タ イ 北 部 と ベ ト ナ ム を 巡 る  10
山深いお茶の里メーサローン
タイ  8   3月17日(木)
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1.バスターミナルから乗ったワゴン車の行き先は

メーサローンへはどの位かかるか分からないので、7時にホテルを出てバスターミナルに7時10分頃に着いた。ここは工事中で時刻表もプラットホームもなく雑然としている。

バスターミナルの奥に入って行くと係員がすぐ声をかけてきた。「メーサローン」と言ったら「メーサローンはこっち」とばかり案内された。タイではロットゥーと呼ばれるワゴンタイプのバスだ。これはグリーンバスの所属になっている。
若しかしてこのバスでメーサローンまで行けるのか。これはラッキーだ。今から出ればまだ朝市に間に合うかも知れない。それでもあんな山奥なのに、おじさんが言った30バーツは安すぎると思った。
10人くらい乗りほぼ座席が埋まったところで7時20分に出発した。エアコンのよく効いたロットゥーは軽快に走り、途中の町メーチャンに着いた。本来ここで乗り換えする筈なのだが、私はこのバスがメーサローンまで行くものだと信じている。何人かの客を降ろして再び出発した。バスは国道に戻りスピードを上げた。どこから山道に入るのだろう。私は辺りを気にしながら見ていた。
10分も走っただろうか、突然バスは国道の道端に停まり、運転手のおじさんが手招きした。「メーサローンこっち」と呼ぶのだ。嫌な予感が的中してしまった。バスを降りると対向車線に同じロットゥーが停まっていた。あのバスに乗り換えるよう言われ誘導された。おじさんはやっと私のメーサローンを思い出して対向車と連絡をとってくれたのだ。
8時45分、バスは再びのメーチャンに着いた。ここからメーサローンへのソンテオは9時だと聞いたが、人数が揃わなければ出発しない筈だ。かなり時間のロスになってしまった。それでも気がついてくれて良かった。



2.メーチャンからのソンテオは急な坂道を登って行く

5人集まったところで時間もきたので出発してくれた。メーチャンを出てしばらく田園地帯を走ると、山道に入った。乗客は少しづつ降りていき、深い山間に入った頃には、ついに私だけになってしまった。
カーブが多くなり、坂道も急になった。ソンテオのエンジンは壊れる寸前の音になっている。尾根道を走っていると、片側は崖で深い谷になっている。かなり標高の高い場所に来たようだ。

急にソンテオが左側にある広場に入った。9時50分、おじさんが「30分休憩」と言うのだ。そんな事をしていたらお昼までに着かないじゃないか。私はそう思うのだが、おじさんは店の中へ消えた。こんな山奥じゃ言われるままにするしかない。
広場には商品をいっぱい並べた店や、休憩所のような建物があった。トイレも片隅にあるようでチョットしたドライブインだ。黄色のソンテオが2台停まっていて、今乗ってきたような濃い緑色のソンテオは4台停まっていた。ここがどこなのか分からないまま道路に出て少し歩いてみた。するとすぐ先は分岐になっていて直進がター・トーン、右がメーサローンと書かれている。この分岐は検問所になっていて警察官が何人もいる。

しばらくして坂道をソンテオがまた1台上ってきた。乗客は停まっている黄色いソンテオに乗り換え始めた。何とここはそんな場所だったのだ。1台はター・トーン、もう1台にはメーサローンと書かれていたのだ。
私もメーサローンのソンテオに乗った。ソンテオが替わった事でここからは別料金になった。
頑張って朝7時にホテルを出たつもりだったが、無駄な時間が多くお昼になってしまいそうだ。
ここからも再びつづら折れの道が続いた。山の中腹に村が見えてくると、もうすぐ着きそうに思ってしまうのだが、そんな思い違いが何度もあって、やっとメーサローンに着いた。ここで降りるように言われたのは、広い駐車場で周りに店がいっぱい並んでいる場所だった。ソンテオはそのまま走り去ってしまったが、村はもう少し先のようだ。



3.メーサローンは茶畑の広がる静かな山間の村

この店が並ぶ広場にはもう一度来るとして、村の方へ先に行きたかった。曲がった道は下りになっている。山の中腹の斜面を削るようにして造った村だ。辺りはバナナ以外は雑草のようだ。きれいに整地されている農地にはお茶が植えられている。

ここは中華系の人達が共産勢力から逃れてきて住み着いた村で、タイ政府は武装解除を条件に国籍を与えた。そんな経緯がある村だ。看板などは漢字表記が殆どで、タイの村のような雰囲気はしない。
村の集落に入るとお茶屋さんが多くなった。みやげ物用としてきれいな容器に入ったお茶がたくさん売られている。試飲の為なのかカフェなのか店先にテーブルも備えている店が多い。
こんな村を歩いていると、台湾の『猫空』で茶芸館が山の中に点在する地域のような錯覚する。通りに面してはとにかくお茶の店がやたらと多いのだ。

