タ イ 北 部 と ベ ト ナ ム を 巡 る  21
ピッサヌロークの仏像鋳造所へ
タイ  19   3月28日(月)
前へ< 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 >次へ

1.ボーコーソーからソンテオで仏像の鋳造所へ

10時頃になって出かけた。バスターミナルまで歩いて行く。今日は先ずここでナコンサワンのバスターミナルの場所を教えてもらおうと思っている。明日はナコンサワンに移動する予定なのだが、バスターミナルからあまり離れていないホテルを予約したい。それで、バスの事ならここで尋ねるのが一番かと思いやって来た。
窓口はナコンサワン行きのチケット売り場。スマホの地図を出して場所を指さしてもらいたいのだが、この地図は見難いのか時間がかかった。その間、男性が切符を買いにきたが放ったらかしだ。こっちが恐縮してしまう。近くにいた何人かが同じ場所を指さして教えてくれた。今までターミナルがあった場所で共通しているのが、大通りからチョッと入った所で路地がぐるっと丸くなっている。これがバスターミナルの典型的な形のようだ。Google map でこれを探せばよい。

この後は仏像の鋳造所に行こうと思っている。ターミナルの外に出ると、角にある店の前に紫色のソンテオが2台停まっていた。私はソンテオのルートや行き先がイマイチ分からないでいる。ルート番号別の主な停車位置は分かるが、どの道を通って行くのか知らないのだ。
運転手に行き先を尋ねてみると、その人は前の店に走って行って若い女性を連れてきた。ああ、この人は英語を話せるって事なんだ。大学生らしき2人連れの女性が、「Can I help you ?」と聞いた。鋳造所って何て言えばいいのだろう。身振り手振りで説明したが理解してもらえない。その時、鋳造所の近くに民俗博物館があったのを思い出した。そっちを尋ねると、この1番のソンテオで大丈夫だと言った。そして運転手にも行き先を言ってくれたようだ。しかも、この女性たち2人はこのソンテオに乗ってきたのだ。

ソンテオの中は賑やかになった。私は日本語、英語、僅かにタイ語、混じりで適当に喋り続ける。乗客はと言えば、変な外国人と思いつつも目が合えば頷くのだ。何とも気の良い人たちに囲まれている。案内してくれた女性も、スマホの翻訳アプリで日本語を出して、次々と話しかけてくる。ソンテオの中は庶民的な国際会議で盛り上がった。そんな楽しい最中なのに、早くも到着してしまった。
運転手が降りてきて、あれが博物館だと指さした。みんなに手を振ってお別れした。ソンテオの中は、あの距離と人数ですぐ誰にでも話しかけれる雰囲気がある。2人掛けのバスだとこうはいかない。ホテルとゲストハウスの違いってところか。

博物館を教えてもらったが、鋳造所はどこなんだろう。あちこち路地を入ってみたが、あまりそれらしき雰囲気がしない。この辺りは少し入れば住宅地だ。こんな場所で金属を溶かしたり出来るのだろうか。しばらくかかったが、やっとこの広い通りで見つける事ができた。何と、博物館とは斜め向かい側で分かり易い場所にあったのだ。『Buranathai Buddha Image Foundry』こんな看板があがっていた。入り口は特に工場のようでもなく、展示場か普通の事務所だ。


通路を奥へ入って行くとおじさんが1人で作業をしていた。チョッとした広場になっていて、鋳型を立てて注ぎ口でも加工しているようだ。質問はできないのでしばらく眺めていた。その奥にあるトタン屋根の中に入ると、作業場があって大小様々な仏像がいっぱい並べてある。その横では職人が仏像を黄金にしていた。金色のスプレーを吹きかけるやり方だ。鋳型から取り出して研磨した後、黄金にするようだ。こうなると仏像としての神々しさが感じられる。奥の作業台の上には、みやげ物のような小さい仏像がぎっしり並べてあった。大きな仏像は殆どが特注品なのだろうが、無造作に、地面に置かれているのも多い。
通りに面した建物は店舗のようで、覗いてみると、無数の仏像や風鈴のような小さい鋳造品が陳列されていた。


