タ イ 北 部 と ベ ト ナ ム を 巡 る  
ソンテオに乗ってモーン族の村へ
タイ  3   3月12日(土)
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1.路地裏の店で朝ごはんのお粥を食べる

今日はモーン族の村(バーン・ドイ・プイ)へ行こうと思っているので、早朝7時にホテルを出た。

路地を歩いていると、道端にテーブルを出している食堂があった。何人かが美味しそうに食べているものは、お粥(ジョーク)だった。おじさんとおばさんが入り口の厨房で調理していた。おじさんはお粥の鍋をかき混ぜ、おばさんは具材や丼を用意している。土曜日だからかも知れないが、日本の朝と違ってみんなのんびりとしている。

私も店に入ってお粥を注文した。お粥にはすり身団子が入っていて、揚げた春雨をたっぷりトッピングしてある。そして細切りにした生姜がピリッと味を引きしめている。
お米は形状を残さないほど煮込んである。何とも美味しい。タイではお粥が人気の朝食らしい。


食事を済ませたら、急いでソンテオの溜り場チャーン・プアク門へ向かう。堀に沿った大通りを歩いて行くと、城門の近くに赤いソンテオが見えてきた。


2.土曜日なのに予想外、ソンテオを待っている人はたった1人

土曜日だから大勢の人が待っていると思っていた。かなり混雑するかも知れないとも思った。ところが、何とベンチにいたのはたった1人だった。その女性は退屈そうに座っていた。
こんな事ではこれから先がが思いやられる。私はこのドイステープ行きのソンテオの他に、そこから別のソンテオに乗り換えて更に山奥へ入らないといけないのだ。

大きな木の下のベンチは一目で人数を確認できるよう10人掛けにしてある。ここでは10人集まらないと出発してくれないのだが、さてどの位待てばいいのだろう。
赤いソンテオは道路脇に何台も停まって待機しているが、今は乗客より車の方が多くなっている。
すぐには集まりそうもないので、近くの市場へ行ってみた。奥まった場所に明々と蛍光灯が点いている屋内市場だ。ここではチョッと買えそうもないので、隣の7-Elevenに入って飲み物を買った。

チャーン・プアク門からこちらへはボタン式の信号機があり、おじさんはボタンを操作しながら、渡ってくる通行人に声をかけている。連れの人数の関係で10人を超えてしまうとどうなるのだろう。私は余計な心配をする。

やっと10人揃ったところで出発しようとすると、女性2人が助手席に乗り込んだ。何とも要領がいい。最終的な人数調整はこの助手席だったようだ。確かに荷台の堅い椅子よりは助手席の方が快適だ。

チェンマイ動物園を過ぎると山道に入って行き、かなり急な勾配をくねくねと上って行く。トゥクトゥクはこの山には入って来れないようだが、営業権があるかどうかだが、それにしてもこの坂道では馬力不足かも知れない。
何たって寺院のある標高は1080mもあるらしいのだ。
所々で木々の間からチェンマイ市街の景色が見えてくるようになる。
ソンテオに乗っている客は半数以上が地元タイ人のようだ。しかもカップルが多い。お寺でデート、でもないだろうが敬虔な仏教徒のタイ国民は、宗教心から寺院へ出向く人も多いと思う。


3.ドイ・ステープから先もしばらくソンテオの出発を待つ

ドイ・ステープに着きソンテオを降りたのは坂になった道の端だ。左側の歩道にはずらっと店が並び、向かい側はソンテオ置き場になっている。店を見ながら坂道を歩いてみた。ここから出発するソンテオは何種類かあるようで、所々に立て看板が置いてある。値段はどれも同じ、PHUPING PALACE 40B、MHONG DOI-PUIVILL 60B、DOI-PUI SUMMIT 200B、KHUN CHANG-KIEN VILL 200B 、そして、どちらも同じだがUP、DOWNと表示されている。確かに、これだけの山の中だとUPとDOWNには意味があるのは分かる。
ところでこのソンテオは何人集ったら出てくれるのだろうか。それが一番心配だ。


