タ イ 北 部 と ベ ト ナ ム を 巡 る  22
ピッサヌロークからナコンサワンへ
タイ  20   3月29日(火)
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1.ピッサヌロークからはバスでナコンサワンへ

毎朝眺める、裏庭で遊ぶ鳥たち。今日もしばらくの間、ホテルの窓から裏庭を眺めていた。ここ数日で鳥たちの行動の原則が少し分かってきた。順序があるのだ。最初は、雄鶏と雌鶏4羽が枯草の辺りで何かを啄ばんでいる。彼が早朝けたたましく啼くあのうるさい雄鶏なのだろうか。その鶏たちがいなくなると、今度は鳩がやってきて同じ場所で何かを啄ばむ。鳩がいなくなると次は鶏の親子になる。母がひな鳥4羽を引き連れて朝のお散歩だ。その頃にはスズメのような小鳥もすぐ傍にやってくる。この広場の隅には水飲み場や餌場がある。鶏は飼われているようなのだが、他の鳥はその餌を横取りしに来るのかも知れない。
そんな裏庭の風景が、毎日同じような順序で繰り返されているのだった。私は鳥たちの行動原則を突き止めたが、これ位で学術論文にする訳にはいかない。

8時30分頃にチェックアウトした。また来てくださいと名刺をくれた。Wi-Fiは時々繋がりにくい時もあったが、部屋もきれいで概ね対応の良いホテルだった。外に出るとかなり蒸し暑く、少し霞んでいて太陽が見えない。バッグを引きながらボーコーソーへ歩いて行く。
8時50分にバスターミナルに着いた。ナコンサワンまで、9時30分のチケットを買った。このチケットはJRのような料金体系だ。Fare29B、Premium23B、Totalが52Bだ。座席はE2になっている。
バスに乗り込むと、運転席の後ろに仕切りがありドアになっている。停車中にはエアコンの冷気が外に逃げないよう閉められているのだ。近くの男の子に聞いてみたら座席はフリーらしい。

バスは9時35分に発車した。
平坦な地形、見慣れたタイの田園地帯を走って行く。退屈な風景が続いているが、道路沿いには果物や何か焼いたもの等を売るパラソルの店が点在していた。ガソリンスタンドも良い間隔に置かれてていて、その多くはコンビニが併設されている。日本のコンビニは市街地で乱立しているが、郊外にG.S.と合体した店舗は最近あまり見かけない。郊外はフリースタンディングの店舗が多い。タイの大平原の、人家もまばらなこんな場所にコンビニがあるのは、住民にとってもありがたい存在だろう。それも多くの車が行き交うおかげだ。
渥美俊一先生は当時、国道沿いのフリースタンディング店舗は将来潰れてしまうだろうと言っておられたが、コンビニはその中に入っていないようだ。

途中、ピチット・バスターミナルには10時20分に着いた。ピチットはスコータイ王朝の時代に栄えた、歴史ある町のようだが、今では小さな田舎町だ。あまり乗り降りのないままバスは発車し、目的地ナコンサワンには12時に到着した。


バスターミナルは地図で見ていた通りの場所だった。大通りからはU字型になっていて、どちらにも出られる便利な構造だが、出入り口は狭い。プラットホームの周りはぐるり食堂街になっている。あまりきれいな店は無さそうで、食事時なのに人影はまばらだ。


2.ナコンサワン・バスターミナルの売店には名物の”もち”が山積み

ナコンサワンの次は『シンブリー』に行こうと思っていたので、窓口でシンブリー行きのバスがあるか尋ねてみた。どうも言葉が十分通じないようで、どの窓口でも教えてもらえない。こんな時はタイでの旅の難易度を感じる。ベトナムだと地名が大体読めるのだが、タイ語は全く分からないのだ。窓口すら見当もつかない。ピッサヌロークだと観光客が多い事もあり英語が併記されているのだが、ここではタイ語表記だけだ。バスが分からなければ列車で『ロッブリー』へ行く事になる。チョッと無理のようで、窓口で調べるのは諦めた。観光地図はもらっておいたが、それも全てタイ語表記になっているので、市場がどこにあるのかさえ分からない。それに『地球の歩き方』にもナコンサワンは出ていない。この外国語表記の多少が田舎度のバロメータになるように思う。日本にも近年、外国人客が多くなってきたが、案内板が日本語だけのものも多い。欧米系の人たちや、アジア系でも中華圏の人たち以外は、地方での単独旅が難しいと思う。漢字にひらがなやカタカナなんて、とても読めないだろうから。

