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門司港は小雨だった。 天気さえ良ければ門司港レトロ地区を歩いてみようと思っていた。 先ずは国際フェリーターミナルまで行って乗船券を買わなければ落ち着かない。予約はしていなかったのだ。 待合所は開いてはいるものの出札案内所はCLOSEになっていた。しばらく警備のおじさんと話したりしながら待つ。8時になって女性職員3名が窓口に座ったが、CLOSEを外すでもない。ターミナル入口の案内板には9時からになってはいたが、何もしないで座っている3人は何なんだろう。しばらくして警備のおじさんが窓口へ確かめに行ってくれた。どうも発券はもう大丈夫らしい。急いで行って誰よりも先に切符を購入した。乗船券9800円にサーチャージ800円旅客ターミナル使用料500円である。 チケットが手に入ったらすっかり緊張感がなくなってしまった。あとは乗船時間を待つだけだ。乗船は10時30分から11時までだと説明があった。そしてしばらくすると大きなフェリーが入港してきた。 小雨が降る中、傘を持って外へ出てみた。 門司港の街歩きは始めてだった。レトロガイドマップを見ながら、大連通りからはね橋を渡ってレトロ中央広場へ。同じ時代の洋風の建物がいっぱい残されている。そしてガス灯通りからJR門司港駅へと歩く。駅は外見も中のつくりも何だか懐かしいように感じる建物だ。国の重要文化財に指定されているらしい。確かに大正時代に建てられただけあって映画にでも出てきそうな雰囲気がする。そんな古い建物だが、この時間は通勤通学客が慌しく動いていた。 私は知らなかったが、関門海峡の底を歩いて渡れる地下トンネルがあるようだ。780mを15分で歩けるとか。これはいずれゆっくり歩いてみたいと思う。 ![]() 長いタラップを上り船に着くと、そこからはエスカレーターがフロントの階まで続いていた。部屋はどこかとチケットを探していると、日本人客の一人が「1等室はどっちかな」と話しかけてきたので「私は2等だから」と言ったら「日本人は同じ部屋らしいですよ」と言うのです。で、部屋番号を見ると、何と1等室Aになっていた。料金は2等でも客室は1等なんだ。 新規就航のサービス期間中なのだろうか。通路にはふわふわのカーペットが敷かれているし、何人もの女性乗務員が立って案内していた。 しっかり空調の効いた静かな部屋。外の音もエンジン音も殆どしない。エンジンはずっと底の方にあるようで振動も伝わってこない。 私は2段ベッドの下段だった。真っ白なシーツを敷いてベッドメーキング完了。 クッションも良くこれじゃ安眠できそうだ。 特に用もないのでベッドで寝そべっていたが、他の人も同じように横になっているみたいだった。最初は携帯であれこれ仕事の電話をしていた人達もしばらくすると静かになった。 今夜は夜行列車だからここでゆっくり寝ておこう。 船が動き出したのも気付かなかった。ドラの音もここまでは聞こえない、静かな出港だ。 そっとカーテンを開けてみると窓の外を建物が動いて行くのが見えた。 船内の放送は殆ど韓国語だった。レストランでは団体客の食事が終わったらしく一般客への案内があったが、今12時50分なのにオーダーは13時までとか言っていた。 船内は学生、それも女子大生が多く目に付く。免税店や売店がやたらと賑わっていた。小さなコンビニもあった。何度か甲板に出てみたが、細かい雨が降り続いていて景色を眺める状況ではなかった。と言っても海しか見えないと思うが。 釜山へは19時到着の予定になっていたが、18時30分に下船が始まった。下船にも門司港と同じような急傾斜の簡易タラップだった。関釜フェリーのように定位置が確保されていないようだ。その後、イミグレーションまではバスで運ばれた。 ![]() 釜山はとっても活気がある街だ。ぎっしり立ち並んだビルの間を車が駆け抜けて行く。港から大通りに出ると、さあいよいよ旅が始まるぞ、という意気込みが湧いてきた。 私は国際フェリーターミナル(中央洞)から釜山駅まではいつも歩いてしまう。地下鉄の階段を荷物を持って上り降りするより歩いた方が楽だし、街歩きの旅が基本だからその方が楽しい。ただ、今日は霧雨が降っていて楽しくとはいかないようだ。 今、何よりも重要なのが今夜の江陵行切符を買わなければいけない事。江陵はちょうどタノジェ期間中だから混むかも知れない不安があった。 釜山駅正面のエスカレーターで2階へ上がり出札窓口へ急いだ。「ヨルシシップンパル、カンヌンカジ、ハンジャン」と言えば「オヌル?」と聞かれ、「ネー」と答える。もう一度オヌルを強調され、もらった切符にはTodayとペンで書かれていた。31200wだった。 列車も高速バスのように深夜料金が要るのか、少し高いように思った。切符が手に入ると、週末だけの運行だからそんなに客も多くないのだろうとか楽に考えてしまう。何とも現金なものだ。 