タ イ 北 部 と ベ ト ナ ム を 巡 る  39
ダラットからムイネー(Mũi Né)へ
ベトナム  9   4月15日(金)
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1.早朝のシンツーリストには

ベランダに出てみると深い霧が立ち込めていた。今朝は特別で6時頃に起きた。かばんに荷物を詰めて準備をする。こんなに早くに出発するのは珍しい事だ。目覚ましが3個は要る。昨夜は使えそうな時計は全てセットしておいた。

チェックアウトして街に出ると、辺りは未だ朝靄に包まれていた。ノンラーを被った女性たちが通り過ぎて行った。シンカフェまでは15分もあれば行けるので、7時に着けるようにホテルを出た。ゴロゴロ音を立てながらかばんを引いて行く。
シンカフェの辺りにはこんな時間なのに大勢の人がいた。バスも数台停まっていて準備をしてい。ムイネー行きはどのバスなのだろうか。
小さな小屋にはBOOKING OFFICEと書いてある。カウンターでチェックインを済ませた。多くの客はニャチャン行きのようだ。出発までは暇だが、かと言って近くに飲食店はないようだ。私はBigCで買ったもので朝食は済ませていた。
大型バスが出発して行き、中型のムイネー行きが横付けされた。トランク室に荷物を入れて乗り込んだ。乗客は少いようだ。

バスは少し遅れて出発した。

ムイネーまでの道のり、ダラットはあんなにも高地だったのに、山間に入ると更に峠道を上って行く。辺りはすっかり山の中、集落は消えジャングルになった。



2.休憩所でバスを降りると今までの熱帯気候になっていた

バナナや雑木林に囲まれた小さな湖の畔でバスが停まった。そこには素朴な造りの休憩所があった。乗客は降りてすぐトイレへ向かう。暑い、もう辺りはすっかり熱帯気候に戻っていた。何もしないのにじっとり汗がにじんできた。

手作りされたような木のテーブルに、バナナ、パイナップル、ドラゴンフルーツ等が並べてある。そこには冷蔵ケースに入った飲料やお菓子も売られていた。
トイレの方に行ってみると、湖の際にチョットだけ囲ったトイレがあった。よくできている、これじゃ掃除が簡単だ。それに自然浄化される。辺りには豚と鶏が放し飼いにされていた。バスは増えて4台にもなっていた。


バスが出発して山間を進む。そして再び坂道を上って行くようになった。いったいどこまで上り坂が続くのだろうか。心配しながら乗っている。



3.山を下って行くバスは、まるでエアポケットの中

峠を越え、やっと下り坂になった。バスは一気にスピードをあげる。ところがこの道路の起伏は相当なもので、そこにスピードが加わるものだから、車内は飛行機のエアポケット状態になる。ドシッと落ちた場所は大地だから、ずしっと腰骨にひびく。

しばらく走ると乾燥して土埃が舞っているような町に出た。
この山間の町には少し貧しい雰囲気が漂っていた。降水量が少なく作物が限られてしまうのかも知れない。荒れ地が多くいつも土埃が舞っているようだ。小さな町でも住民の姿はあった。そしてあちこちにゲストハウスの看板も見えた。どんな町なのだろうか興味がある。こんな町でも住んでみたい。
ただここに滞在するなら生活にはかなり覚悟が要りそうだ。商店や食堂も少ないだろうから。それでも私には何か惹かれるものがある。


赤茶け荒涼とした大地をひたすら走っていたバスは、徐々に海の方へ近づいて行く。そして鉄道のレールを跨いだ。
突然、バスが大きな川を渡った。さすがに周囲は濃い緑に覆われている。この川の水を使った灌漑施設が成されているのだろうか、所々にサボテン畑(ドラゴンフルーツ)が出現する。
乾燥した枯草の荒れ地にも家畜の放牧が見えた。




