タ イ 北 部 と ベ ト ナ ム を 巡 る  23
チャオプラヤー川の源流
タイ  21   3月30日(水)
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1.ボーコーソーからのソンテオはチャオプラヤー川の源流に

ホテルのフロントでソンテオのルートについて話した。フロントには女性2人、スマホの翻訳アプリ経由で話すのだが、ソンテオの行き先や市場の事など、いろいろ聞いてみた。私もネットで調べた範囲で話した。ただ、バスの事もそうだが、フロントの人はあまり詳しくない。自分も乗らないし、乗っていてもそのルートしか分からない。客はタクシーだ。そのスマホを操作していた女の子が、「私を雇いますか?」と言った。私が観光旅行でもしているように思えたのか。案内でもしようかと言ってるようなのだが、私は街歩きの旅なので、少しの情報と自分で調べる事が楽しいのだ。それには丁寧にお断りをした。それにしても彼女はホテルの仕事はどうするつもりなのか。

ボーコーソー(バスターミナル)に着くと黄色のソンテオが停まっていた。特にどこかへ行く意思は無かったので、その黄色に乗った。ただ黄色のソンテオはバスターミナルと市場の方を結んでいる路線だとは知っていた。
隣のおばさんに話しかけてみた。スマホにこの辺りの地図を出して、このソンテオの行き先と市場がどの辺りなのかを尋ねた。おばさんはあちこちスライドして、「ここ!」と指さした。私の思っていた市場の場所とほぼ同じ所だった。
ところが、ソンテオはそれとは反対の方角へ向いて走っているのだ。私は再びおばさんに聞き直した。おばさんとの話はあちこち食い違っている。その度におばさんは何度も「分からない」と言う。なぜだかその時だけは日本語になるのだ。


地図での場所は違っているようだが、市場の方へ向かっているのは確かで、市街地の中に入って乗客も増えた。おばさんは途中の『TESCO』前で降りた。こっちで買い物するようだ。向かい側に座っていたおじさんも一緒に降りたから、多分ご主人なのだろう。市場とスーパーマーケットでは買い物する客層が違っている。テスコの方が少しだけ上品に見えた。
それにしてもタイを旅するのに一番困るのがこのタイ語の表記だ。Google mapでさえ肝心な場所が分からなかったりする。観光案内所で地図を貰っても読めない時が殆どだ。



2.でかい市場を散策、煮豚のご飯

辺りが市場らしい街の雰囲気になってきた。近くのお兄さんに聞いてみると、「市場はここで降りた方がいい」と言ったので市街地の賑やかな場所で降りた。その人も同じ場所で降りたのだがどこかへ消えて行った。
私は市場よりチャオプラヤー川の源流に興味があった。スマホのGPSを見ながら川の方へ近づいて行く。市場を通り抜けた所で堤防に上がって眺めてみた。確かに2つの川が合流している場所がある。タイではここ、ピン川とナーン川が合流する地点がチャオプラヤー川の源流と決められている。しかし源流と言っても看板があるわけでもなく、川も本当に流れているのか分からないほど穏やかだ。
タイの川は大平原の中、勾配の少ない地形を流れるから、全般に穏やかな流れとなっている。2011年に起きた大水害も上流からアユタヤ辺り、更にバンコクまで到達するのにかなりの日数がかかった記憶がある。
河原に下りて岸辺まで行ってみた。そこには柱と屋根だけの建物があり小船が2艘係留されていた。対岸の村への渡し船の乗り場のようだ。この川がバンコクまで流れて行くチャオプラヤー川だと思うとチョッと感激した。


市場の方に戻ると、堤防に沿って長屋のような商店が延々と続いている。その向かい側にかまぼこ型の大きい屋根の市場があった。随分大きい市場で、近くの商店街も加えるとどこまで広がっているのか見当もつかない程だ、

