メ コ ン の 流 れ と と も に     30
ホーチミンからシンガポールへ
シンガポール 1   2月14日 (火)
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1.タンソンニャット空港の物価は国際水準

5時に起きた。隣は夜中騒いでいたが、こんな時間でもまだ声がしている。賭け事でもやっているような気もするし、一体何なんだろうか。そして隣の建物と一体となっているようなこのホテルは。
洗濯物を少しドライヤーで乾かした。クローゼットの前に置いたサンダルの上にゴキブリがいた。2匹で生活していたから、相棒を探しているかのように長いヒゲをくるくる回し、ちょっと寂しそうだ。

2階のロビーはまだ薄暗かったが、おじさんがいたのでキーを返しチェックアウトする。空港までは歩いてほぼ20分の距離だ。通りはこの時間ではまだ人影もまばらだった。ジグザグ道を進み、監視ゲートのような所から空港エリアに入る。真っ直ぐに延びるタクシー乗り場もバス乗り場も閑散としていた。6時30分に到着した。

エスカレーターで3階へ上る。ジェットスターのチェックインカウンターには数人が並んでいた。シンガポール行きは8時55分で窓口は2時間前に開くと書いてあった。まだ少し早いようだ。しばらくそのまま待っていたが、55分になっても係員がやってこない。急ぎはしないけれど、何とも大らかだ。
しばらくして女性職員がパラパラとやってきた。ベルトコンベアを跨いで中から現れる人もいる。それでもチェックインはスムーズにいった。エア・アジア便は日本で全てWebチェックインを済ましていたが、ジェットスターの方は1週間前からでないとできないみたいだった。

3階の道路のある外側へ出ると、見送りの車や人が大勢いた。

出国手続きは簡単だった。あれだけパスポートのチェックが入った国のようではない。ラオスから日程を考えずに適当に入国したが、滞在期限15日目ぎりぎりの出国だ。

手荷物とボディチェックの後、中央の長い通路に出ると免税店やみやげ物店が並んでいた。こんな通りは、香水や化粧品の匂いが充満しているものだが、ここはそんな雰囲気がない。酒類も少なくチョコレートだけがやたらと目につく。
ーヒースタンドのような店も両端に2カ所あるだけだ。サンドイッチを並べ飲料
がガラスケースに入って売られている店、その前に小さなテーブルが少し並んでいた。
そして、どの店も価格表示がUS$になっているのだ。しかも数字は整数のみ、5とか7とか10とかだ。この数字だと1つ違えば100円近く変動する。今まで何十円とかのメニューを見ていたものだから、別世界に来た気分だ。当然メチャクチャ高く、イミグレーションを通過すればすっかり国際水準に変わっていたのだ。

上の階へエスカレーターで上って行くとファストフード店が何軒かあったが、僅かに欧米系の人達だけが食事をしていた。価格はどの国にも負けない高さになっていた。ただ、次のシンガポールやマレーシアもベトナム並みの物価とはいかないから、この価格に慣れる努力をしなければいけない。
私は2ドルのレモンフレーバーの緑茶と小さなパンを買った。いずれにせよ食事と買い物は外で済ましておくべきだと思う。
3K556便は18番ゲート、中央から北側すぐの所。この空港の国際線は8つのゲートがある。行き先がシンガポールなので、日本から持ってきたガムを捨てた。

機内でのサービスは何もないからゆっくり眠っていればよい。ただ、隣の男の子にじっとできない症状が出たみたいで、やたらと動きまわり手足が飛んでくる。母親は困っていたが叱るようでもない。後ろからも時々足でシートを押してくる。マッサージ機のようにスポットで押されるのだ。これはもう寝てる場合じゃない、何とも落ち着かない時間が続いた。
乗務員から出入国カードをもらい記入すると、まもなく着陸だ。



2.チャンギ空港からMRTでラヴェンダーへ

第1ターミナルへ着いた。MRTは第三ターミナルからなのでスカイトレインに乗って移動する。シンガポール・ドルは多少持っていたが60万ドンを両替してみた。SIN$35.4になった。今日だけだからこれだけでも大丈夫か。広い空港内の空間をゆったり歩く。現在のチャンギ空港は第1~第3ターミナルあり、これらの間をスカイトレインが便利に結んでいる。

エスカレーターで下に降りMRTのホームへ向かった。私のez・linkカードは期限切れで使えない筈だ。チケット販売機を探す。
ところが、この機械がシンガポールらしからぬ、慣れないと何とも使いずらい。画麺は金額が表示されるようになっており、行き先は右の路線図にタッチする。柱に貼ってあった料金は2ドルだったが、ラヴェンダーをタッチすると3ドルになった。5ドル札を入れると、カードと金色の硬貨が2枚出てきた。ここではずっとICカードを使っていたから、こんなチケットを買うのは初めてだった。


