タ イ 北 部 と ベ ト ナ ム を 巡 る  15
メーソートにはタナカ美人が
タイ  13   3月22日(火)
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1.ターク経由のバスは深い山の中へ

ランパーンのバスターミナルまでやって来て、チョッと様子を見ておいてから、すぐ前のセブンイレブンに入ってパンや飲み物を買った。プラットホームに戻りベンチで食べた。日本だとサンドイッチとか『おにぎり』だが、ここには適当な物が無い。

チェンマイ行きの案内が聞こえてくる。やはりチェではなくシェだ。夜行列車に乗っていた時も、車掌はシェンマイと言った。タイでは殆どがタイ語表記になっているので、それが読めないとかなりプレッシャーとなる。市場の売価でも1個売りなのか1kg単位なのかさえ分からないのだ。その点ベトナムはアルファベットに近い表記だから、読めるし意味も分かり易い。ただベトナム語は発音が難しく殆ど通じない。ところが反対にタイでは発音は適当でも通じたりする。

バスは驚きの定刻より5分前に出発してしまった。発券済みの客が全員揃ったのだろうか。少し走った所で、赤土の狭い路地に入った。乗務員が降りて私用をしているようだ。タイではそう珍しくもない光景。ガソリンの補給とて営業運転中に行う。
バスは冬枯れの国道をひたすら走る。雨季には緑が回復するのだろうか、心配な位に枯れ果てている。そして黄砂でも降っているかのような天気で、遠くの山は霞んでいてよく見えない。タイ北部では真昼以外はこんな状態はよくある。うっすらと曇ったようになるのだ。この国道はアメリカの郊外を走るフリーウェイのように、上・下線の間にかなりの間隔があけられている。


市街地ではない場所。辺りに何も無く雑木林が続いているだけの所に、警察のチェックポイントがあった。ここで警官が乗り込んできた。
11時25分、ガソリンスタンドに入った。その奥でバスが停まりトイレ休憩となった。降りる前に乗務員がチケットの確認にやって来た。外はかなり暑そうだ。売店が何軒か並んでいる。給油も済ませ、45分になって出発した。
広い大平原をまっすぐ走って行く。辺りには農家がパラパラ点在しているように見える。国道沿いのガソリンスタンドにはよくセブンイレブンが併設されている。基本に忠実な出店だ。この北部地域は日系のコスモ石油のスタンドもあるようだ。

バスはタークに到着し、荷物をたくさん降ろしている。東南アジアでは旅客用のバスでも荷物輸送をやっている。ラオスだと通路も天井もいっぱい載せて走るのが一般的だ。豚から鶏からバイクまで何でもありだ。

12時55分、タークのバスターミナルを出発した。タークを出るとAH2からAH1へ、右に大きくカーブする。そして徐々に山道へ入って行く。広い国道から別れた道は2車線の道へと変わる。カーブが続き急な上り坂になった。辺りはあちこちで焼き畑の煙が上がっている。道路脇の火は雑草を除くためのようだ。焼き畑とは意味は違うが焼いた方が楽なのだろう。

バスのスピードが落ちた。前を大型トレーラーが走っている。もう停まる寸前のスピードだ。エンジン全開でも進まないのだろう。2車線の道路は、前を行く車のスピードに合わさざるを得ないのだ。それに
この山間の道路はあちこちで拡幅工事が行われていて、それによる渋滞も発生しているようだった。

このAH1(アジアハイウェイ1号線)の道はインドシナ半島の東西回廊として注目されている。ベトナム・ダナンからタイの中部を通ってミャンマーに至る産業道路になる。経済発展に伴ってより重要さが増し、あちこちで拡幅工事が行われているようだ。

このバスのエアコンはあまり効いていないようで、脂汗で顔がべたついている。それに前の席と後ろの席の人がゴホン、ゴホンやるのだ。もう勘弁して欲しいところだ。隣にいた女性はタークの手前で降りてしまっていた。

山道が峠に近づくと辺りの山林が緑色に変わった。雨が多いのか樹種の違いなのか。そして標高を下げるとまた冬枯れの茶色に戻るのだ。


2.ミャンマーとの国境の町でタナカ美人に会う

広い国道でバスが停まり、「メーソートはこちら」とばかり前の方から呼ばれた。市街地の中を走って行くとばかり思っていたのだが、国道脇で降ろされてしまった。スマホの地図とGPSで確認していたがここで降ろされるとは思わなかった。
そしてバスは空港近くにあるバスターミナルへ向けて走り去った。市街地へ向かう人はここで降りるようで、何人もの乗客が降りた。ここは大きなロータリーがあって三叉路になっている。この国道は『AH1』だから、この先はミャンマーとの国境になる。
地図を頼りに市街地へと向かって歩いた。この近くには市場があるようで、そんな雰囲気の店が多い。道端の店を覗くと、タナカを塗った女性がいた。