この地形からするとお茶の栽培には適した場所のようだ。スリランカのウバ茶の産地で、霧に包まれた山間の茶畑も彷彿させる。この標高ならお茶の他、コーヒーの栽培にも良さそうだ。
コンビニがあるこの辺りは家が密集している。平な土地ではないが、かと言ってそんな場所はここしかなさそうだ。
村の中をあちこち歩いてみた。茶畑があればそれなりの収入があるように思うが、質素な生活をしているようだ。集会場のような建物に村人がいっぱい集まって、共同で何かの作業をやっていた。
こんなにもお茶の店が多い村なら、ゆっくり銘茶でも味わいたいところだが、私は帰りのソンテオが気になってどうも落ち着かない。村から出るソンテオはいつまでもは走っていない気がするのだ。
インドネシアのジョグジャカルタで、ムラピ山の麓の村へアンコタ(軽のワゴン車のような乗り物)で出かけた時、15時頃なのに乗り場へ行ったら「もう今日の便はない」と言われたのだ。その日は仕方なく夜の街道を何時間も歩いて町まで帰ったのだが、その事がトラウマになっていて、ここでも落ち着かない。



4.みやげ物屋が並ぶ広場では民族衣装の女性が

ソンテオの乗り場や時刻を聞いてみようとしたが、どうも言葉が通じない。再びあのみやげ物広場へ行ってみる。そう遠くない、坂道を上がって行けばすぐだ。お茶の店を横目に見ながら歩いた。

みやげ物は勿論お茶が大半で、他には山岳民族の工芸品だ。派手な色合いの袋やネックレス、人形などの小物が多い。テント張りの店には近くの村から買い物に来る人もあるようで衣類の店とかもあった。

民族衣装を着たおばさんが「これ買って」とばかりに声をかけてきた。よくよく見るとそんな衣装のおばさんがやたらと多いのに気がついた。ここは中華系だけでなく少数民族の方も商売に来ているのだ。
小さな女の子が買い物かごに何やら入れて売りに来た。誰も買ってくれないのか元気がない。覗いてみると、人形のような小物で民芸品みたいだ。「買って!」と言われたが欲しいものはなかった。女の子は他へ歩いて行ったが、しばらくしてその様子を見守る女性がいたのに気付いた。母親なのか雇い主なのか。欲しい物はなかったけど何か買ってあげたら良かったのに。後でそう思った。
観光客はやって来てここに車を停める。白い石碑の所で、数字を指さしたり記念写真を撮っている。これは何なのだろう。タイ文字の下に895と書いてあるのは標高なのか、この場所を起点にどこかまでの距離なのか。


近くに案内所を見つけた。ソンテオの事を聞いてみると、時間は分からないがこの近くで待っているよう言われた。ここで停まってくれるようだ。チョッと安心だ。何たってここからメーチャンまでは歩いて行けそうもない。



5.メーチャンを散策、市場は山岳住民の買い物場となっていた

黄色のソンテオには乗る事ができた。帰途は少しだけ心に余裕ができる。辺りの景色を眺めながら村の生活を考えてみた。再びあのドライブインでソンテオの乗り換えがあった。

メーチャンに着いたのは14時頃だった。チョッと時間に余裕を持たせ過ぎたかも知れない。それでも再びあの村を訪ねるなら今度は宿泊しようと思う。そうすればゆっくりお茶を楽しむ事ができる。

メーチャンは国道から少し入った場所が市街地になっているが、メーサイやチェンセーン方面の路線バスはここに立ち寄ってくれる。
あまりにも時間があるので、この町を歩いてみる事にした。ここには大きな寺院と市場があったようなのだ。市場の入り口は、このソンテオ乗り場の横にある。間口の狭い路地なのだが、入って行くとッ徐々に店が増えてきてテントの市場に着く。
中は少し薄暗くあまりきれいな市場ではないが、青果物などの鮮度は良さそうだ。細い木材で組まれ上はトタンやテントの屋根になっている。日用雑貨もたくさん揃っているようで、民族衣装を着た山岳民族の方が買い物をしていた。
市場は橋の手前までなのだが、その先の方にも店があったので歩いて行くと、デザートの店と食堂があった。
お腹も空いていたのでその食堂に入った。
お勧めを聞いて、カーオ・マンガイにした。惣菜屋でぶっかけ飯ばかり食べていたので、こんなメニューは久しぶりだ。白いササミ肉は美味しかった。
川沿いに青いソンテオがいっぱい停めてあった。気が付けばぐるっと一回りしたようで、市場に戻ってきた。
ソンテオの通りには、近くの村から買い物にやって来たような集団がいた。

チェンラーイ行きのバスはすぐやって来て、もう帰る事にした。
山道を過ぎると警察の検問があった。タイでは、パスポートはすぐ出せるようにしておかないといけない。


ホテルに帰り、次の予定地ランパーンのホテルの予約を確定しておいた。



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この先はメーサローンとタートーンとの分岐点。検問所になっている。



メーサローンの村に入り




この辺りに平地は殆どない。山の斜面に造られた村なのだ。目立たないようにした暮らしぶりが窺える。



コンビニはあるが、まだこのような販売が主流なのかも知れない。



きれいなお茶屋さんもいっぱいあり、ここはお茶の村だ。台湾の猫空のような雰囲気がする。



みやげ物の店が集っている広場で、民族衣装のおばさんが買ってと声をかけてきた。



物売りの少女が手に提げたかごの中には、小さな人形のような物が入っていた。



観光地になった村には、お土産を売る店が所狭しと並んでいる。



帰りもこの山道を下って行く。崖っぷちの尾根道を走る事もある。



この建物の間が市場への入り口。どうりでソンテオの発着場もこの辺りだ。