何台か停まっているソンテオだが、どれに乗ればいいのかが分からない。この案内板のすぐ近くに女性が1人だけ乗っているソンテオがいた。停まっているソンテオをあちこち見て回ったが、黄色い看板の近くにいた人に聞いてみると、これに乗るように言われた。1人だけ乗って待っている女性は、いつまで待っても良いような余裕の表情だ。

乗ってしばらく待った。客集めのおじさんはあちこち声をかけている。私とておじさんと同じ思い。誰でもいいから早く乗って欲しいのだ。おじさんもソンテオが満員になるとは思っていないようで、2人の客を連れてきて出発となった。運転手はあのおじさんではなく別人だ。欧米系の顔立ちの人になった

王室の離宮、プーピン・パレスに着くと2人が降りてしまい、最初から乗っていた女性と私だけになった。ドイ・プイまではあまり行かないのだ。おじさんも2人ばかりであの村まで行くのは嫌だったかも知れない。


4.モーン族の村には華やかな民族衣装の少女たちが

少し上った後、今度は坂道をどんどん下って行く。道路は舗装されてはいるが、かなり山の中に入るようだ。人にも車やバイクにも殆ど出会う事がない。
山の中腹まで下りてきただろうか、左側の木々の茂みの中に村が見えてきた。まもなくソンテオは広場に着いた。
バーン・ドイ・プイだ。周りを店にぐるり囲まれていて、そう広くもないのに車がいっぱい停めてある。三角屋根のゲートが村の入り口のようだ。

村に入ると道路の両側にみやげ物店が並ぶ通りになっていた。鉄パイプの突っ張りの付いたオーニングテントで日除けをしてある。売っているものと言えば、民芸品の小物に彫金のアクセサリー、モーン族の派手な模様のバッグや衣類、木工品など。モーン族が着る伝統的な刺繍された衣装の専門店もある。なぜかほおずきのような実が売られていた。店番をする女性も座って作業をしている。
この通りを歩いて行くと、徐々に店が少なくなって、民家がある村へ入って行く。坂道になっている森の中に家々が点在している。何軒もが密集した地域もあった。日本でも山間の村はこんな雰囲気だと思う。

道が分かれて公園のような場所に入って行くようになっていた。入口におじさんがいて入場料を徴収した。下り坂になってパラソルの小さい店が並んでいる。辺りを花畑にした公園だ。民族衣装のおばさんがパラソルの下で切り花を売っていた。横にテーブルを置いてあのほおずきのようなものも売っている。これは食べ物なのか試食のようなカップが置かれていた。おばさんはずっと俯いて刺繍をしている。

辺りを周遊できるよう、石段が作ってあって周りは花畑になっている。木の柱に棕櫚か椰子の葉で葺いた屋根の小屋。こんなのも各所に建ててあり観光地らしい雰囲気作りをしてある。
更に下へ行くと女の子が何人かいた。黒っぽい生地にピンクの模様の民族衣装がとてもきれいだ。これは写真を撮らないと。


撮る前に、この少女たちに撮ってもいいか聞いてみるとOKしてくれた。それでもこっちへ向いてと、何度も声をかけたが振り向かなかった。少女のこだわりなのか、近くにいるのは連れの人かも知れないし、契約的なものがあったりとか、よく分からない。案内する仕事でもやっているのだろうか。それでも横顔も民族衣装もきれいだったから、これで良かったかも知れない。後で気がついたが、この衣装を着た女の子たちは何人もこの公園にいたようだ。

広場の駐車場まで戻ると、ソンテオが何台も停まっていた。そして次々にワゴン車やソンテオもまだやって来る。次に出るソンテオを聞いてみると、カフェの前に停まっているのがそうだと教えてくれた。雰囲気的にはしばらく出発しそうもない。大勢のグループが来てくれればいいのだが。

ドイ・ステープ行きのソンテオに乗って村を離れる時、村外れの小さな小屋の横で、民族衣装の少女たちが集まってお弁当を食べていた。この村かそれとも近くの村からか、彼女たちは出稼ぎに来ているのかも知れない。観光化してしまったこの村の実態を垣間見たような気がした。


