトー行きを買っていた。バスについて聞こうとした窓口の人が、この男の子と同じだから、と言った。彼について行けと言いたいのだろう。
少し話した後、バスのいる駐車場の方へ歩くと、彼は「フォローミー」と言ってバスを探し始めた。あちこち広い駐車場を歩いた。彼もよく分からないようで、所々で聞いているのだが見つからないようだ。バスがいれば、「ミトーはこっち」とばかり案内されるのだがいないようだ。
しばらく歩くと彼も真剣な顔に変わっていた。そしておじさんに言われたのは「まだ着いていないから、しばらく待つように」だった。チョッと落ち着いて日本の話などしながら待った。

小さめのバスがやって来たので乗り込んだ。席が分からなく男の子と一緒に一番後ろの席に座った。これでしばらく話ができると思ったのだが、乗務員に呼ばれた。「真ん中で窓側の席が空いているから来い」と言っているのだ。しかも辺りの乗客さえもが「その席へ行ったら」と勧めてくれるのだ。若しかして座席指定だったのかも知れない。
バスは何度か停車した後、ミトーの高速道路に入りスピードを上げた。



3.フーティウの店『トゥイットガン』は何とお昼休み

ティエンジャン・バスターミナルに着き、帰りのバス便をチェックしておいた。このターミナルのすぐ近くにCO-OPの店がある事は知っていた。店の前にあるあのカフェへ行ってみよう。壁際にテーブルを並べ何本ものパラソルが立っているカフェだ。床の高さを2段になるよう後席を高くしてある。客は壁を見ているわけにもいかないので、全員外側に向くようにイスが置かれている。
このカフェはドリップを付けたまま出てくる。蓮茶を入れてくれるベトナム独特のサービスもある。ゆっくり抽出されたコーヒーは濃くて香りも良いが、氷を何度かき回してもなかなか薄まらない。
店員のお兄さんが二人いたので声をかけてみると一人が逃げて行った。もう一人にフーティウの店『Tuyết Ngân』の場所を聞いてみた。すると、ここからはそう遠くないみたいなのだ。歩いて行けそうだった。


ミトーはフーティウ発祥の地と言われているだけあって、市内にはたくさんのフーティウの店がある。フーティウは乾麺を使うからフォーとかブンと違って強いコシがある。韓国のネンミョンのように感じる時もある。ネンミョンはそば粉にでんぷんを加えて茹でるが、フーティウは米粉の麺で、乾燥させるまではフォーと殆ど変わらない。
『Hủ Tiếu Tuyết Ngân』はTVで見ただけなので詳しくは知らないが、地元の人たちが美味しいと言っていた。

ホーチミン市では『Hủ Tiếu Nam Vang Quỳnh』のフーティウ・ナンバン・コー(カンボジア風、具材がいっぱいの汁なし麺)がとても美味しいが、この本場ミトーでも食べないといけない。

ゆっくりした後は、Ấp Bắc 通りを歩いてトゥイットガンまで行ってみた。。ちょうどお昼休みで鉄格子が閉まっていた。隣の店にいた警備員に聞いてみると15時からだと言われた。あと30分だが、かと言ってじっと立っているわけにもいかない。



4.大きい公園を歩いてメコン川までたどり着く

この通りをしばらく歩いてみた。歩道にバス停があり路線図が書かれている。市街地の中心部を通りティエンジャン方面へ行くバスが3路線あった。これで戻るのは安心だ、どこからでもバスに乗れる。

しばらく行くと大きい公園に出た。正面にオブジェがあって道路はこの公園で左右に分かれていた。向こう側に長方形の大きな池がある。周囲には木が植えられていて日陰で座れるようにもなっている。更に歩いて行くと4車線の広い通りに出て、その向こうには褐色の巨大なメコン川が流れていた。

しばらく河畔に立ってメコンの風景を眺めていた。水がきれいなわけでもないし、特に何があるわけでもないが、なぜか惹かれるものがある。チベット高原に端を発し多くの国を流れて、やっとこの河口の町ミトーまでやって来たのだ。
この旅でもタイ北部の町・チェンセーンでメコン川の雄大で力強い流れを見た。あれからこの川は何キロ下ってきたのだろうか。

以前、この辺りは一度歩いた事があると思うのだが、途中までバイクだったのでチョッと感じが掴めない。もう少し西側でバイクを降りたら小さな市場があった。向かい側にトイソン島やフーン島が見え、その場所では川幅も広がっていたようだ。



5.フーティウの店『Cây Bồ Đề』で本場の味を

さてフーティウの店に行こうと大通りまで戻って来てスマホの地図を見ていると、近くにフーティウの店があった。『Cây Bồ Đề』と言う店のようだ。この Nam Kỳ Khởi Nghĩa 通りにある。

Hủ tiếu chay Cây Bồ Đề』水色の看板が出ていた。店先では鉦を吊った移動式の屋台でおじさんがパンを売っていた。入り口にはバイクが並んでいてきれいな店に見えた。

