蘇州・無錫・紹興・上海を巡る旅 ① | |
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1. 初めてのLCCで上海へ 今回の上海行きは3度目でやっと実現した。と言うのも、チケットは3月に取れていたが、震災の影響で航空便の就航が延期されてしまった。その次は、ちょうど台風接近で、この日もまた延期になり、今回3度目でやっと乗ることができたのだ。 高松空港発のLCC春秋航空、上海行き。格安で発売されたので2往復分も買ってしまった。 機内で初めて、うわさの飛行機体操なるものを体験した。急に機内が騒がしくなって通路を見ると、CAが数名で手を動かしたり体を揺すったりして体操を始めたのだった。促されるように乗客たちが同じような素ぶり、手を大きく上に伸ばして動かし始めた。 何とも不思議な光景。勿論、私も慌ててそれに従った。でもよく考えると、これはとても良いアイデアだ。LCCは座席の間隔が少し狭くリクライニングができない。ちょっと窮屈さを感じる人もいるだろう。それにエコノミー症候群と言うのもある。ただ、上海までの飛行時間はいたって短いのだけれど。以前に、何度か中国国際航空にも乗ったがこんな体操は無かった。 それと、このLCCは新幹線のようにワゴンで機内販売がやってくる。私はグレープジュースと言ったのだが、オレンジしかないと言われてしまった。春秋航空は”元”でしか買えないとか、レートが悪いとかネットの書き込みを見ていたので、前の旅で残っていた元で支払った。10元だ。中国ではよく出回っているPETボトルに入ったミニッツメイドのつぶ入りオレンジドリンク、生温かいのを渡された。 それにしても中国のツアー客は、よく食べるし大きな声でよく喋る。社員旅行とか、家族連れとかも多いようだ。私は久しくこんな旅はしていないので、ちょっと羨ましくも思った。 2. 上海浦東空港から南京路へ 空港ではいつものように、先ず観光案内所へ向かう。蘇州の観光地図をさがしたが無い。それでも紹興の魯迅故里とか、南翔老街、金山農民画村とかのパンフレットは置いてあった。そして日本語版の『上海旅行観光地図』、を貰った。 空港では他に交通カードを買うつもりだが、地下鉄乗り場付近をさがしても売店が見当たらない。地下鉄駅の売店で、と読んでいたのに。仕方なく ![]() 後で調べたのだが、どうも地下鉄の售票処の窓口で売っていたようだ。 ともあれ地下鉄2号線で南京東路まで向かう事にしよう。リニア線に乗る人も多いようだが、あれは虹橋まで開通しなければあまり意味がない。 窓の外はのんびりとした田園地帯、しばらく地上を走る。 途中、広蘭路駅に着くと、皆が先を競うように、前に停車している電車に向かって走った。これだったのか、そのまま市内へ入れないと言ってたのは。うっかりしていると折り返し便となり再び浦東空港へ行ってしまう。何故かこの駅で強制的に乗り換えさせられるのだ。 南京東路駅で降りて地上に出ると、よく見かけるあの雑踏の大通りだった。通りに沿った建物も、歩行者天国の大通りも、整然としている。随所にベンチが置かれ、緑も配置されている。大勢の人だ、上海の活気が感じられる。アジア系以外の人も多く、何とも国際的な歩行者天国だ。 しばらく眺めていたが、ここでは蘭州拉麺を食べる予定だ。天津路の方へ向かって路地を歩いた。 ![]() 注文を聞いてから麺を打つと言われる蘭州麺の味はどうなんだろう。看板にも出ている牛肉面が有名なのだが。 メニューがよく分からなかったので、とりあえず「ニューローミエン」と言ってみた。 注文はできた、でも辺りを見渡すとどうも拌面を食べている人が多い。それに、そっちの方が美味しそうに見える。ゆっくりメニューを見ると刀削面もあった。こちらは大同が発祥地だが、是非食べたいと思っている麺だ。 牛肉麺は細麺でちょっとコシもある。スープは薄いしょうゆ系であっさりとしていた。これと言った特徴を捉える事なくすぐ食べ終えてしまった。牛肉はほんの少ししょうゆで味付けしたものがのっていた。もともと回族の人たちの麺だから、豚は使わず羊肉か牛肉の文化なのだ。 ![]() 店の入り口では材料を捏ねて、伸ばして、細くなるまで引っ張って、何度も空中に麺が飛ぶ。その向う側、店の外では釜で麺を湯がいているのが見える。麺が出来上がると奥の調理室へ持って行って、トッピングをしスープ注ぎ持ってくるのだ。確かに麺の作り置きはしていなかった。 子供にお金を支払おうとしたら、奥から母親が出てきた。やはりこの拉麺店、みんな漢民族とは違う顔立ちだ。それにメニューも麺だけでなく、肉料理も多く、スープ類とかもあった。日本のラーメン屋さんは、メニューは少なく、大か小か言えばほぼ大丈夫なのだが。 まだお腹に隙間はあったが、沈大成へ行って上海名物の青団子を食べようと思って店を出た。 3. 沈大成の豆沙青団は季節限定だった 南京路に戻りしばらく歩くと右側に見えてきた、見覚えのある店。実はTVの番組で、青団子を買い求める人の長い行列を見ていたのだった。 インタビューで、「この店とっても有名なの、わざわざ遠くから買いに来たのよ」、とか、「うちの地元にはこんな美味しいの無いわ」、とか言っていた。草餅に似ていて中には餡がぎっしり、たまらない食感、甘さも程々で絶妙な美味しさ、とか。 