2.鋳造所から出て市場までぶらり

鋳造所を出て駅の方へ、Wisut Kasat通りを歩いて行くと、ちょうどお昼時になり人通りが多くなった。あちこちに庶民派食堂はあるが、その中で自転車やバイクが多い店に入った。古びた木のテーブルに背もたれの無いイスが並んでいる。座るとすぐ店のおじさんが扇風機の風をこちらに向けてくれた。
周りの人が食べている物をチェックしてみる。殆どが麺料理のようだったのでセンレックにした。入り口にある調理場でおばさんが1人で作っている。こんな簡単な物と思っているのだがなかなか出てこない。おばさんはゆっくりなのか、かなり時間がかかった。
この店にはプラスチックの箸箱が置いてある。箸は横向きになっているから取り出しやすい。東南アジアでは殆ど箸立てに入れてあって、食べる方が上になっている。汚れた手でその部分を持って取るのだ。でも逆に食べる方が下になっていたとしても多少心配ではあるが。箸は日本のように割り箸ではなくどの店も
同じセンレックでも店によって味付けや具材が違うのだが、この店はゴーヤが入っていて香草も豚肉もたっぷりだ。それに珍しく麺にコシがあった。青唐辛子の酢だけ加えて食べた。ゴーヤのほろ苦さが何とも美味しい。このような食堂はショッピングセンターのフードコートより美味しい場合が多い。まずい物を出してしまうと次から客が来なくなってしまうからだ。持ち帰り用を作ってもらっているようで、入り口に2人の客が立ったまま待っていた。
この位の間口があって、中のテーブルや客が見える食堂は入りやすい。ボーコーソーの周囲の店は狭くて何の店なのか分かり難いのだ。

市場の手前で踏切を渡る。ここでの操作は手動だ。列車が来ないと番人はベッドで横になっている。そんな様子が外からでも見えるのが面白い。勿論この暑さではドアを閉めるわけにもいかないので開けっ広げなのだ。車は踏切では一旦停止しないで走って行く。手動式であっても必ず閉まる保証はない。列車に乗っている時、中から見ていると閉まっていない箇所も時々ある。車は無意識で通っているのだろうが、実は命がけの事をやっているのだ。


3.ピッサヌローク駅近くの巨大な屋内市場

線路に沿って駅の方へ歩いて行くと、バイクやトラックが行き交うようになった。見えてきたのは大きな市場だった。この方向から入るとこんな大きな建物が並んでいるのか。体育館のようなでかいのが2棟あり、1、2と番号がついている。その中でも賑わっているのは駅側の店頭だ。その横にもパラソルを立てた屋台がいっぱいだった。それでもNo.1の館内も屋台に負けじとばかり、肉や魚、果物、雑貨等の店がぎっしり並んでいる。スーパーマーケットの食材と違って市場の方は新鮮さを感じる。ナマズは調理台の上で動いているし、その傍では金網の上で魚が焼かれている。
おばさんは陳列台の上にあぐらをかいて座っていて、太い足が丸見えだ。マレーシアでは髪の毛一本さえも見せないよう頭をトゥドゥンで覆っているが、それとはかなり文化が違う。

こんな店を回っていると何か買いたくなってしまうのだが、ビニール袋のものは買えないし、大きなものも買えない。私はガイヤーン(鶏1羽を平面にして炭火で焼いてある)を何度か食べたいと思ったことがあったが、どう考えても1人では無理だ。
フライにした物やから揚げの横にビニール袋に入った液体がすぐ隣に並べてある。この正体不明のビニール袋の中身は何なのだろう。これを一緒に買って調理するのだろうか。

タイではおふくろの味が屋台のおばさんの味だったりする、と言う食生活の事情もある。大きい魚を串焼きにして売っていた。小浜の焼きサバより一回りは大きい。何とも美味しそうだ。
果物売り場で迫力があるのは、山積みされたスイカだ。かなりでかい。白っぽいメロンもその大きさに負けない位に大玉が並んでいる。


4.ピッサヌローク駅で鉦の音を聞きながらのんびり

タイ国鉄では列車の運行本数はそう多くないのに、なぜか駅には人が多い。私は駅にある日陰のベンチで、涼しい風に吹かれ列車を眺めている。そんな人って他にもいるのだろうか。
カンカン、カンカン、と鉦が鳴り、辺りがざわつき始めた。再び、女性の駅員が出てきてプラットホームにある鉦のひもを引いた。カンカン、カンカン、カン、と鳴る。その後何分かして、カンカンカン、緑と赤の旗を持った駅員が線路に近づいてきた。あちこちで駅員の笛がピーと一斉に鳴った。入線してきたのはバンコクからチェンマイ行きの列車だった。機関車が客車を何両か牽引している。昼間の列車だから寝台車は無く殆どが3等車だった。大勢の客を降ろした列車は再び、カンカンカン、3回鳴って出発して行った。なぜだか、私は以前からこの鉦の音が好きだ。バンコクのあんなにも大きい駅でさえ今も鳴らしている。タイ国鉄では近代化された部分と古いままの部分が残っている。今でもタブレットで単線管理しているようだ。日本ではもうとっくに廃止されているが、ここでは十分にその働きをしている。

