山陰温泉かけめぐり  2010.11
湯けむりの河原湯へ
湯原温泉砂湯 河原の露天風呂をめざし山陰・三朝温泉、美作・湯原温泉へ。

途中、湯村温泉で湯けむりの温泉情緒を楽しみ、岩井ゆかむり温泉と吉岡温泉では共同浴場で地元の人達とふれあい、はわい温泉で足湯に浸かりる。
倉吉・白壁土蔵の町並で散策も楽しむ。紅葉につつまれた周囲の山々は超絶景だ。  
             2010年11月

【湯村温泉】
温泉総合支所から温泉街を歩く。狭い通りには中央に融雪用の水が出るような造りになっていて、雪の温泉街の情景を彷彿とさせる。春来川の両側は旅館街両側には昭和の面影が漂う旅館や民家がひっそりとした佇まいだ。夢千代の世界のようでもあり、今にも中から芸妓さん達が出てきそうな雰囲気さえする。

湯村は何といっても荒湯がいい。もうもうと湯けむりをあげている荒湯は温泉情緒を感じる事ができる。私は何度となくここにやって来るのには、この湯けむりに惹かれるからだ。
そしてここではゆで卵を食べる事、これも楽しみの一つとして重要だ。卵はみやげもの店に売っているが、メッシュの袋に入って紐はお湯に浸すにちょうど良い長さになっている。湯つぼの上についている金具に掛ければいい。しかも塩も付けてくれている。12分と言われた。

ゆで卵用の湯つぼは飲泉場の前にある”なかの湯つぼ”で。野菜とか魚介類は”したの湯つぼ”でと分けて使っているようだ。湯つぼに垂らし荒湯の前でゆで卵を食べるたら、下におりて足湯に浸かって待つ。ひんやりとした空気とこの足湯の温度がよく合ったこの季節。周りの山々も春来川のせせらぎものんびりとしたやすらぎを与えてくれる。
なかの湯つぼから取り出して、したの湯つぼの横にある石のベンチに座って食べる。袋には3個入っていたが、全部美味しく食べた。目の前の足湯には団体さんが大勢でとても賑やかになっていた。

川岸に沿って歩道には有名人の手形が貼り付けてあり、ふれあい遊歩道として整備されている。下流の方に歩いて行くと橋から上に出れるようになっていた。右は共同浴場の薬師湯、橋を渡ると夢千代館があり、その前にも足湯があった。
湯村温泉の夢千代像この後、温泉橋の方へ戻る。橋のたもとは荒湯の向かい側、もうもうと立ち昇る湯けむりの中に人影が動いている。その少し先には夢千代広場があって、傘を持った夢千代が立っていた。
温泉街の中心にあるちょっとした広場、ポケットパークには株湯と呼ばれる薬師湯の泉源の塔があったり、慈悲観音のブロンズ像の湯時計などがあったりする。
八幡神社の石段を上って行くと、中程にあるみやげ物店のおばさんが話しかけてきた。平日で通行客も少なくちょっと暇そうだ。何を勧めるでもない何となく力ない様子だった。
この坂の上は国道9号線が走っており、その上には八幡神社がある。この辺りの木々はきれいだ。真っ赤な紅葉とイチョウの鮮やかな黄色がいいコンビで、眩しい程の美しさだ。夢中で境内を走り回りシャッターを切った。

【岩井温泉】
国道から案内板を見ながら左側へ斜めに入る道を進んで行くと、しばらくして岩井温泉のアーチをくぐった。そこから先は温岩井温泉の温泉街泉街の静かな佇まいが続いている。私は共同浴場”ゆかむり温泉”へ向かう。この温泉はなまこ壁のどっしりとした建物だ。その前には数台分の駐車場があるが、案内板に従って左折し路地に入り奥にある広場の駐車場へ行った。

共同浴場と言っても温泉場に多い古めかしさはない。ロビーの自販機で300円を投入し入浴券を出す。
浴室はタイル張りになっていて、浴槽は2つ、壁には大きなタイルのモザイク絵が貼り付けられている。ゆかむりとはどんなものか見た事はないが、どうもこの辺りの習慣で頭にお湯をかけて温泉に入るものらしい。共同浴場ゆかむり温泉お湯は無色で熱い。
源泉かけ流しのようだが、とにかく熱いのだ。地元の人らしき数人が入っていた。私はゆっくりと体を浸していく。傍の人に少し話を聞きながら、しばらくこの熱い温泉を楽しんだ。
共同浴場を出ると通りには丹前姿の女性が何人か歩いて、少し向こうの温泉旅館へ入って行った。日常的に大勢の人達で賑わう活気のある温泉街になって欲しいものだ。