ラヴェンダーで降り、改札口を出ようとすると、カードを回収するスリットがない。殆どの人がICカードだから、しばらく見ていても方法が分からない。係員に尋ねると、同じようにカードをタッチすればよいと言う。と言う事は回収されないのだ。残金がないカードを回収しない、これは珍しい。そしてあの余分に取られた1ドル分はどうもカード代金のようだった。


3.シンガポールのゲストハウス、初めてのドミトリー

ラヴェンダー駅で、始めてシンガポールの空気に触れた。蒸し暑い、日差しも強い。かなり湿気が強く、気候はサイゴンとだいぶ違っている。サイゴンは暑いが空気がカラッとしていて、木陰では爽やかだった。それに天気予報ではシンガポーは毎日雨になっていた。
MRT駅からHomeRd.をしばらく歩くと、食べ物屋がたくさん集まった場所を見つけ、足が止まってしまった。
お腹を空かしながらも、地図に沿って先へ歩いて行くと、1階がカフェになっているゲストハウスを見つけた。予約サイトの間違いだらけの地図もここではほぼ合っていた。
カフェの奥でチェックインをする。キーデポジットをS$20も取られてしまう。そして、すぐ3階の部屋へ案内してくれた。6台の2段ベッドが巧みに配置されている。この部屋に窓はなくドアが閉まれば真っ暗だ。ただエアコンはよく効いていて涼しい。ベッドとロッカーの場所を教えてくれた。この時は誰もいなくて、バッグや紙袋がベッドの周りに散らばっていた。貰った鍵は2個付いているが1個がロッカー用だ。部屋はドミトリーなので鍵をかけるとまずい。荷物をロッカーに入れ、ベッドの位置が分かるよう本と小物を置いてすぐに出た。

すぐ前の通りはジャラン・ベサール。Kitchenerとの角に随分と客の多い食堂がある。見かけは大衆食堂のような店、ラウ・ディ・ファン。大勢順番待ちの客が並んでいる。そして殆どが同じような物を食べている。
このエリアは、以前ゲイランロードのパヤレバーのホテルにしばらく滞在し、歩き回った事があった。
シンガポールは清潔感があり良いのだが、ちょっと堅苦しいところもある。別にゴミを捨てたりはしないが、今回旅してきた国々と比べるとかなりの違和感を感じる。それに、信号機がこんなにたくさんあるのも変な感じだ。

少し歩いた所に麺を中心とした中国料理の店が集まったエリアがあった。雲南麺の店へ入る。と言っても店どうしきっちり区分けされなく、どの店のメニューも座った場所から注文できるようだ。大きなメニューの看板がかかっていたので、その中から美味しそうなのを選んだ。飲み物もすぐ横の店で買えるようになっている。独特のフレーバーに肉の塊だ。朝が早かったせいで疲れ気味、ちょっと味がしっくりこない。



4.アラブストリートからリトル・インディアへ

ジャラン・ベサールを通り、ロチョー・キャナルを渡ると、すぐJBバスターミナルがある。明日はここからジョホール・バルへ向けて出発する。このウェルド・ロードの向こうがアラブストリートで、辺り一帯がイスラムの街になっている。
その中でひと際目を引くのが『スルタン・モスク』だ。黄金色のドームが輝いて、あまりピカピカではないが、きれいだ。さすがに歩いている女性はヒジャブ(布のベール)を被っている。マレー系のイスラムの人達だ。この辺りは派手さは無いものの、アラブ・ストリートからHajiLaneやBaghdadSt.にも面白い店がたくさんある。

ヴィクトリア・ストリートを渡ってキャナルにやってくると大通り沿いは工事中だった。ダンロップ・ストリートの方へ入りセラングーンロードへ向かって歩いた。

途中、アジア系の団体客がビルの方を見ながら一斉に写真を撮っていた。見てみると、窓から棒に引っ掛けた洗濯物がぶら下がっていた。こんなのってそう珍しくないと思うのだがどこの国の人達だろうか。

この辺りを散策するのは楽しい。3つの文化が入り混じり、徐々にインド文化になっていく。
金ぴかのインドの神様の像を売る店や、珍しい野菜を売っている店、ベジタリアンの店、甘そうな生菓子をいっぱい陳列した店、等が並んでいる。
お菓子は実に美味しそうで、一個づつ買ってみたくなる。大体1個S$1位だ。バラはS$1.6とか表示されている。
リトル・インディア・アーケードの横を通りNE7、リトル・インディア駅までやって来た。近くのKerbauRdには『LittleIndiaArtsBelt』、その下に日本語で、『リトル・インディア芸術区』、と書かれた案内板が立っていた。
金の額に入った、インドの神様の絵もたくさんの店で売られている。サイババの肖像までもあった。鼻が象になっていたり、青白く書かれた顔は私には不気味な感じがする。


