タ イ 北 部 と ベ ト ナ ム を 巡 る  18
メーソートからピッサヌロークへ
タイ  16   3月25日(金)
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1.ロットゥーに乗ってメーソートを出発する

8時25分に『T.House Mae Sot』を出た。あの繁盛していた麺料理の店の前を通りバスターミナルへ向かう。歩いて20分程の距離だった。十分に余裕を持って出てきたので9時前には着いた。やはりこの時間でも市場は営業していなかった。
市場の発券所でピッサヌロークまでの切符を買った。すぐ横にロットゥーが1台停まっていて、係員がこれに乗れと言う。8時30分の便が客で埋まるのを待っていたのだ。いっぱい乗っているように見えたので、「次の9時30分のに乗りたい」と言ったのだが、全く聞き入れてくれない。すでにバッグは助手席後ろに積まれてしまった。仕方ない、これに乗るか。それでもいっぱいだと思った席はまだ2つ空いていた。このミニバスはエアコン付きで172バーツだ。
しばらく待ち、もう1人乗せ、9時頃になってバスは出発した。Mae Sot--Tak--Sukhothai--Phitsanulokと移動する。

市街地を抜け、広い国道を軽快に走って行く。しばらくして深い山道に入った。辺りは朝靄が立ち込めていた。あちこちで道路改良工事をやっていて赤土が目立つようになった。バスは急な坂道をうなりながら走る。ロットゥーが停まり警察のチェックだ。ただ車が小さいせいか、中に入って個人の身分証を調べる事はないが、ドアから威厳のある顔つきで乗客を眺めまわした。

山道はくねくねとした道が上り下りを繰り返す。辺りは葉を落とした灌木の林が続き、いかにもタイ北部と言う山間の風景になっている。
峠を越えた場所でまたポリスのチェックがあった。ここでは運転手が降りて行って、何かの書類に記入しているようだった。ミャンマーとの国境があのような状況だったので、不法滞在を取り締まっているのだろう。


このロットゥーはターク・バスターミナルを経由する。ここでは乗客が何人か降りていった。ここタークは国道1号が走っていて、北へはチェンラーイ、メーサイ、南はバンコク方面への乗り換えとしても重要なターミナルだ。


2.タークからは平坦な大平原を軽快に走る

タークを出ると、どこまでも広い大平原を走るようになる。平坦な道になりバスはかなりスピードを上げる。ただ、いくら走っても景色があまり変わらないのだ。これではすっかり退屈してしまう。乗っている者はいいが、これが運転手となると大変なのだ。日本は国土が狭く風光明媚だからあまり飽きることがないが、サンフランシスコからサクラメントまで、たったあれだけの距離でさえ、バキャビルを過ぎると徐々に単調な景色になって、眠くて運転が耐えられなくなった事がある。

このタイの大平原は殆どが畑地のように見える。乾季のこの時期は作物が植えられているようではなく、ただ一面が黄土色で、所々に大木が立っている。ある一部の地域で取水ができる場所では緑の田圃も見かけた。日本との相違点は椰子や棕櫚が生えているところだ。
タイの象徴のように、中央分離帯に花が植えられている。
国道沿いには民家が点在している所もあり、日本の家屋に近いようなものから高床式住居まで様々だ。そして敷地内には背丈ほどの祠や神棚が置かれている。

スコータイ・バスターミナルに着いたのが11時40分だった。メーソートから3時間近くかかった事になる。チョッと小さめのターミナルで、ソンテオも何台か停まっていた。ちょうどプラットホームから、『Tak--Sukhothai--Phitsanulok 』のミニバスが発車して行った。スコータイ遺跡が見えないか目を凝らしていたが、道路沿いから離れているようで全く気配は無かった。
途中のG.S.は『コスモ』で、セブンイレブンが併設されていた。国道沿いに町は少ないし民家は点在しているので、このようにG.S.横にコンビニを出店する必要があるのだろう。