【吉岡温泉】
白兎海岸にある道の駅でどう行けばよいか尋ねると親切に教えてくれた。国道からすぐ横の道を入るらしい。山陰線の線路をくぐり少し走ると道幅も広くなり山道になった。かなり雨が降っていて視界が悪い。教えられたとおりの道を進む共同浴場吉岡温泉館と、温泉に着いたようなのだが貰った地図と方向が違っていた。どうも方向感覚が働かない。交差点にある郵便局で尋ねてみると、すぐ横の通りだった。
確かに、吉岡温泉と書かれた大きなアーチが見えた。狭いこの通りを入って行き共同浴場の吉岡温泉館を捜す。
よく分かる看板が出ていた。温泉館からこの道を挟んで駐車場がある。5,6台駐車できるようだ。
浴室の入口でおじさんに200円払って入る。脱衣所は簡素な造りで、木枠の中に籠があるだけだ。この雰囲気はなかなか良い。ここに着いた時もまだ雨が降っていて、温泉街には人影もなくひっそりとしていた。ひなびた温泉の風情を感じていたのだ。
吉岡温泉の足湯浴槽は1つで、青いタイル貼りになっている。狭い洗い場の空間には何人かいた。
お湯は透明だがタイルの色で青く見える。ところがそのお湯が猛烈に熱い。しばらく足だけ浸けて慣らしていく。そしてしっかり入るとぽかぽかよく温まる素晴らしい温泉だ。これはいい所に来たと思った。
温泉から出て長椅子のある休憩所に腰をおろすと、そこにいたおじさんが話しかけてきた。ずっとガラス越しに駐車場を見ていたようだ。そして遠くの県外ナンバーの車がやって来たので気になっていたみたいだ。話していると私と同じような業界で働いていたようで、話がはずんでしまった。もう1時間も話しただろうか、その方は「すっかり湯冷めしてしまった」と言いながら帰って行った。車で30分程の場所から来ていたようだ。
ここ吉岡温泉の共同浴場には、この上湯と呼ばれる吉岡温泉館の他に下湯と言うのがある。先ほどの方に聞いてみたところ、開くのが遅いのと浴槽が狭いらしい。
雨も小降りになり温泉街を歩いてみた。旅館も少なく静かだ。角に足湯があって、車で送って来てもらったお年寄りがちょうど浸かろうとしていた。


【浜村温泉】
この温泉には以前泊まった事がありちょっと寄ってみた。車を浜村駅の駐車場に置き、駅前の案内所で散策マップを貰う。浜村温泉の共同浴場駅のすぐ前に足湯があったが、もう1ヵ所あるようだ。温泉施設は、共同浴場の他に”気多の湯浜村温泉館”と”ゆうゆう健康館けたか”がある。地元の人に話しを聞くと「温泉って言っても旅館がない温泉になってしまった」と言っていた。私が以前泊まった宿はとっくに廃業したそうだ。
共同浴場は地元民を集めているようで、何人か洗面器を手にした人に会った。その近くにかなり大きな足湯があって、学生らしき男女が数人入っていた。私も早速浸かってみたが、見た目とは違ってかなりぬるめのお湯だった。
鳥取県は温泉地が多く、競争していくのも大変なのだろう。かつての温泉街を散策してみたが、風情はまだ残っているものの、温泉ホテルが一軒あるだけだった。貝がら節のふるさとだけに復活して欲しいものだ。


