タ イ 北 部 と ベ ト ナ ム を 巡 る  25
ナコンサワンから列車でロッブリーへ
タイ  23   4月1日(金)
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1.黄緑色のソンテオに乗ってナコンサワン駅へ

今日は列車でロッブリーへ移動する日。シンブリーに行きたかったが、バスが分からず結局、列車で行けるロッブリーにしたのだった。ホテルを9時にチェックアウト。道路沿いの店には見慣れた『もち』のカラフルな箱がいっぱい並べてある。価格はここでも35Bのものは3個100Bのバンドル販売していた。

15分ほど歩いてビッグCの前までやって来た。この大きな交差点を横切って向かい側に行くのだが、ここには横断歩道の線が引かれているのでチョッとだけ渡りやすい。それに警察の監視所もある。


この通りは市場の方へ通じる道路なのだが、チョッと入った場所にバス停があり、辺りには黄緑色のソンテオが集まっている。セブンイレブンの店の前で待って、やって来たソンテオに乗った。黄色いシャツのお兄さんと女の子が乗っていた。
ソンテオはチャオプラヤー川の橋を渡り郊外に出ると少しスピードを上げた。左へ曲がると今度は全速で突っ走る。しばらくして滑走路のすぐ横を走る。離着陸には頭の上を飛んで行きそうな位に近い。しばらく走るときれいに整備された新興住宅地が見えてきて、お兄さんがここで降りた。
ナコンサワン駅はすぐ近くだった。駅前のロータリー、終点で降りた。15分ほどで着いたようだ。10Bだった。広場の隅の方には黄緑色のソンテオがいっぱい停まっている。

駅前には道路に沿ってパラソルの露店がずっと向こうまで延びていて、市場の雰囲気だ。駅近くのこの辺りは果物の店が多い。


2.ロッブリーまでの列車はラピッド3等車で指定席

駅に入り時刻表を見た。メモしてきたのとは少し違っていた。しかもタイ語表記だけなので分かり難い。ベンチにいたカップルに切符を見せてもらった。10:49バンコクまでになっている。窓口で「次の列車でロッブリーまで」と言ったら、RAPIDの3等、10:49のをくれた。料金は54Bで、3等車なのに座席番号も書かれていた。

タイ国鉄・北線の時刻表には5種類の列車がある。遅い順に、ORD、RAP、EXP、SP.EXP、SP.EXP.DRC、なのだが、この中にも2等、3等、寝台車等があって、しかも2等でも路線や列車によってエアコンがあったり無かったりする。エアコン付きと思っていっぱい着込んでいくと窓が全開されていたりして驚く事もある。SP.EXP.DRC(特急ディーゼル)は走りが俊敏なのだろうが夜行便だとエンジン音がうるさくて眠れない。エアコン付きの夜行便は冷蔵庫の中と思った方が良いくらい寒い。料金も短距離だと余ほど列車の種別を考えないとORDの何倍、何十倍以上になる事もある。
時刻表と料金はこちらの検索が便利だ。
列車が来るまでしばらく時間があった。駅前に展示されている機関車を見たり、露店を覗いたりぶらぶらしながら過ごす。改めてソンテオの溜り場を見ると、何台あるのだろう、黄緑色がずらりと並んでいる。列車はあまり通らないのにこんなに要るのだろうか。すぐ前にあるセブンイレブンで飲み物を買った。
プラットホームに出て列車を待つ。鉦が2回鳴ってしばらくすると入線してきた。乗客が多く席は埋まっていたが、私の席だけ空いていた。中国だとこうはいかない。高速鉄道でさえ、空いている席へ行けと言われた。
プラットホームの鉦が3回鳴って10時55分に列車は出発した。遅れは殆ど無い。ディーゼルカーの3等はエアコンが無いから窓が空き放たれている。すべての駅に停車しながら大平原の中を進んで行く。11時35分、小さなさびれた町に着くと物売りがいっぱい乗り込んで来た。お昼時なので売れるのだろう。ソーセージ類にご飯、お弁当、飲み物種類はとても豊富だ。つい買いたくなってしまう。でも、この中で”おしぼり”が一番売れているようだった。エアコンの無いこんな列車では、冷やしたおしぼりを顔に当てるのが最高だ。

物売りの人たちは5両連結の車内を隅々まで歩いて行くようだ。運賃を払っての商売だから何も売らないで帰るわけにはいかない。でも、これは普通列車で料金が安いからできる商売だ。それでは特急列車の販売はと言えば、主要駅で列車が停車している間に、乗り込んできて急いで席を回り売っていく。他に、一晩中、数十分ごとに多少商品を替えて回ってくる販売員もいた。