5.黄金に輝くドイ・ステープの仏像とストゥーパ

ドイステープの駐車場に着き、チョッと楽をしてケーブルカーで登る事にした。本堂までナーガ(蛇神)の階段もあるが、これが300段以上もあるようなのだ。上りはケーブルカーに乗る事にして下りを階段にしよう。階段を見上げるとその方がいいような気がした。殆どの人が下りに使っていた。

ケーブルカーは2本あるようですぐ乗れた。前の窓からトンネルのような空間とレールが見えた。私は麓の動物園辺りから長いケーブルカーがあると思っていたが、こんな山の頂上にあるほんの少しだけの乗り物だった。

広い境内にいくつもの寺院の建物が並んでいる。タイ北部では最も神聖な寺と書いてあったが、大勢の参拝者がいる。本堂は裸足で入らないといけない。私も中に入ってしっかりおまいりをしておいた。
仏塔は黄金に輝き目がまぶしくなるほどだ。この拝み方には作法があると思うが忘れてしまっていた。
白人系の人たちは特に仏教に対する信仰心は無いから、寺院や仏像はアートと捉えられているようだ。作法もよく知らないであちこちで写真を撮っている。

境内の外れに市街地がよく見える場所がある。展望台と言うわけでもないだろうが、みんなが写真を撮る場所だ。それが今日はどうも下の景色がはっきり見えない。ぼんやりと空港が見えたくらいだ。
しばらく信仰の世界にいた後、あの長いナーガの横たわっている階段を下りる事にした。急な長い階段で、時々ナーガの背に掴まりながら下りた。

ドイ・ステープからのソンテオは簡単に乗れたし、乗客も多くそう待たされなかった。

今回の、チャーン・プアク門からドイ・ステープ経由のバーン・ドイ・プイまでのソンテオは、歩き方の本ではチャーターするのが安心と書いてあった。確かに1日に何か所も計画している人には不向きかも知れない。ただ遅い時間でなければソンテオの便はあると思う。彼らも仕事をしない訳にはいかないから。

6.旧市街をぶらぶらしながらウアラーイ通りへ

チャーン・プアク門から旧市街に入った。この北側にある門から南側のスアン・プルン門まで歩き『ウアラーイ通り』へ行こうと思っている。この通りには銀細工の店が並び、土曜日にはナイトマーケットが開かれる。
チェンマイの銀細工には長い歴史があり古い王朝までさかのぼるようだ。


城壁内に入るとフルーツを売っている露店があり、スイカを買った。ビニール袋に入って竹串を付けてくれてある。さて、食べながら旧市街を歩いて行く。チョッと歩けば寺院に出会うこの地域、1辺が1.6kmの正方形になった旧市街だが、36もの寺院があるらしいのだ。そんな事で、ワット・プラ・シンにだけ参拝しよう。
少し歩いて小さな食堂に入った。旧市街は盆地のど真ん中にあるから風がなく暑い。スイカの後コーラも飲んだが未だ足りない。すぐできそうな簡単なものを注文した。

ワット・プラシンはチェンマイで最も格式が高い寺院と書かれていた。境内も広く、黄金に輝くストゥーパ、本堂は少し高い位置にある。中の仏像は金色に輝いている。その周りに小さい仏像が取り囲んでいるが、全部金色で眩しいほどだ。こんな時間なので参拝者は10人ほどしかいない。外国人用の入場料金は20バーツだ。これが京都や奈良だと千円単位になる。

このワット・プラシンがほぼ南北の中心になる。ここから東へ向かって Rachadamnoen Rd を真っすぐ行けばターペー門に出る。この近くにチキンの美味しい店があるらしいのだが、チョッと探せなかった。



7.銀細工通りのサタデーマーケットにはぎっしり露店が並ぶ

スアン・プルン門を出て路地に入り、ウアラーイ通りへと歩いた。門から真っすぐ行けばウアラーイ通りに合流するのだが、お堀沿いの道とで三角形のようになっていて、頂点から底辺に向かって垂直に歩けばチョットだけ近道のように思ったのだ。