【はわい温泉】
はわい温泉では足湯めぐりをする。現在、隣の東郷温泉と一緒に、七福神にちなんだ名前の足湯が6カ所あり、将来は7ケ所にするそうだ。車を東郷湖の近くの広場に置いたから、先ず第三湯、寿老人の湯から。ここはちょっとぬるめのお湯だ。広い通りに面しているから周りを見ながら入っている。
はわい温泉第一湯の足湯次は第一湯、福禄寿の湯。そこには3人入っていた。熱くてよく温まるお湯だ。しばらく話しながら浸かっていると、車で迎えに来て1人が帰って行った。お湯熱いですねと言うと、湯口の人がこっちがもっと熱いと言った。夫婦が帰った後でその場所に移ると、さすがに熱い。じっと浸けていられない程だ。今まで入ったものとはかなり違っていた。汗がにじんでくる。かけ流しの最高な足湯だ。
その後、第二湯、恵比寿の湯。船を改造した第四湯、弁財天の湯。とめぐり、東郷温泉へ行った。第五湯、布袋の湯は広い湖畔にあり大勢いた。近くに卵を湯がくコーナーがあって、何人かが使っていた。ここは湯村温泉のように販売所もなく自分で用意してきたようだ。ちょっとやってみたいが卵がない。湖では釣りをしている人もたくさん居て、どっさり卵を浸けた後、釣り糸を垂らしていた。
はわい温泉第二湯の足湯
松崎駅の近くにある第六湯、毘沙門天の湯は、ちょうど洗ったようでお湯を溜める途中だ。ここは風除けもなく寒そうな感じがする。
東郷温泉には駅前に共同浴場があるのを知っていた。駅に隣接したスーパーの横を少し行くと狭い通路があって、その奥に古くてちょとさびれた建物があった。駅側からだと分かり難いが、裏通りには面している。趣のある温泉のようだ。



【倉吉の散策】
倉吉は温泉地に囲まれた古い歴史のある町。白壁土蔵や商家の町並が残されている。かつての城下町、陣屋町として栄え倉吉白壁の町、今も狭い運河のような玉川沿いには昔が偲ばれる蔵屋敷がある。

打吹山のふもとの市役所通りには観光駐車場があり、近くのカフェを併設した観光案内所には散策絵図やパンフレットが用意されている。
私は玉川沿いをいっぱい歩こうと思い、そこから商店街を西へ向かう。この通りにも観光客相手の店が多いようだ。そして数十人の団体があちこちで散策していた。

玉川は実に趣のある水路だ。白壁の土蔵がずっと続いている。そしてその蔵はレストランやみやげもの店、展示場に利用されている。この古い蔵を改装して作られたのが赤壁と呼ばれる9つの蔵からなる施設だ。
倉吉白壁の町白壁土蔵のあるこの水路の角地は打吹山も見え景色がいい事から、男はつらいよのロケ地としても使われたようだ。

打吹山の方にも遊歩道があり古刹の長谷寺や展望台まで行かれるそうだ。
また近くにはラドン含有で有名な関金温泉もある。
あちこち、この古い町並を散策し三朝温泉へ向かった。



【三朝温泉】
温泉街の入口にある河原の無料駐車場に車を置いて、すぐ近くのかじか橋を渡る。ちょうど橋の真ん中に足湯の”か足湯のかじか湯じか湯”がある。ここからは向こうの温泉旅館がたくさん見える。そしてすぐ前の三朝橋のたもとの河原には目的の河原風呂があるのだ。

三朝橋の上から河原風呂を眺めてみた。大きな岩で囲まれた露天風呂には、橋側に言い訳程度のすだれの目隠しが張ってあるものの、周りは開放されている。何とも大らかな河原にある温泉だ。そのすだれのこちら側は足湯になっている。
私は何度となくこの温泉にやって来て宿にも泊まっているが、今までこの河原湯に入るのにはちょっと抵抗があった。

脱衣場はその目隠しの傍にちょこんと棚がある程度だ。浴槽側には何もない。河原湯には温度の多少違う浴槽が2つある。三朝温泉の河原湯私は低温側から入った。どちらも数人づつ気持ちよさそうに浸かっている。この季節なのでお湯に浸かってないと寒い。その後、少し高温の側へ移った。長くいる人は体を半分以上外に出しているようだ。しばらくして隣に若い女性が一人で入ってきた。勿論バスタオルでぐるぐる巻きだが、こんな明るい時間に女性が入るとは信じられなかった。

この温泉は世界有数のラドン含有を誇っている。三たび朝を迎えると元気になると言われ三朝の湯となったようだ。
それにしても、ぐるり景色が見渡せる、ぐるりから見られている河原の中の温泉なのだ。それでも一度入ったらこの快適さは癖になりそうだ。
薬師の湯の足湯と飲泉場ただ、お湯から出る時に流すかけ湯用のお湯がない。水道の蛇口が1ヵ所あるだけだ。