緊張が緩むと、今度はお腹が急に空いてきた。この駅ビルにもたくさん店はあるが、やっぱり庶民食堂へ出かけよう。 国鉄釜山駅から広場を通って地下鉄駅へ向かう。ハナロカードはかなりの残高があった。地下鉄は西面駅で降りた。目指すはモッチャ横丁、テジクッパッ通り。地下通路から地下街を抜け地上へ出るとちょっと行き過ぎだった。 ![]() すぐ水を持ってきてくれた。テジクッパッと言うと引き返し、パンチャンと薬味を持ってきた。その後しばらくして熱々の鍋に入ったテジクッパッが運ばれて来た。 もうこのメニューもかなり慣れているのだが、リュックを持っていたので旅行者と思ってか丁寧に食べ方を教えてくれた。 しばらくして若い女性客が斜め前のテーブルに座った。そしておもむろに『地球の歩き方』を取り出し料理の所を見ていた。店員が注文を取りにくると本を指差して何やら話している。 その後、店員がメニューを持ってきて話し合っていたが、どうやら決まったようだ。テジクッパッだった。 運ばれてくると、先ず写真を撮っていた。これはやはり日本の旅行者だ。 全部食べたらお腹がいっぱいになった。出口で5000w払った。安くて美味しいお気に入りのメニューだ。 このテジクッパッ通りは狭い。もう9時頃だからちょっと薄暗く人通りも少なくなっていた。まだ少し雨も降っていた。足早に地下鉄駅へ向かう。西面の地下街はいつものように混みあっていた。そしてそのまま釜山駅へ戻った。 ![]() この時間帯はソウルからKTXの到着列車が多い。ぶらっと歩いているつもりが、前から一斉に歩いて来るものだから時々動けなくなってしまう。その通路の片隅に慶州パンの店を見つけた。ファンナムパンは慶州の本店以外では東大邱駅にもあるらしいが、慶州パンの店は方々にたくさんあるみたいだ。あの餡入り饅頭がおみやげに人気なんだ。 少し早いが3番ホームに降りてみた。誰に切符をチェックされる訳でもない。 こんな所で列車を待っている人などいない。乗客は未だ涼しい待合所にいるのだろう。誰もいないホームで売店の明かりだけが眩しく光っていた。 ぶらぶら歩きながら暇を持て余していると、乗務員らしき人が話しかけてきた。心配してくれているのか不審に思ったのか切符を見せるよう言われた。そしてそれを見ると納得したように、このホームで5号車はもう少し向こうだと教えてくれた。 9時45分頃、ムグンファ号が入線してきた。私は5号車39番。隣の4号車はゲーム機とか飲食のカウンターが付いた ![]() 網棚にリュックを上げ、ベルトと止め具でパイプに固定した。 私は以前、バンコクからスリン行のスプリンターに乗った時、前に座った人の大きなスーツケースが列車の揺れで網棚から落ちてきたのを見ていた。ちょうどその席の乗客がトイレに行った時だったので事故にはならなかったのだが。それ以来、網棚の大きな荷物がとても気になっている。その旅行者は中国系の家族連れのようだったが、そんな事があったにも関わらず、その後も同じような状態で網棚に載せていた。私はアユッタヤーで降りたから、それ以降の事は分からない。 釜山駅を出る時は少なかった乗客も、次の亀浦駅でかなり乗ってきて空席がほぼ埋まった。駅に着く度に乗り降りが繰り返され、しばらくするとこの席の隣もいなくなった。 江陵〜東海辺りの観光客だけではなく、地元の人の利用者も多そうだった。 密陽(ミリャン)も通り過ぎた。辺りは列車の音以外しなくなった。 |
![]() 小雨の釜山、国際フェリーターミナルから中央洞付近までやってきた。 ![]() この22時10分発ムグンファ号江陵行は金・土のみ運行の列車。京釜線を走り金泉から慶北線に入り、栄州から嶺東線へ、道渓、東海を経由する。途中スイッチバックがあるが走りが特異なものだった。(栄州2:25鐵岩4:07東海5:32正東津6:00江陵6:18) ※ 2010.11〜 釜山発22:30江陵着6:55(金・土のみ)に変更されている。 ![]() 夜の釜山発の列車。 私はムグンファ号22時10分発の江陵行に乗る。この列車の他にソウル行の夜行列車が2便ある。江陵へはソウル清涼里からも夜行列車が2便ある。その内1便は週末のみ運行。 ![]() ![]() <テジクッパッ> 赤い唐辛子をまぶした韓国ニラはクッパの中に入れ辛味を調整する。アミの塩辛(セウジョッ)は塩味を整える。 玉ねぎやニンニク、しし唐はテンジャン(みそ)を付けてそのまま食べる。 クッパッは何も加えず食べてみるとお粥のようでもある。タテギを混ぜるとコクが出て美味しくなる。 更にセウジョッを加えると塩味も加わって猛烈に美味しくなる。 次に赤い唐辛子の付いた韓国ニラを入れると辛味が出てきた。この野菜に特に味はないが唐辛子の分だけ辛い。これらは味を確かめながら少しづつ加えていくのがよい。もう十分美味しいレベルまで調整できた。 ![]() |
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