ラングーン・ロードにはヒンドゥー教の寺院(スリ・ヴィラマカリ・アマン寺院)があり、門の上には神や動物などの彫刻でぎっしり埋め尽くされている。ヒンドゥー独特の寺院だ。道路の向かい側では観光客がしきりにシャッターを押している。
ちょっと喉も渇き休憩したいのだが、辺りはインド人街だから殆どがインド料理のレストランだ。その中で一軒のインド料理の店に入ってみた。客はそう多くない。そしてみんな同じような物を食べている。ナンにカレー。勿論フォークは使わない。
私は食事は要らないので、飲み物をさがし 『ラッシー』 (インドのヨーグルト)を注文した。出てきたラッシーは濃厚で甘味と酸味がかなり強い。ちょっと甘過ぎると思ったが、この気候ではちょうどいいのかも知れない。
ただこの店はカフェと違って食堂なので、テーブルも大きいし、客の出入りも多く何とも落ち着かない。Lassi はS$2だ。
飲み終えて少し休憩したら席を立った。店を覗きながら通りを歩き、セラングーン・センターまで来ると、観光客だらけだった。ガラスケースの内側から接客しながら販売していた。
奥の方にはおみやげ用の菓子とか加工食品が売られている。やはりチョコレート類が一番多いようだ。私もぐるり見て回ったが、何たって重い、チョコは美味しそうなのがたくさんあったが重いのだ。



5.ドミトリーの部屋には何と、女性ばかりが

歩き疲れて一旦ゲストハウスへ戻る事にした。セラングーン・プラザからだと歩いても10分とかからない、300m程の距離だ。
部屋に入ってびっくりした。何と、国際色豊かな若い女性ばかりが5人いたのだ。部屋を間違えたのかとベッドに行ってみたら、私のベトナムの本が置いてあり、荷物もある。どういう事なのか。それでも、隣のベッドも、その隣にも男物のリュックが置いてあった。
よく分からないが、疲れていたので取りあえずベッドに横になりると、しばらく眠ってしまった。みんな話をしたりベッドで本を読んだり、自由に過ごしていたようだ。

そして目が覚めて、再び夜の街へ出かけて行った。先ず夕食を食べなければ。
夜の街は涼しく、歩くのがとても心地良い。ジャラン・ベサールからブギスの方まで歩いていた。ショッピングセンターが並ぶ通りから、ミドルロード、SelegieRd.とぐるり周って、セラングーン通りまで戻ってきた。かなりの距離を歩いた事になりそうだ。
午後8時、インド人街はまだ大勢の人で混んでいた。通りを歩いていると、ガラス越しにチャパティを焼いているのが見えた。しばらく覗いていると中へ入るよう勧められた。お腹を空かした顔をしていたのだろう。

ガラスケースの中のポットに入ったカレーを選んで、「ライス」、と言ったら、「チャパティにしろ」、と言う。確かにいっぱい焼いているし、インド人は殆どこれを食べる。チャパティにした。すぐ温かいものを運んできてくれた。
インド系の人には必要のないフォークとスプーンも付いている。カレーは飛びきり辛い。スプーン1杯あればチャパティ1枚が食べられる程だ。あまり辛くないものを、と聞いて選んだのだが。

ゲストハウスに戻ると、私のベッドの横では、中国人の男性グループが座って話をしていた。話に加わってみると、深圳に住む学生で、旅行に来たようだった。明日には帰るらしい。しばらく差し障りのない話をした。

ドミの部屋は何人も入るから、それぞれの性格で、誰とも話さない人から、すぐ打ち解ける人まで様々だ。この部屋でも、白人の女性の内一人は隅のベッドの上段で自分だけの世界に浸っていた。

明日は特に急がないが、早々にシャワールームへ行く事にした。トイレだけの所と、シャワーとトイレが一緒になっている所が何ケ所かあった。シャワーを終えて部屋に戻ると、ライトを落として、薄暗くなっていた。



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空港近くには安ホテルが何軒かあるが、このHoangKimLongHotelはダメだ。ゴキブリ以外はきれいだが、隣の騒音はあの日だけではないと思う。
機内持ち込み荷物、エア・アジアは7Kgだったが、ジェットスターは10Kgのようだ。預けた荷物の方は14.3Kgでぎりぎりセーフだった。



左が今回のスタンダードチケット。右が私のezリンクカード。ezカードには残金がある。誰かに復活の呪文を教えて貰いたいものだ。

シンガポールはどの通りも整然としていてきれいだ。

シンガポール、ジャラン・ベサールのバス停付近。ゴミがなく通りもきれいだ。

ノースブリッジ・ロード沿いのイスラム街にあるスルタン・モスク。サルタン・モスクと日本語の表示もある。

アラブストリート近くのHajiLane。狭い路地だが彩色が鮮やかで、小さい店がいっぱい並んでいる。

リトル・インディアの軒下にある通路は、狭いが通行できるようになっている。

リトル・インディアの通り。背が高く浅黒い人が目立つ。

MRT北東線、ファラー・パーク駅近くの通り。情緒ある建物が並んでいる。