お湯から出て温泉街を歩いてみた。昼間の顔はみやげもの店や商店のある普通の街だ。しばらく歩くと薬師の湯の足湯と飲泉場があった。一杯たっぷりいただく。その近くには栃餅で有名な松之屋がある。
以前、共同浴場の株湯に入った事があったが、そこは改修されてしまったようだ。古めかしくて何とも趣のあった株湯だが残念だ。他にも観光案内所の近くに外湯のたまわりの湯もある。

【湯原温泉】
湯原はダム湖の下に湧く温泉だ。温泉街に沿って旭川がゆったり流れていて、その河原は無料の駐車場になっている。ダ湯原温泉ムのすぐ下の河原にある露店の温泉は砂湯と呼ばれる。この砂湯には何度か入った事があるが、こちらも周りに囲いのない開放的な温泉だ。
駐車場からしばらく温泉街を歩いて行くと吊り橋があり、その向こうは山際の狭い道になっていて、湯けむりが上がっている砂湯が見えてくる。
ここの脱衣場は小屋になっていて周りからは見えなくなっているが、その先は遮るものは何もない全くの河原だ。
岩の浴槽はいくつかあって、やはり温度が微妙に違うようだ。私はちょっと温度の高いらしい山側のに入った。すぐ頭の上には紅葉がきれいだ。目の前の山々もまだらな紅葉が始まっていた。お湯の中では三重から来た方とずっと話しながら過ごした。この河原の温泉はちょうど良い温度でとても快適だ。
湯原温泉の飲泉場ただ、長く入っていたから、日陰だったところへ陽が差し込むようになってきてしまった。それでも室内湯と違ってお湯にのぼせてしまう事はない。そしてここにも若い女性が二人で入ってきたのだ。おじさん達が裸で歩き回っているのに凄い。
出る時のかけ湯には、入口の坂を下りた所に小さなお湯を溜めてある場所があった。
かけ湯をして出た。何時間いたのだろう、いいお湯だった。三重の方は未だ入っていた。
温泉街をぶらぶら歩く。途中に薬師堂の前に飲泉場があってたっぷりいただいた。そしてその近くの鼓橋のたもとには足湯がある。足湯は河原にも何ヶ所かあった。
平日の昼間で温泉街をそぞろ歩きする人もいないようだ。

尚、三朝温泉の河原湯もこの砂湯も24時間入れて無料となっている。ただ清掃時間は要チェックだ。

【中国勝山】
湯原から国道313号線で勝山に下りた。勝山宿は旧出雲街道の宿場町として、また城下町としても栄え、今も古い町並が保存されている。
白壁の土蔵や古い商家が街道沿いに軒を連ねていて、町興しの一環として、それらの家屋の玄関には工夫されたデザインの暖簾がかかっている。
そして白壁のJR勝山駅にも暖簾が取り付けられていた。駅にいた地元の人から聞いたところでは、昔はここまで舟が川を上って来ていたようだ。この近辺の産物の交易場としても賑わったのだろう。
武家屋敷や格子窓の商家などの町並み保存だけでなく、駅前から町民センターの方へ斜めに延びる檜舞台と言う通りがあるが、檜の角材を雁木のように組み合わせて作った趣のある商店街になっている。

旧街道から武家屋敷館をぐるり回って、対岸の木材ふれあい館にも行ってみた。
この街はそう広くないから、歩くだけなら1時間程度のものだ。私は何度かこの町に来ているが、いつも観光客を見かける。今回もグループや家族連れがたくさんいた。

ただ現在の商業地は隣の久世の方に移ってしまったようだ。そちらには、ゆめタウンやドラッグストア、新しいディスカウントストアなどもできていた。




                            
     Home


湯村温泉の荒湯      湯村温泉荒湯


    八幡神社境内の紅葉















   岩井温泉絵地図の案内板

   岩井温泉案内板の歴史絵巻


    吉岡温泉入口のアーチ

吉岡温泉の町並み       吉岡温泉の通り


















東郷温泉第六湯の足湯  東郷温泉にある毘沙門天の足湯

第五湯の卵を湯がく場所  布袋の足湯にある温泉卵場80℃



倉吉並木道     倉吉市庁通りの並木道
     倉吉古い町並保存地区

三朝温泉の河原湯      三朝温泉の河原湯

三朝温泉の温泉街      三朝温泉の温泉街

三朝温泉   三朝川に沿って建つ旅館街

湯原温泉の砂湯     湯原温泉の砂湯入口

湯原温泉の砂湯    湯原温泉河原の砂湯

 JR中国勝山駅にも入口に暖簾が
    勝山の町並み保存地区