今度はプラットホームにいた人が一斉に動き出した。その人たちが向かった先は、離れた線路に停まっている列車だ。案内の放送でもあったのだろうか。レールを何本か跨いで渡って行く。しかも大きく開いたドアからよじ登っているのだ。駅員が見張ってくれている訳でもなく、線路に降りて歩いて行く。これはもう自己責任なのか。3両編成の列車は各駅停車のピッサヌローク始発ロッブリー行きだった。

ホテルへ帰る道はボーコーソーへの近道にした。路地に入ろうとした時、あのスコータイで乗った凄いバスを見つけた。こんな所にまで走ってくるのか。スコータイではソンテオの大型だと思ったが、こんな街中だとバスのように見える。
これはチョッと出会えないような乗り物だ。トラックの上にすっぽり箱を置き、窓を取り付けたようで、運転席のドアは左右共に取り外されているので、運転手の足まで見えている。


5.ホテルで休憩した後、BigCへ

一旦ホテルへ戻ったのは、ナコンサワンのバスターミナルの場所が分かったので、ホテル予約をしようと思ったのだ。
AgodaとHotels で検索してみると、ターミナルからはチョッと離れてはいるが、歩ける範囲のホテルが見つかった。『V&Kブティックリゾート』と言う。ここは安いのにリゾートなどと言う名前がついているのは気に入らない。それでもとりあえず明日から3泊の予約を確定しておいた。
ネットでナコンサワンの事についても調べてみた。地球の歩き方に載っていない町なので、誰かが旅した投稿を読むしかない。私にとって重要なのは移動手段だ。ソンテオの情報を探してみる。すると丁寧に詳しく書いてくれていた人のページを見つけた。ルート別の行き先が、赤、白、黄、青、等で分けてあるようだ。赤は市街地を大回り、白は市街地を東西に市場まで、黄色はボーコーソーから市場方面へ。しっかりメモしておいた。
次のホテルも決まり、少しうたた寝した後で、ブログを書いた。

午後6時30分頃になって、ビッグCへ出かけた。フードコートには『INTER FOOD』なるコーナーがあった。そこには外国料理のメニューが並んでいて、何と日本食の中には『KATSUDON』と書かれているではないか。こんなの本当にできるのだろうか。チョッと聞いてみると大丈夫だと言った。
出てきたカツ丼は、それなりに良くできていた。お米がタイ米なので味がないのと、少しばかり醤油辛いが、カツもちゃんとしてるし玉子でとじてある。ピッサヌロークで食べるカツ丼としては十分に美味しい。しかも60Bだから安い。
私はこんなフードコートや庶民派食堂でいつも食事をしているが、チョッと気取ったレストランも無い訳ではない。このS.C.には日本食だと『やよい』とか言う店があった。各種定食が並びタイで人気の焼きサバ定食もある。ここでのカツ丼は150Bになっていた。



                        Top    前へ   次へ



ボーコーソー(バスターミナル)付近に待機している紫色のソンテオ。左側が6番、右側が1番だ。タイ語でルートの主要停車場所が書かれている。


もう少し辺りを整理したらいいと思うが。おじさんは鋳型でも細工しているのだろうか。

この中では仏像の表面を加工している。たくさんの仏像が無造作に置かれていた。


鋳造された仏像だがあちこちに赤い塗料が塗られている。この状態からどう加工するのだろうか。


最終工程のようだ。仏像に黄金のスプレーを丁寧にかけていく。こうなると仏像としての神々しさを感じる。


2棟並んだ、大きいピッサヌローク駅傍にある市場。駅に近い方にはテントの屋台街もある。


市場の屋内売り場。揚げ物や焼き魚などの惣菜がいっぱい並んでいる。


マンゴーの果実やビニール袋に入ったココナッツミルクのようなものを売っている。


駅の横もこのような商店街になっている。手前に大きな市場と露店がある。


ピッサヌローク駅。古風な佇まいだが、北線の全列車が停まる重要な駅になっている。


列車が到着すると、それなりに乗客が降りてくる。かつての日本の田舎駅を彷彿させる。