でも今日はちょっと様子が違う、人だかりはあるが行列なんぞどこにもなかった。 ![]() 何だ、青団子は季節限定だったのか。どうりであの時は長い行列だと思った。でも水晶餅も美味しそうに思えた。何とも夏らしい季節感がある。で、1個って言ったら、1袋に2個入ったのをくれた。4元だ。 TVではみんなその場で頬張っていたいたから、私もベンチまで歩かずそこで立ったまま食べた。 外皮は餅と言うより、でんぷんが入っているような食感で、よく冷えていた。中の餡は程良い甘さで美味しい。 青団は無かったが水晶で満足した。しばらくベンチで休んだ後、南京西路の呉江路を目指して人民広場駅の方へ歩いた。大きな交差点は地下道しか横切れない。 ここからの西路は商店が少なくなってきた。そして再び商店街にさしかかり、左に折れると、昔、屋台街だったと言う呉江路だ。上海万博を機に再開発されたみたいで、随分とすっきりした通りだ。そして殆どが飲食店。有名な生煎の店、小揚生煎館。是非行きたい店にリストアップしてある。 ![]() ぶらぶらしていたら、かなり時間が経っていた。もう蘇州へ行かないと。ユニクロの横を通って南京西路駅へ向かった。地下鉄駅への階段を下りて行くと、何と交通カードを売っている売店があったのだ。色んな絵柄がある。私は普通のデザインのが欲しかったがそれが無い。仕方なく上海万博のデザインされたのを買った。40元でちょっと高い。でも、これでバスも地下鉄もタクシーも大丈夫だ。駅構内に入り自動チャージャーで200元入れておいた。 ここからは2号線で人民広場駅まで行って、1号線に乗り換え上海駅まで向かう。私は未だ、この時点では上海虹橋駅の事は知らなかった。 地下鉄を降りて真っ直ぐな長い地下商店街を歩いて行くと、人が殆どいない北口へ出てしまった。多くは途中で左側の地下鉄3号、4号線へ行ったようだ。 4. 高速鉄道で上海駅から蘇州へ それでも駅舎の左端にある售票処を見つけた。長い行列だ。正面上部には眩しい程の赤い字の電光掲示板があり、列車の情報が出ていた。蘇州から南京辺り方面の列車をさがす。 行列に並んで、座席の残り数をチェックしメモをとる。そして無言でできる注文書を作り上げた。今日、列車番号、上海出発時刻、行き先、軟座。第3希望まで書いた。この時は在来線の種別の軟座と書いたため、1等座席になってしまった。高速鉄道のGとかDのつく列車は2等座と書けばいいのだった。 ![]() 駅構内へ入るにはX線の荷物検査がある。それは地下鉄駅でもそうだった。そこでやっと海外にいるのを実感するのだ。 広い待合所は列車別に区切られていた。未だ雰囲気が十分掴めない。薄暗いし、売店も隅に1箇所しかない。何とも落ち着かない。隅の方を見ると、水のPETボトルを積み上げた場所で、切符を見せてそれを貰ってる人がいた。 ちょっと試してみよう。そこのおじさんに切符を見せると、鉛筆でマークを入れて水を渡してくれた。PETボトルに入ったチベットの水、無料でサービスしていたのだった。勿論、冷えてはいない。 しばらく待っていると前のゲートが開いた。乗客が一斉に動き出し、私もその列に続いて歩いて行った。 座席に座ってやっと1等座だと気付いた。ちょっと高いとは思っていたが。何も20分ばかりでこんな席でなくてもよかったのに。 ともあれ、快適に走り、郊外へ出ると350kmにもなった。私としては、もう少し遅くてもいいんだけど。外は暗く、何も見えなかった。 5. 蘇州駅前のバス乗り場をさがし暗闇を歩く 新しくなった蘇州駅は大きくてきれいだった。広い地下通路にはホテルの案内員がいて、通行人に盛んに声をかけている。そしてこの通路の突当りには、外に出る大きな階段とその横にエスカレータがある。地上に上がると広場になっていた。ちょっと薄暗いが、向こうの方に大通りがあり車の通行が見えた。バス停はあっちだと決めつけて歩いて行った。ところがバス停はあるが乗る予定の番号が無い。100m程離れた別のバス停にも、通りの反対側のバス停にも無かった。街灯の途切れた暗闇を歩き続けた。 ![]() さっき買った上海の交通カードをセンサーに近づけるとピーと鳴った。賢いカードだ。この後の無錫でも紹興でも使えた。このバスは2元+エアコン代1元だ。 バスは乗るのはいいが降りるのが難しい。台北で冷や汗をかいた経験があった。そこで運転手に、降りるバス停名を書いたメモを見せたが、完全に無視された。韓国ではどのバスもちゃんと面倒をみてくれるのだが。 それでも、バスを待つ間に、降りる停留所から逆に5カ所程メモをしておいたのだった。 そして幸運にも、蘇州のバス停は、バスの中からでも停留所名がよく確認できた。これだと運転手の案内なんて要らない。 3つ位前に近づくとそわそわした。降りる人は降り口へ行って待つ。手摺にボタンがあってそれを押すようだ。そこ以外にボタンは無い。日本では「バスが完全に停まるまでお座席を立たないでください」と放送があるのだが、ここでは降り口まで行っていないと怒鳴られそうだ。 無事目的地に到着し、ここで娘にメールを入れた。しばらくすると孫娘と一緒に迎えに来てくれた。中国の駐在生活も長く、すっかり馴染んでいるようだ。 夕食は久しぶりの娘の手料理、とても美味しかった。 ![]() |
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