通りに出るとあちこちでナイトマーケットの準備をしていた。16時20分頃だった。近道をしたつもりだったが、商店街やナイトマーケットはもっと遠くから始まっているようだ。仕方なく三角形の底辺を底角に向かって歩いた。45度の部分です。
銀細工の通りは、さすがにショーケースに銀製品をいっぱい並べた店が多い。食器から花瓶や仏具、指輪やブレスレットに置物などあらゆる商品が陳列してある。
工房も見えるかと思ったが、よく分からなかった。若し何かを買うつもりなら詳しく聞いてみたと思うが、そこまでは考えていなかった。それでも陳列されている芸術品のような作品を見るのは楽しい。伝統ある銀細工は職人の細かい技が見て取れる。この通りは古く、700年前頃から銀細工の店が集まっていたようだ。今も工房を持った店が並ぶ事で知られていて、ガイドブックなどにも掲載されている。


そんな店を巡っていると、通りにはたくさんの屋台や販売台が並ぶようになった。ここチェンマイには有名なチャン・クラン通りのナイトバザールや、ターペー門からワット・プラ・シンまでのラーチャダムヌーン通りに日曜日のナイトマーケットが、そして土曜日にはここウアラーイ通りにナイトマーケットが開催されている。

どこから持ってきたのか聞きたくなるような商品、主婦の副業のような物、業務用の真空パックを開けて盛り付けたような物まで、多種多様だ。日本じゃこのような市はまず見かけないし専門業者が行っているが、東南アジアでは素人も多いようだ。小学校の低学年らしい女の子も独りでかき氷用の豆類をボールに出していた。

薄暗くなって、ナイトマーケットが盛り上がる頃、私は逆に家路につく。旧市街を通り、ターペー通りからピン川沿いのPraisanee Rd まで歩いた。この位の距離を歩くともうチェンマイを知り尽くしたような気分になる。

アメリカ領事館の向こう側にある青果物が並ぶ市場に行った。ここは果物が安く買える。そのまま食べられるカットフルーツ・パックを3個買った。ここまで帰ってくるとホテルはすぐ近くだ。
買ったのは、ポメロ、ジャックフルーツ、ドラゴンフルーツだが、ポメロ以外はさっぱりしない味ですぐ飽きてしまった。今が旬の『マプラーン』は1束が大きくしかもかなり高いので買わなかった。1人ではとても食べきれない量なのだ。ビワそっくりなのだが、味はマンゴーに近いそうだ。
今日もたっぷり歩いた。しばらく休んで前の食堂へ行った。





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チャーン・プアク門の前にあるドイ・ステープ行きソンテオの乗り場。大きな木の下で待つ。



ドイ・ステープからのソンテオ乗り場。ドイ・プイ行きはここから、60バーツ。



村の門をくぐると商店街。みやげ物や民族衣装などの店が並ぶ。



日本では少なくなった親子のコミュニケーション。茶パツの娘と母は人生を語り合っている。



みやげ物の店がなくなったら、村の生活空間になっていた。坂のあちこちに家々が点在している。



足はサンダル履きなのだが、民族衣装は鮮やかなピンクの柄でとてもきれいだ。



この民族衣装は背中に小さい鈴と胴回りには硬貨のような飾りが付いている。



ドイ・ステープはタイ北部では最も神聖な寺の一つと言われているそうだ。



本堂の仏像には入れ代わり立ち代わりで巡拝者が参拝にやって来る。



龍の長い階段を下りてくると、今度はチャーン・プアク門方面行きのソンテオを探す。



「テレビ見ていたら、ついうたた寝してしまった」と言っているかは知りません。(ワット・プラ・シン)



スアン・プルン門は旧市街の南に2か所ある門の西側の方になる。ここから銀細工の通りへ。



ウアラーイ通りの両側にはナイトマーケットの露店が並んで準備が進む。



何もかも思い思いの物を適当に持ち込んで売っているようにも見える。



学園祭で、こんなバザーがあったような。子供も大活躍している。