4.シンカフェ営業所からムイネーの海岸通りをひたすら歩く

シンツーリストのバスはムイネーの海岸通りにある営業所で降ろされる。旅行者はここから目的地まで、タクシーとかバイクで移動するようだ。高級リゾートホテルなら送迎バスで運んでくれるのかも知れない。
前回はホテルがファンティエットだったので、ここからは市内バスに乗った。今もあの赤い派手なバスが運行しているようだ。バス停には『Tiến Lợi-Mui Ne-Hòn Rơm』と表示されている。


シンカフェからは予約したホテルの場所まではかなり遠い。バスを待っても良かったが私は歩いた。椰子林が続くムイネーの海岸通りは歩くのが楽しいのだ。
この通りの海側にはリゾート地らしいホテルが建っていて、内陸側は赤土の砂漠がすぐそこまで迫っている。ゲストハウスとか安いホテルは砂漠の方に多いようだ。そこにはヌックマムの醸造甕が置かれている場所もある。
そのリゾートと名付けられているホテルは3階以上の建物はあまり見かけない。椰子林に隠れて見えない位ひっそりとした佇まいになっている。この点がニャチャンのリゾートホテルとは全く違っている。そこがムイネーの魅力なのだ。


道端に大きな木が茂っている下に食堂があった。かなり歩いたので休憩を兼ねて食事をする事にした。店内には何人かの客がいた。おかずの種類は少ないようだ。おばさんに適当にと言ってお任せにした。このような店は選ばなくても日替わりのメニューを用意している。今日のは肉の上に玉子焼きを被せてあり、トマトときゅうりを添えてあった。

大通りから、このヘム(hẻm 路地)をどんどん上がって行くと、ついに砂山に出てしまった。これより先には砂漠が広がっているだけだ。チョッと引き返して尋ねてみた。すると、すぐ前の建物がそうだと教えてくれた。
1階にはバイクが並んでいるだけで左側に階段がある。受付は2階のようなので上がってみると、窓が開けっぱなしになっていて人影がなく、呼んでも返事がない。もう一度下に降りて近所の人に聞いてみると、「居る筈だけど」と電話をしてくれた。こんな所で足止めされたら大変だ。
しばらくして、おじさんが出てきた。昼寝でもしていたのだろう。「agodaの予約」と言ったら3階の部屋に案内してくれた。部屋は普通のホテルと変わらない。設備も十分でどこも清潔だった。それでもこの土地柄だろうか、都市部のホテルとは一風変わった雰囲気がする。
海側の窓を開けると涼しい風が通り抜けていく。人の良さそうなおじさんはエアコンのスイッチを入れた。そして商売が始まる。先ずレンタルバイクは要らないか聞いた。「免許を持っていないから」と言ったら、必要ないと言う。それでも「交通事故に遭ったら困るから」と言えば、それ以上は勧めない。
それからは周辺観光地のツアーだ。赤い砂漠に白い砂漠。この辺りは観光地に事欠かない。ただ私には全く無用のものだった。おじさんはパスポートを持って降りて行った。
それにしても、普段は信用できないagodaの地図だが、今回は珍しくそこそこ合っていた。このViet Hotelは高台にあり、ベランダからは海岸通りの椰子林がきれいに見える。エアコンは止めておいた。

荷物を片付けると、チョッと出かけてみる事にした。ここから海岸通りへ出るヘム(細い路地)にはゲストハウスや食堂が何軒もあり、果物を売っている店もあった。当然ながら、欧米系の人たちがやたと目に付いた。





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高原都市ダラットの朝は市街地にも深い霧が立ち込めるようになる。チョッと肌寒く感じる時間だ。


ダラットからムイネーまで(Google map) 休憩所では蒸し暑い熱帯気候に戻る。



ダラット~休憩所。深い山間の道に入り辺りは霧がかかっている。



山の中の休憩所。ここでバスを降りると蒸し暑い熱帯気候に戻った。



休憩所~ムイネー。降水量が少なく、赤茶けた土地には作物は限られるようだ。



ムイネーが近づくと赤や白の砂漠が出現するようになる。遠くには白い砂漠がきれいに見える。



海岸通りから入ったヘムの先には砂山と砂漠が広がっていた。今日のホテルはこの場所にある。