日本人が聞くと名字のようでチョッと変な感じがする『タナカ』だが、ミャンマー人は日焼け防止用として顔に塗っている。頬っぺたが白くなっている人を見かけると、洗い忘れたような面白さがあったり、チョッとチャーミングさもあったりする。
タイ人は使わないから、この国境の町で見かけるタナカ美人は、ミャンマーからの出稼ぎの人や移り住んでいる人、タイへ買い物に来ている人たちである。

郵便局を確認して、このインタラキーリー通りを歩いてホテルへ向かう。まばらに商店のある、市街地の外れのような場所だ。小さな橋を渡ると、ツーリスト・ポリス・ステーションがあった。そしてすぐ先の路地の入口に、ホテルの案内板がかかっていた。

ホテルは通りから路地を入った閑静な住宅地の中にあった。通りに案内が出ていたので気が付いたのだが、チョッと分かり難い場所ではある。
ホテルのチェックインは簡単だった。Webで支払いも済ませているので名前を確認するだけでよい。

ベランダが付いている2階の、清潔できれいな部屋だ。明るく広くて、ベッドも大きい。ベランダからの眺めはあまりパッとしないが、衣類を干せるのが良い。エアコンを停めて窓を開け放した。
私はTVは見ないのに、電源を入れてくれた。『一休さん』をやっている。『琵琶湖』の文字が懐かしい。しばらく休んでいた。


3.夜の繁華街、夕食は屋台風の店で

午後5時30分頃になって、出かける事にした。
フロントで夕食はどこが良いか聞いてみた。すると、「近くにナイトマーケットがあるから、そこに行ってみたら」と教えてくれた。
場所はよく分からないが、ぶらっと街歩きに出かける。

寺院の手前に三叉路があり大きな案内板が立っていた。左が役所、テスコ、市街地の通りに出られる。歩き方の地図には、この先に赤い斜線でナイトマーケットと書かれている。左の奥にある役所の表示はここからでも読める『MAESOT DISTRICT OFFICE』の文字だ。

チョッとテスコに寄ってみた。テスコのすぐ横は広場になっていてテントがたくさん並んでいる。飲食屋台がいっぱい集まっているエリアだ。まだ客は少なく準備の真っ最中だった。
この『TESCO Lotus Express』はテスコのコンビニ業態だ。セブンイレブンと比べると、商品構成も商品管理も雑であまり良くない。それに営業時間も6時から午後10時30分になっている。

地図に入っているナイトマーケットに着いた。ライトはいっぱいあって明るいが、そんなに賑わっているような場所ではなさそうだった。飲食店が並び屋台も何台か出ている程度だ。ただ、高級そうな感じはしないのに高価なメニューが並んでいる店もあった。奥の方まで歩いて行くと、薄暗くて侘しい感じがする。壊れかけた家が並んでいた。


あちこちの店で、客が食べている物を見て回ると、食べられそうな店があった。その客に「センヤイ?」と聞いてみた。店に入って、おばさんに「あれと同じものを」と言った。それなりにメニューはたくさんあるのだろうが、詳しくは分からない。おばさんはオッケーしてくれた。さてどんな物が出てくるのだろうか。水が欲しいと言ったら、氷の入ったコップをくれた。水はテーブルのジャーにあった。

確かにセンヤイっぽいが更に巾が広い麺だ。具材はと言えば、イカ、すり身団子、固く焼いたタマゴ、血を固めたようなものに空心菜。赤い不気味な汁をかけてある。チョッとピリ辛だけど、まずまずの味だった。同じものでも高級レストランなんかだと、凄く美味しく感じるかも知れない。
夜のメーソートはオレンジ色の街灯がパラパラ点いていて寂しい感じがする。私は以前、ルアンパバーに夜着いた時の事を思い出した。ここと同じような大正ロマンの雰囲気の街並みだった。




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ランパーンからタークへは平坦な道が続く。辺りは冬枯れの様相だ。



ランパーンからターク経由メーソートまで、グリーンバスで移動 (Google Map)



タークのバスターミナルは国道1号に近く、交通の要衝となっている。



タークから峠を越えてメーソートに向かう途中には、このような岩山が現れる。



市場近くの通りに並ぶ、トタン屋根の日用雑貨の店。商品を適当に集めたような店だ。



大通りにある古風なタイ建築の店。スイカとカットフルーツ以外に売れるような物はない。



市街地には東西に走る主な2本の通りがあるが、その内の1つ。この外れに今日のホテルがある。



市街地の外れにある、チョッと小さいテスコロータスExpressの店。(コンビニ程度)