待合所をぶらっと回っていて見つけたのが、山積みされた派手な箱入りのお菓子だ。日本人形のような絵柄がついている。それには『Mochi(もち)』と書かれている。『もち』って一体何なのだろう。それにしてもこんなにたくさん並べて売れるのだろうか。商品管理は大丈夫なのだろうか、と余計な心配してしまう。しかもどの店もこのお菓子しか殆ど扱いが無さそうだ。外箱のデザインがカラフルで中身も美味しそうに見える。これだけ積み上げられていたら、見過ごして通るわけにもいかないだろう。しかも値段も安い。1箱35バーツ、3箱だと100バーツ。それに1箱50バーツ、2箱100バーツ。こんなPOPが出ている。

そんなに人気がある物なら私も買ってみようと思い選んだのは、ココナツとタロイモ餡の『もち』だ。これが本当のもちなら美味しいと思うのだが。


3.ホテルにチェックインしてビッグCへ

バスターミナルの外に出てみると、すぐ前に黄色のソンテオが停まっていた。ピッサヌロークの番号制から、今度は行き先を色分けしている。
国道1号線、パホンヨーティン通りを北へ歩いてホテルへ向かう。グーグル地図とGPSを使うとかなり正確に位置が分かる。このホテルはグーグル地図に入っているからGPSの通りに歩けば良い。
対岸にあるマクドナルドの方へ渡りたいのだが、片側5~6車線もある国道1号線はおいそれとは横断できそうもない。


国道からホテルのある通り、その角に『DUNLOP』の大きな看板のかかった店がある。この看板を目印にしよう。入った道は泥が多く埃っぽくいし道幅も狭く、バッグがバウンドして何とも曳き難い。
そんな道でも食べ物屋台や食堂が何軒かある。

私が予約したホテルはこの通りに入って数百メートルの場所にあった。チェクインした後、隣の棟に案内された。リゾートと言うだけあって造りがチョットだけロッジ風で、長期宿泊者もいるようだ。私は1階の端の部屋だった。部屋にシャワーもトイレも付いているのに、本館と別館との間にトイレの建物がある。各棟との連絡通路は庭を通って行くようだ。


部屋は清潔で全体にきれいなホテルだ。すぐエアコンをつけて休憩した。もう14時、冷蔵庫の水は飲んだがお腹が空いている。早く食事に行こう。
国道に出ると、道路脇にテントの食堂らしき店があった。テーブルが何台か置かれカラフルなプラスチック椅子が並ぶ。私の得意な店のような気がしたので覗いてみたが、チョッと馴染めそうもなくBigCへ行く事にした。『もち』の大きな看板があちこちにある。何なんだろう、この商品の力は。

BigCに入ると、すぐデザートやスナック類の屋台風コーナーになっていて、美味しそうなものが売られている。タイではすっかりポピュラーになった寿司もある。
その奥は広いフードコートになっていて、テーブルがずらり並び、黄緑色の椅子が鮮やかだ。早速、端からメニューを見ながら美味しそうなものを探して歩く。すると忙しそうな、よく売れているコーナーがあった。惣菜がバットにいっぱい並んでいる、ぶっかけ飯(
カオゲーン)のプレートだ。適当に指さしで注文したのがこのご飯。野菜を多くして肉と卵を加えた。



4.町の中心部にある大きな池の周りを歩いてみた

さてナコンサワンの地名は『天国の町』と言う意味らしいのだ。市街地でいる限りそんな雰囲気は感じられないが、生活者にとって魅力的な町なのかも知れない。
さて、食事も終えたところで近くの公園を散策する事にした。さっきBigCに入る前に、国道から大きな龍のオブジェが見えていた。他にも気になったのが、山の上にある寺院と仏像だ。寺院は2つの山にあり、一方は仏塔とアンテナがいっぱい立っている山、もう一方には黄金に輝く仏像があった。


公園の入り口には中華風の東屋が何ヵ所かあり、龍の大きなオブジェが立っている。ここナコンサワンは、中国人が初めてタイに入植した土地だそうで、中国系の人が多く住んでいるらしいのだ。タイのお正月と言えば、タイの旧暦の新年、4月のソンクラーンの時期だが、中華系の多いこの町では春節(旧正月)に盛り上がるみたいだ。私もヤワラートのお祭りは見たが、タイにいるとは思えないほど中華色に染まっていた。

この湖に沿って歩いて行くと、道路と湖との間には塀があって途中から中に入れないようになっている。何とも厄介な造りだ。それでも開いているドアのような入り口を見つけた。湖は長細い形をした大きいため池のようだ。周囲には水際を通る散歩道が整備されていた。中央部に小さな島があって橋が架かっている。日差しは強く暑いが、取りあえず島に渡ってみた。芝生のチョッとした運動公園のようになっていて、父と男の子がボールで遊んでいた。さて対岸への橋を探していると砦のような場所に階段がある。そこを登ると変な構造になっていて、結局は戻らないと仕方ないようだった。せっかく登ってみたが橋には出られない。ぐるっと回って行くと橋になっていた。そこには濃く厚い緑の葉っぱに白い花がきれいに咲いている。何とも南国らしい雰囲気を感じた。