3.ピッサヌロークはバス・ターミナルも大きい交通の要衝

ピッサヌローク・バスターミナルへは12時50分に着いた。約4時間かかったが予定通りだ。この町も東西方面の国道12号と南北方面の11号が交差する交通の要衝だ。プラットホームの数も多く、行き先も多いようだ。何より市街地に近い場所にあるのが嬉しい。ターミナルのチケットコーナーに行ってみた。各バス会社の行き先別になった窓口が並んでいる。壁面のボードには同じように会社別の時刻表が掲示されていた。ここは便数も多いし、スコータイを控えて観光客も多いのか、英語が併記されているので有難い。これを見ればバス移動に困らない。スコータイ行きも確認しておいた。周りは食堂街になっているようで、いくらでも店があるように見えた。

商店の間にある路地に入り、向こう側の大通りを目指して歩く。この辺りは寂れた会社の建物や、新しいコンドミニアムが建っているが、バスの便も良いし、駅とのソンテオ乗り場もある、再開発して新しくなってしまいそうだ。ただあまり車やバイクが通らないので夜は歩きたくない通りだ。
ホテルまではゆっくり歩いて12分位かかった。黄色とオレンジの派手な建物が見えたのでこれなのかと思ったが、奥の方にある5階建ての方だった。
部屋は212号室で、
1人旅には必要のないツインルームだ。値段で選ぶとダブルよりツインが安い場合が多く、このホテルもそうなってしまった。トイレやシャワールームも清潔で部屋もきれいだ。Wi-Fi の電波も十分届く。このホテルも安く、Agodaで予約して4泊で4,632円(税込み)になっていた。


4.ボーコーソーから紫のソンテオで市街地へ

エアコンの涼しい風に吹かれた後は、ホテルから再びボーコーソーまで歩く。そこで、今度はピッサヌローク駅までのソンテオに乗るつもりだ。途中からでも乗れる場所はあると思うが私には分からない。

ターミナルではお腹が空いていたので先にチョッと食事をしたい。 バスターミナルを囲むようにぐるりに店があってその中で一番多いのが食堂だ。お腹が空いていると全部が食堂に見えた。その中で、客がいるような店を探す。目利きとカンがものをいう。清潔そうで、大丈夫か店主の顔も見る。そんな私が厳選した店は、麺の店だ。まあセンレックくらい食べるのならどの店でも良いようなものだが。それに昼時をとっくに過ぎてしまっていたので客はどの店もいないのだ。
その店で、「センレック」と言ったら、ムー(豚肉)かガイ(鶏肉)かを聞かれた。

ボーコーソーの正面入り口に紫色のソンテオが2台待機している。1番がいた。ピッサヌローク駅を通るか確認してから乗った。地球の歩き方には、『バスターミナルから駅付近へは市バス1番を利用、10B~。トゥクトゥクやソンテオは60B 』となっている。と言う事は、この紫色のソンテオが市バスになるのか。ここでのソンテオはターミナルの前にいっぱいいるタクシー替わりのものを指すようだ。よく行き先別に色分けされているが、ここでは紫一色のようだ。

市バスのソンテオは速い。音でも早さを感じさせる。周りの景色も低い位置、しかも開けっ広げなので、風を感じながら走るのは特に速さを感じるのだ。

国道12号を一直線に駆け抜け、ナーン川の橋まで来ると左折し川沿いの道路を走る。そして駅の方へと進む。私は駅が終点かと思っていたが、このソンテオは乗客をいっぱい乗せたまま走り去って行った。こんな乗り物は、最初に降りる所を言っておくに限る。そうすると、ちゃんと教えてくれるのだ。 駅までは15Bだった。