店内は深みのある茶色のテーブルが2列で奥の方まで置かれている。床も磨かれていて清潔感がある店だ。メニューはいろいろあると思うが「フーティウを」とだけ言ってみた。すぐジョッキに氷がたっぷり入ったお茶を持ってきてくれた。
しばらく待って出てきたフーティウは厚揚げや野菜がたっぷり盛り付けてあった。何ともボリューム感がある。ただ、エビとかレバーとかすり身団子が入っていないのだ。ライムを絞って食べた。薄味でチョッと物足りなさもあったが、ミトーの本場で食べていると思うとそれなりに美味しく感じるものだ。
後で調べてみるとHủ tiếu chayと言うのはベジタリアンを意味するようだ。Cây Bồ Đềは菩提樹となっていた。



6.女の子が立ち上がって、ついて来るよう指で合図した

店を出て、今度はナムギーコイギア通りをバス停を探しながら歩く。トゥイットガンは次回にしよう。
右側の通りの奥にバスが見えた。何ともカラフルでオレンジと黄色が目立つバスだ。この場所が始発なのか時間調整なのか停まったままだった。大きな病院のすぐ前にあるバス停のようだ。
乗客はかなり多い。「ティエンジャン?」と確認して乗った。
後ろの席がいくつか空いていたので何とか座ることができた。隣に座っている女の子にもう一度ティエンジャンを確認した。料金を聞いてみると7.000ドンらしい。しばらくして車掌がやってきて、どこまでか聞いた。すぐその女の子が「ティエンジャン」と言ってくれた。
ベトナム女性は小柄でスリムな人が多い。しかも若い人はほぼ全員、目の下まである大きなマスクをつけている。そしてそのデザインが自己主張するファッションのようでもある。そんな事で誰もが美しく見えるのだ。

私はスマホのアプリで、走行中の場所を時々確認しているが、ティエンジャンが近づくとその女の子が立ち上がってバスを止め、ついて来るよう指で合図をした。



7.チィエンジャンからのバスは間引き運行

切符売り場で次のミエンタイ・ターミナル行きを聞いた。すると16時40分らしい。28,000の切符を買った。来る時が60,000₫だったからかなり安い。と言う事は高速道路には入らない普通の路線バスのようだ。 奥の片隅にあるトイレへ行った。ここは2,000ドンだ。

駐車場の方に出ると「このバスだ」と教えてくれる。大きなバスだが客はあまりいない。定刻になっても一向に動きそうにない。しばらくすると、乗客がみんな一斉に立ち上がったので近くの人に尋ねてみた。すると「バスが変更になったから乗り換えるよう言っている」との事だった。すぐ隣に横付けされている小さなバスだ。

だがこの乗り換えたバスとてすぐには動かない。1本間引きされて次の発車時刻まで待つようだ。何とも大らかな路線バスだ。特に珍しい事でもなさそうで、みんな静かに待っている。

乗り降りを繰り返しながら進んでいたバスが、ホーチミン市に入ると渋滞のようでスピードが落ちた。
ミエンタイに着いたら18時30分頃で、すっかり暗くなっていた。ホーチミン市のバスが何時まで走っているのか知らないので不安だ。バスを降りたら、すぐ2番と39番を探した。2番の方が良かったが、39番が2台並んで停まっていた。運転手にどちらが先に出発するのか尋ねて乗った。
このバスはしばらく動かないでいたのだが、目の前を2番が通り過ぎて行った。最終バスの時刻を知らないとやはり不安だ。
公園横のファングーラオ通りをを歩き、途中、サークルKに寄って買い物をした。





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タイビン市場前の広場にはテントの店がぎっしり並んでいる。



路上の荷車でマンゴーを売っているお兄さん。1kg15,000₫と書かれている。


【ベトナム麺の主な種類】
原料とか製法で分類するとこんな風になる。

1.フォー(phở)
 米粉の麺。米粉を水で練り蒸したものを細く切る。
2.ブン(Bún)
 米粉の麺。米粉を水で練り穴から押し出し茹でる。
3.フーティウ(Hủ tíu)
 米粉の麺。フォーの製法で一旦乾燥させ細く切る。
4.ミー(Mì)
 小麦粉中華麺。
5.ミエン(Miến)
 春雨の麺。(ブンタウは緑豆春雨)
6.バインカン(Bánh canh)
 米粉とタピオカでできた麺。
7.カオラウ(Cao lầu)
 ホイアンの井戸水と小麦粉で作った麺。コシがある。
8.ミークアン(Mì Quảng)
 米粉の麺。ベトナム中部の麺料理。ピリ辛。



ミエンタイはこのパン売りのおばさんが活躍している。売っているのは全部バゲット。美味しい。



フーティウの美味しい店と言われているトゥイットガンはお昼休み中だった。



この人は何を売っているのだろうか。見た目では分からない物も多い。



大きな湖の畔にはきれいに整備された公園がある。日陰は市民の憩いの場になっているようだ。



メコン川もここではかなり穏やかな流れになる。この赤茶けた水には何か力強さを感じる。



フーティウの店『Hủ tiếu chay Cây Bồ Đề』だが、ベジタリアン御用達のようだ。



オレンジと黄色で彩色されたカラフルなミトーの市内バス。大きな病院の前にバス停があった。



ミトー・ティエンジャンからメコン川まで(Google map)