イスは対面の4人用になっている。この車両は最後尾だが、連結部は開けっ放しになっていて、ロープが1本張ってあるだけだ。ドアのノブにはビニール袋に入ったトウモロコシが吊るしてある。
駅間が長い場所には信号所のような待避線が設けてあり、単線の列車交換をやっている。線路の近くに川が見えたり、緑の茂みが見えたりすると、タイの北部地域から中部に入って行くのを実感する。
向こう側の席におしゃれな家族がいた。お母さんは美人で、お父さんもタイ人っぽい男らしい顔立ちだ。女の子は退屈を持て余して時々ぐずっていた。タイもバンコクへの一極集中が進んでいるから、普通列車でさえ途中で降りる人は少ない。



3.市街地と遺跡が一体となったロッブリー

12時30分頃、ロッブリー駅で下車した。プラットホームには金色のサルのオブジェが置かれている。線路のすぐ先には茶色の遺跡が見える。改札口では真っ赤な顔のサルのオブジェが迎えてくれる。何ともサル尽くしの駅だ。こじんまりした駅舎で木製のベンチがいくつか置かれている。窓口が3つあった。ADVANCE BOOKING と書かれている。

駅前の広場には大きな木が1本そびえ立っていて、その下に本物の蒸気機関車が置いてある。タイ国鉄の線路はメーターゲージと呼ばれ軌間が1mになっている。日本のJR在来線が1.067mだから、タイに渡ったブルートレインなどの中古車両は何らかの加工が必要なのだが、インドネシアは日本と同じなので、電車区間は全部日本の中古車両が走っていた。

熱帯地方独特の大木の日陰にある、簡素な造りの食堂へ入った。多くのテーブルと青いプラスチックのいすやパイプいすが置かれている。飲み物用の屋台と調理用の屋台が壁代わりだ。
おじさん1人でやっているが、こんなお昼時にも関わらず客がいない。それでも飲料の空き瓶がいっぱい積んであった。コンビニ等で売られるのはPETボトルだが飲食店は瓶入りだ。しかも瓶入りには時々得体の知れない物まである。

こんな店は殆ど簡単な麺料理なので、センレック、と言ってみた。タイでは超基本的なセンレックだった。薄いスープに焼豚、すり身団子にパクチー。麺はほんの少しだ。唐辛子の酢だけ加えて食べた。そう美味しいものではない。車内販売の弁当の方が良かったかも知れない。

レールに沿って市街地へ歩て行くと、すぐ傍を列車が通過した。ふと見ると運転手がカップラーメンを食べていた。バンコク~ピッサヌローク、6両編成の普通列車だ。
駅から繁華街は近い。すぐ店や屋台のある通りに出た。そしてすぐホテルの看板も見つかった。かなり便利な場所にあるが、町そのものも小さく遺跡巡りなら1日もあれば十分のようだ。
ホテルに入ると、小さいカウンターにお兄さんがいた。パスポートを出すと予約を確認してくれた。
ただ、 ここはAgodaで予約したのだが、取り扱いがBookingになっていてフロントで現金で支払う必要があった。
予約サイトをよく見るとクレジットで払えないようになっていた。これだけの事でも常にネットで予約し、カード支払いをしているとかなり厄介だ。
このホテルの予約は確定した後でBooking だった事に気が付いたのだ。940バーツを支払った。デポジットは要求されなかった。Wi-Fi のパスワードを聞いたら、『MONKEYINTHECITY』だと言った。確かにサルの町だが、私はサルは苦手だ。
チョッと古い建物で清潔さにも欠ける雰囲気がした。部屋まで荷物を運んでエアコンをつけてくれた。テレビや冷蔵庫はあるが、何もかもが古そうだ。 洗面所で手を洗うと、排水が悪いようで水が抜けていくのに時間がかかった。ホテル名が『NET HOTEL』にも関わらずWi-Fi スピードもかなり遅いのだ。


4.城壁も残る遺跡の街

15時頃になって出かけた。ホテルの前の通りを出ると、この町で一番と思われるような商店街があって、向い側にはテスコが入った建物がある。地図では市場になっていたが、ドアが付いていて何店かある商業施設だった。店内は古くて斬新な店は無かった。テスコも小さいスーパーマーケットだ。
その店内を通り抜けると通行量の多い通りになっていて、あちこちにサルがいた。踏切の方へ歩いて行くと、左側に大きな筍が3本立っているような『プラ・プラーン・サーム・ヨート』の遺跡がある。これはクメール式の仏塔らしいのだが、もとのヒンドゥー神から仏教寺院に改められたそうだ。ここにもサルがいっぱいいて、観光客よりは多い。
レールに沿ってすぐ近くにも遺跡があった。こちらは朽ち果てた感じの廃墟っぽい遺跡だ。『Wat Nakorn Kosa』と言う遺跡で、赤っぽいレンガの山のように見える。それでも趣があり、私は人があまりいないこっちの方が良い。線路との間に柵もなく自由にどちらへでも出られる。