堤防の通りと並行して屋台っぽい食堂が並ぶ通りがあった。何か美味しそうな物は、と入って行くと煮豚を盛り上げている店を見つけた。ここで食事をしよう。おばさんは野菜を敷いた上にたっぷりの豚肉を載せた。さすがに市場だ、スーパーマーケットのフードコートと違っていっぱいの豚肉を盛ってくれた。日本のものとは多少フレーバーが違っているが、醤油味でとても美味しい。
市場の中にも入ってみた。皮を剥がされた鶏が積み上げられ、野菜も大きなサイズの物が山盛りにされている。
この市場の建物を通り抜けると再び賑やかな通りに出た。やはりこの辺りが町の中心地なのだろうか。あらゆる色のソンテオを見かける。
再び堤防に沿って上流方向に歩いて行くと、対岸への白い欄干の橋があり、長屋風の商店街はここで終わっていた。


3.仏像の見える山を登る

そう長くないこの橋を途中まで渡ってみた。岸辺の草地には何頭かの牛が放し飼いにされている。そんな中で川の中に背中と頭だけを出している牛がいた。全く動かないので生きているのか心配した。この暑さだとどっぷり浸かっていると気持ちいいのだろう。
昨日バスでこの町に着いた時、車窓から山の中腹や山頂にある寺院や仏像が見えた。そんな山が2か所あったが、この橋からそう遠くない場所に、あの仏像がある山が見えたのだ。市場の食堂でたっぷり豚肉を食べた事だし、今日はこの山に登る事にした。地図は必要なさそうだ。仏像を目指せばよい。山の向かって歩いて行くと、大きな寺院があった。วัดวรนาถบรรพต (วัดกบ)、タイ語で全く読めない。それにしても境内の広さも本堂の建物も大きくてりっぱだ。隅の方におじさんが2人いただけで人の姿は無い。本堂の横にはストゥーパと仏像を安置してある建物があった。そっと中を覗いてみると、黄金の大きなお釈迦様は片肘ついてテレビを見ているようだった。

その寺院から更に歩いて行くと、坂道になっていて少し先に大きな白亜の宮殿のような建物が見えた。これからは山道に入ると思うとチョッと気を引き締めないといけない。先ずは坂の手前の7-Elevenで飲み物を買ってしばらく休憩した。

白亜の宮殿のような建物(เทศบาลนครนครสวรรค์)のすぐ横を通って歩いて行く。ここでも観光用の地図やGoogleの地図でさえもタイ語の表記だけでこの施設名が全く読めない。(後で調べてみると、どうも市庁舎のようであった)玄関はこの下になっているようで、坂道側はひっそりとしている。
しばらく山道を歩くと長い石段がある場所に出た。KLのバトゥーケイブに匹敵しそうな長い階段。気が遠くなりそうな高さだ。それでも登らないわけにはいかない。息を切らせながら一歩一歩登って行く。それでも、この階段は長いので、途中何ヵ所か屋根のある休憩所があった。そんな心配りに感謝して全ての休憩所を利用させていただいた。頂上が近づくと右側に巨大な仏像が見えた。そしてやっと赤いレンガを敷き詰めた頂上に出た。寺院の建物と大きいストゥーパがある。ぐるり市内が一望できる高さだった。周囲には大小様々な鐘が釣りさげてある。この山頂の寺院は『Wat Woranat Banphot』と地図で確認した。ここから眺めると、ナコンサワンは町の周囲に大きな湖がいっぱい散らばっている。巨大魚が生息しているかのようで、TVのドキュメンタリー番組にでも出てきそうな湖だ。そんな遠くの景色まで見えた。

再び階段を下り、巨大な仏像へ行ってみた。途中から野良犬がいっぱい集まり吠えたててくる。普通こんな昼間はどの犬も暑さにやられて寝っ転がっている筈なのだが、ここの犬たちは違っていた。がぶりと噛みつかれそうなほど近くにやって来て取り囲まれてしまった。私は狂犬病の予防接種はしていない。その時、仏像の方から声がした。水のホースを持って掃除をしていたお寺の人だ。その声に犬たちはチョッと態勢を崩した。助かった。その人の方へ歩いて行く。
それでも階段の方へ戻ろうとすると、また犬が吠えてきた。それを無視してゆっくりと歩き、何とかその場を脱出できた。東南アジアでは飼い犬でも放し飼いにしてある場合が多い。こちらが気をつけるしかないのだ。