橋を渡ると広い道路になっていて時折り歩いている人にも出会った。一周してみようと思っていたが、今日は1/3くらい歩いたようだ。龍の入り口まで戻って来た。

再び涼しいBigCへ行ってみようと陸橋を渡っていると、中央分離帯の中に時計塔のようなものが見えた。時刻と気温が表示されているのだが、現在の気温37℃になっていた。昼間は猛烈に暑かったが、何とこんな夕方なのに37度もあるのか。ピッサヌロークでは、ナコンサワンのような川に囲まれて大きな湖がいっぱいある町はかなり涼しいだろうと思っていたのだが、かなり期待とは違っていた。
やはりタイは北部地方が山もあるし標高もあって涼しいようだ。南へ下って行くほどより暑くなるのだろう。

フードコートに入りフルーツたっぷりのかき氷を食べた。殆どがフルーツと豆類、氷はチョッとしかのっていないが、タイではこのデザートがとても美味しい。ここではショッピングセンターへは涼しさを求めてやって来る人が多いようだが、アメリカだとガードマンもいて安全な場所と言う認識ではないだろうか。
店に入る車も多いようで、入口付近はかなり混んでいた。ここからはホテルまで国道脇を歩いて帰る。ホテルのある通りに入ると、あちこちの店に灯りが点いていて、屋台も出てソーセージやイカを焼いていた。



5.名物の『もち』を食べてみるとやはり饅頭だった

疲れた。タブレットから流れる音楽を聞きながら、しばらく休んだ。私は最近の旅で、ホテルのテレビを全く見なくなった。以前はドラマやニュースなど見ていたが、ニュースはネットで十分だし音楽もyoutubeで聞いている。

もちと呼ばれているのはやっぱり饅頭だった。このように円形に8個並べられている。『Coconut Taro』の味は、餅ではないが、皮も餡ももっちりとしている。あまり甘過ぎず美味しい。ただフレーバーはチョッと日本とは違っているようだ。そして真空パックされ脱酸素剤も入っている。これだと山積みしても販売店の商品管理は楽にできそうだ。そんな事もあっておみやげ物として人気なのかも知れない。賞味期間は約1か月になっている。これも年号はタイの仏歴で書かれていた。期限は、『19.04.59』だ。


この後の行き先を考えてみた。ロッブリーで2泊して、その後はもうバンコクへ行く事にしようか。それだとバンコク滞在は4泊の4月7日までになる。エアアジアのタンソンニャット空港行きは7日19時40分になっている。バンコクがチョッと長くなってしまうが、かと言ってロッブリーで3泊までもできないだろうし、と考えた。
おおざっぱな予定ができたので、ホテル予約サイトで検索してみた。ロッブリーは街の中心地にある『Net Hotel』にした。バンコクはこの前、パヤタイで泊まって嫌な目にあったので、今回はチャオプラヤー川を渡ったトンブリーの『King Royal 2』にした。ここは以前も宿泊しているので、辺りの勝手がよく分かっている。両方共にAgoda を使ったが、ロッブリーの方はBookingが間に入っているようでクレジット決済ができなかった。Hotels はポイントが10ポイントで1泊が無料になるサービスがある。その1泊はと言えば、それまでの平均価格が上限になっている。




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ボーコーソーの入り口の前にある小さな店の辺りがこの紫色ソンテオの溜り場だ。



ピッサヌロークから11号線を南下すると、国道沿いには果物を売るパラソルの店が点在している。



国道沿いのこの店の前でバスが停まり乗客の一人が降りて行った。大平原のオアシス的な場所だ。



ナコンサワンのバスターミナル。周囲は食堂街になっている。ピッサヌロークよりはかなり小さい。



吹き抜けのプラットホームの内側には、待合所のベンチとみやげ物売り場がある。



バスターミナルの売店にはこのように膨大な数の”もち”が山積みされている。こんなに誰が買うのだろうか。



これは街中の店。ワゴンのポスターには『本場の日本の味』と書かれている。ひょっとしてこれは餅かも知れない。



ナコンサワン中心部(Google map)




ナコンサワン観光案内図。全てタイ語表記で全く機能せず。ただBigCのマークだけは分かった。



BigC近く、国道1号線の陸橋から見た北側(チェンマイ方面)。少し行った右側にボーコーソーがあり、私のホテルは2キロ先の左側だ。


同じ陸橋から見た南側(バンコク方面)。すぐ先にチャオプラヤー川に架かる大きな橋があり、その先を左側に進めば空港や国鉄駅になる。