線路を適当に渡り駅の方へ歩いた。この通りには、弓矢を射るような像の付いたポールが並んでいる。
駅の前には『ワット・プラ・シー・ラタナー・マハタート』なるきれいな遺跡がある。やはりクメール時代に建てられたらしいので筍のような仏塔がある。広い敷地に崩れかけた建物が点在している。写真を撮りながらぐるり回ってみた。
そこから300m位遠くに赤茶けた城門が見えた。歩いて行ってみると、遺跡と同じようなレンガが積まれた城壁があって、この通りが城門になっていた。城壁は街の中に何か所か残っているようだが、これは改修されたのかきれいで、往時を彷彿させられるような趣がある。門の傍には赤いパラソルの屋台が出ていた。

その後、駅へ戻りしばらくベンチで座って休憩、鉦を聞きながら列車を眺めていた。



5.サルに乗っ取られたような通りがあった

再びサルのいっぱいいた通りへ行ってみた。大通りにある歩道はアーケードのように少し軒が出ている。そんな場所だがサルがいっぱいいて、とても通れそうもない。サルの餌場は何か所かあるみたいだが、ここでも何かの袋をひっくり返して与えているようだ。私はこの歩道を歩くのを諦めた。車道を歩くしかない。サルより車の方がまだ安全だと思った。それでも、この町のサルたちは全体に体は小さいようで、凶暴な感じはしない。

ロッブリーには歴史的にサルを崇める由来があるのだが、このサルが今ではこの町にとって観光の目玉になっている。そんな事もあって餌を与えて保護している所以だろう。ただ私はこのサルを目的にやって来たのではない。寺院や街の通りにはいて欲しくないのだ。若し嚙まれたりすると狂犬病に感染する恐れもあるし、何たって持ち物を盗む癖ががある。スリランカのキャンディでは突然襲われパンを盗まれた。あの俊敏な動きには何の抵抗もできなかった。それに敬虔な仏教徒の国では棒を持って追っかけるわけにもいかない。

Yahooブログ(salish)に載せてみた写真だが、おサルも学生たちとよく似た雰囲気でミーティングをやっているように見えないだろうか。それにしてもこの辺りの高校生はよく地面に座る。暑いのと列車の待ち時間が長過ぎるのだろうが。ただ線路の上はダメだと思うし、日本じゃ考えられない事だ。駅員が注意しないのも不思議だ。サルが出没する事がない駅にはサルのオブジェが置かれているが、一旦街に入ると本物がいっぱいいるからそっちは全く必要ない。

夕方になると駅近くの線路沿いには露店のテーブルがいっぱい並ぶようになる。狭い路地と違ってこの辺りは広々としている。
この後テスコ・ロータスに行って、いつもの買い物とマフィンとナタデココを買った。サルはこの辺りでは地上にはいなく2階から上の方を移動している。若し屋台の近くでいたずらでもすれば引っ叩かれるのだろう。私はサルの動きを伺いながら急いでホテルへ帰った。




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黄緑色のソンテオは国道1号線パホンヨーティン通りからSawanvitee通りへ少し入ったバス停から乗る。



ナコンサワン駅の中は重厚な雰囲気で歴史を感じさせる。待合所は風が通って涼しい。



駅から空港方面への大通り。すぐ前の交差点にはセブンイレブンもあり便利。



ナコンサワン駅で乗る列車はラピッドの3等車だ。3等でも座席指定されている。



お昼時でもあり、車内販売が頻繁にやって来る。お弁当はじめいろんな食べ物がある。売れ筋No.1は冷たい『おしぼり』かも知れない。


ロッブリー駅のプラットホーム。ベンチもあるが床に座るのは学生だ。




市街地の中にはあちこちに遺跡があり、市民生活とうまく融合している。




旧市街は城壁に囲まれていたようで、今も所々に城壁、城門が残っている。




プラットホームから駅舎に入る場所には、真っ赤な顔をしたサルのオブジェが旅人を迎える。




この通りの歩道はサルたちに乗っ取られてしまったようだ。私は仕方なく車道を歩いた。




夕方になると線路に沿って露店の店が並ぶ。路地にある屋台と違って広々としている。