山を下りて商店街を歩いて行くと、大きな病院の前に出た。もうかなり疲れたので、近くの人にソンテオを尋ねてみた。ビッグCの辺りまで戻りたいのだ。その方は親切にもバス(ソンテオ)停まで連れて行ってくれた。そのソンテオ、ここからでも黄色だった。ソンテオの中では学生と話をしていたので、国道を大きく曲がった所で降りるように教えてくれた。私もこの場所はよく知っていたがお礼を言って一緒に降りた。



4.歩いて国道の橋を渡った後はソンテオで戻る

ビッグCに入るとかなり涼しい。しばらく出る気がしなくなった。このビッグCは入り口近くから奥の方へ大きなフードコートになっている。席を捜しパッタイを注文した。美味しそうなパッタイにはライムと砕いたピーナッツが添えてある。

結局1時間位休んだが、まだホテルに帰るには早い。国道からナコンサワン駅の方へ歩いてみる事にした。チャオプラヤー川に架かる大きな橋を渡る。片側3車線に歩道のついた幹線国道の橋になる。チャオプラヤー川は穏やかな流れだし川幅はかなり広い。川岸はすっかり水草で覆われていて、乾季の水面は低く流れの中にもあちこちで水草が見える。そして小さな小屋が岸辺近くに建っている。すぐ下では小さなエンジンボートに乗っておじさんが漁をしていた。

橋を渡り終えてしばらく歩いて行くと、急に歩道が消えた。日本のように歩道が多い国は少ない。ここでも急に草の生える斜面になっている。仕方なく下りて行くと、また野良犬が吠えたててきた。今度は1匹だからそう怖くはない。安全のため石を拾った。この犬はあまり接近してくる事なくいなくなった。
広い国道に戻りしばらく歩いたが、景色がそう面白くない。バス停を探し市街地へ戻る事にした。タイでは郊外のバス停は、高床の小屋のようなのが多い。ここには1組待っている人がいた。ここからのソンテオは、ナコンサワン駅方面のルートを走る黄緑色だった。
男子学生が乗っていたのでこのソンテオのルートを聞いた。その前の席にはタイ風のきれいな女の子が座っていた。

緑のソンテオはビッグCの手前の交差点を右に曲がり市場の方へと入る。私はそこで降り117号線の分岐点辺りの広い道路を横切る。どう考えても人が横断するような場所ではない。それでも女性が1人前を渡って行った。信号は付けないにしても横断歩道の線ぐらいなぜ書けないのだろう。

ボーコーソーを通り過ぎ、ガソリンスタンドに併設された7-Elevenで買い物をした。国道に沿って歩き砂埃のする路地を歩いてホテルに帰った。
ホテルに戻るとフロントに男女2人がいたので、ソンテオの色とルートについてしばらく話した。明日のお勧め場所も聞いてみた。この会話も翻訳ソフトだ。




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ナコンサワンのソンテオは複雑だ。色別に行き先が分かれているのだが、その中にもこのように白い線が入っているのもある。


ここはピン川とナーン川が合流する地点。チャオプラヤー川の源流とされている。



源流付近のチャオプラヤー川はこの時期かなり水量が少なく、流れているように見えない。



ナムプリックや唐辛子の山だが、沢ガニもあったり得体の知れない物ばかりだ。



漬物や調味料が並んでいるようだ。魚が黒い汁に漬けられていたりする。



広い屋内市場。バイクでの通行が禁止されている。この奥は衣類が並んでいる。



山の麓から仏像を眺める。頂上にあると思っていたのだが、少し下の方だ。



山頂の寺院からはナコンサワンの街がよく見える。広場の隅の方にたくさんの鐘を吊るしてある。



ナコンサワンの中心市街地を眺める。郊外には大きな湖が見えた。



山頂から石段を下りながら仏像の場所を確認する。近くには車が上れる道路もあった。