5.ピッサヌローク駅からナーン川の水上家屋まで

先ずはピッサヌローク駅に入ってみた。タイ国鉄はそう多くの列車が走っていないと思っていたが、プラットホームには思いのほか列車を待っている人が多いのだ。構内の時刻表を見てみるとそれなりにOrdinary(普通列車)はあるようだ。バンコクからチェンマイまでの列車は限られているが、通勤や通学用はそれなりのダイヤになっているようだった。
プラットホームの端の方は子供たちの遊び場になっている。駅と言っても周りと区域が分断されていないし、ホームも低く自由に遊びまわれるのだ。当然ゴミはいっぱい捨てられている。
駅舎の中には、窓口の横に小さな売店があって雑誌、飲み物、アイスクリーム等が売られている。そして大きなツーリスト・ガイドマップが立っていたいた。


しばらく駅を楽しんだ後は、駅前を散策してみた。駅を出て左側に大きな市場があり、その間の通路にテントやパラソルの市場が開設される。今はちょうどその準備中のようで、半分くらいが埋まっていた。
そこから、市街地をチョッと歩くと時計塔があった。時計塔はこの街のランドマークになっていて、少し高いロータリーの上に建っている。日本には少ないが海外では『ラウンドアバウト』(ロータリー方式のような環状交差点の事)の信号ナシ交差点は多い。
ナーン川の近くまで行くと川に沿って市場のような長屋があった。もう閉まった時間なのか、定休日なのか、ガイドブックの地図を見るとナイトバザールになっていた。そんな事でその中に入り岸辺を眺めた。
かつてこの川には水上家屋がぎしり建っていたらしい。市側が景観や安全を考えて、護岸工事の名目で立ち退きさせたようだ。確かに大水が出るとかなり危険だし、景観的にも良くないと考えたのだろう。ただ昔懐かしい風情が失われる事と、観光客はちょっぴりがっかりする。



6.タイで一番美しいと言われる仏像のある『 Wat Yai 』へ

しばらくソンテオが走ってきた道を辿るように川沿いを歩いた。目指すは『ワット・ヤイ』、美しい仏像のある寺院だ。
通りの歩道から少し入った場所、川側の空き地には所々でビニールシートが敷かれ、簡単なイスが置かれていた。通りに看板が出ていて『THAI MASSAGE』と書いて、マッサージをしている絵も描かれている。近くには運動具が設置されている広場もあり、朝夕にジョギングしたり運動に来る場所だったようだ。

国道の橋まで辿り着いたら、『ツーリスト・サービスセンター』があり、日本語の案内板に『ピッサヌローク観光案内所』と書かれていた。近くにスコータイ遺跡があるから、日本人観光客もよくこの町にやって来るのかも知れない。
タイではよく見かける大きなニワトリの置物がこちら、と案内しているようにも見えた。すぐ近くに寺院があって、その奥に『Wat Phra Si Mahathat Worawihan Wat Yai』があった。

寺院に着いたのが16時50分頃だった。遅くなると閉まってしまいそうで急いだ。
本堂の正面に立つと、金色の屋根が輝き、その奥に見える仏塔は黄金に眩しい位に輝いていた。参拝者はまだいっぱいいる。先ずは美しいと言われる仏像にお目にかからなくては。この寺院はアユッタヤー時代の後期(1357年)に建立され、国内でも有数の格式の高い寺院だそうだ。本堂に安置されている仏像、チンナラート仏はタイで一番美しいとも言われている。礼拝堂の外には、ぐるりを取り囲むように黄金の仏像が安置されていた。

境内には、あちこちで薬草を売っている。なぜ薬草なのかは分からない。みやげ物の店もいっぱい並んでいた。これだけ参拝者が多いと何を売ってもよく売れそうだ。寺院の境内と言う特別な環境でも、大半が普通のみやげ物だ。
結局、ここでは17時過ぎまでいた。



7.駅前、露店夜市の賑わい

国道を歩いて行くとテスコがあった。チョッと怪しい線路沿いの道を歩いた。車を停めて荷台の果物を売る人がいる。

踏切の番人が面白いのだ。東南アジアでは手動式の踏切はかなり多い。列車の本数もさほど多くないし、暑い地域なのでよく裸で備え付けのベッドに寝ていたりする。外からでもそんなのがよく見える。それはいいが、列車が通る前には駅からでも連絡があるのだろうか、心配してしまう。何たってお昼寝付きだから。

市場はすかり屋台で埋まってしまっていて、かなり賑わっていた。この時間になれば夕方の買い物客でいぱいなのだ。タイの食生活からすると、夕食用のおかずを買いに来ている人が多い筈だ。総菜屋は何軒も出ていて、凄い種類のおかずが売られていた。私はカットされたスイカを串で刺しながら食べている。こんな店で買うとカットフルーツも安い、10バーツだ。
昆虫たちも売られているが、地元の人は買っているようではない。欧米系の人達が押し寄せてきて、少しづつ試食をしていた。欧米系は好きですね、こんなゲテモノが。そんな事で種類は豊富、あらゆる昆虫が調理されてバットに並んでいる。勿論、値段がついているので買うことはできそうだが。

すっかり露天の市場も堪能できたのでホテルへ帰る事にした。市場の端の通りからソンテオが出ている筈だ。
しばらく待ったが1番も6番も来ないのだ。やって来たソンテオの運転手に聞いてみると、「もうボーコーソー行きは無い」と言う。この種の乗り物は営業を終えるのが早い事は知っていたが、もう無いとは。そう言われてもしばらく待ってみた。
歩いてもホテルまでだとそう遠くない。諦めて歩いて帰る事にした。
線路沿いの道を通るのだが、そこからは近道と思われる路地に入ってみた。ここまで来て一休み、途中の7elevenで飲み物とアイスクリームを買ってその場で食べた。チョッと向こうは夜の市場になっていた。ここもかなりの賑わいだ。
ここから先に行けば、地図ではバスターミナルへ出るようになっている。少し狭い通りなので車は殆ど通らない。薄暗い道には小さな商店が何軒かあった。人っ気が無いので車でも通らないと不気味だ。

ホテルの近くまで戻って大通りを歩いていると、何人かが食事をしている店があった。お腹も空いたので私もこの店に入った。この辺りはちらほら簡単な食堂はある。おばさんは愛想の良い人で、忙しそうに1人で切り盛りしている。メニューを見て選ぶような感じではなかった。「1つ」とさえ言えば大丈夫のようだ。出てきたものは、やはり麺。それなりに美味しいが、ナンプラーと唐辛子の酢を加えて食べた。



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ピッサヌローク・バスターミナルに着いた。タイではこんなターミナルをボーコーソーと言う。



バスターミナルには運行会社別、行き先別の時刻表が掲示されている。これを見ればどこへでも行ける。



ボーコーソーからソンテオに乗って国道12号線を走る。開けっ放しですっ飛ばすからスピード感は凄い。



ピッサヌローク駅の真正面にはSLが置かれている。すぐ近くに市場もあり、ここが市街地の中心だ。



市街地にあるランドマークの時計塔。ロータリーとしての役割もある。



このナーン川は下流でピン川と合流してチャオプラヤー川となる。水上家屋も少し存在する。


かつてナーン川はこんなにも多くの水上家屋で埋め尽くされていた。(寺院にあった写真より)



ワット・ヤイ本堂の正面。ひと際目立っているのは黄金にまぶしく輝く仏塔だ。



タイで一番美しいと言われる、チンナラート仏。温和なお顔が黄金に輝いている。



寺院の境内には薬草を売るテントの露店がいっぱい並んでいる。



踏切は手動式が多く、係員は小さな控え小屋でいるが、暑いので寝ていたりする。



タイ国鉄のディーゼル車。チェンマイ発ナコンサワン行き普通列車。



駅の近くにある市場の横は、夕方になると多くの屋台が出現し賑わっている。



屋台街で買うものと言えば、やはりいっぱい並んだお惣菜だ。タイ人の食生活を垣間見るようだ。