タ イ 北 部 と ベ ト ナ ム を 巡 る  27
ロッブリーから列車でバンコクへ
タイ  25   4月3日(日)
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1.ロッブリー駅からの列車は各駅停車の3等だった

朝になって洗面所の排水が最悪な状態になっていた。水を出せばその分だけ溜まっていくのだ。昨日は大量に水を出さなければ大丈夫だったのだが。仕方なくシャワーの水を使う事にした。多分、大規模な修繕はしたくないので騙しだまし使っているのだろう。何とも厄介なホテルだ。
荷物を用意して部屋を出ると、階段で待機していたかのように掃除のおばさんが歩いて来て、「カギを」と言ったが、かけていなかった。フロントまで下りて行くと誰もいない。おばさんに聞こうと思って部屋に戻ると、シーツが剥がされいておばさんもいなかった。フロントでしばらく待っているとお兄さんが現れた。チェックアウト、と言ったら、オッケーと言っただけで不愛想だ。彼は自分が何のビジネスをやっているのか認識しているのだろうか。

ホテルを出ると、あちこちでサルがひさしの上を歩き回っていた。


駅の近くには青いソンテオがいっぱい停まっていた。列車がやって来て乗客をたくさん降ろした後、すぐ警笛を鳴らし出て行くのを見ながら歩いた。

9時20分頃に駅に着いた。さっきの列車が9時18分のバンコク行きだったようだ。タイ国鉄がそんなにも定時運行されているのか不思議だ。ただ私は今日中にバンコクに着けばいいから時間は気にしていなかった。全く急ぐ必要がないのだ。

駅の窓口で、「次のバンコク行きを」と言ったら、「10時56分のでいいか?」と聞かれ、3等車でまさかの座席番号なしの切符をくれた。
ナコンサワンからロッブリーへは同じ3等車だったが指定席になっていた。近くで座っている人のうち2人にチケットを見せてもらうと、やはり両方とも座席番号は記入されていなかった。
チケットは、[ ORDINARY、TRAIN 202、DEP. 10:56、ARR. 14:05、CLASS 3、SEAT NO. ー ] になっている。
よく考えてみると、ラッピッドと各駅停車の違いのような気がした。同じような3等の古い車両なのだが、ラピッドの方が停車駅も少なくチョッとだけランクが上なのだ。
どうりで安いと思った。バンコクまで3時間もかけて走って28バーツ(約100円)とは何とも安い。飲み物ですら1本20バーツはすると言うのに。
バンコク行は出たすぐなので待ち時間が長い。プラットホームには風は吹いてはいるもののかなり暑く、じっとり汗がにじんでくる。

チェンマイ方面行きの方が先にやって来た。『Bangkok~Den Chai 』9時44分発の各停普通列車だ。Den Chai はピッサヌロークの北、ランパーン寄りにある町。


列車を待ちながら向かい側の売店を見ていた。このおばさんが忙しそうに働いているのだ。トイレの番人と屋台の掛け持ち。トイレの番人はいるようなのだが、どこかへ行ってしまったみたいだ。使用者から3バーツもらわないといけない。
おばさんの仕事は飲み物やスナック菓子を売るコーナーだ。熱心に仕事をしていると思っていたが、客のお兄さんが前に立っているのにスマホに夢中でほったらかしにしている。
そんなおばさんの仕事の大半は飲み物だ。客が注文すると、飲み物を瓶からビニール袋へ流し込み、その上に氷をいっぱい入れ、ストローをさす。タイでは今もこんな飲み物が普通に好まれている。
プラットホームでは、よく肥えたおばさんがビニール袋の中にフォークをさして何やら食べていた。タイではあちこちでビニール袋が大活躍している。

出口付近のプラットホームには真っ赤な顔のサルのオブジェがあるが、その前でTVの取材が始まった。レポーターがカメラの前で何やら解説しているようなのだ。総勢5人の撮影隊だ。さすがにTV向きのきれいな女性だった。


2.のんびりとタイ中央部の大平原を走る列車

列車はほぼ定刻に出発した。チェンマイまでの急行寝台に乗った時は3時間位遅れて着いたが、今のタイ国鉄はどうなってしまったのだろう。時間どうりに走っている。

ロッブリー駅を出ると列車は大平原を疾走する。機関車に牽引されたこんな古い車両でもかなりのスピードを出して走っている。JRのローカル線よりは速そうだ。北部地方と違って辺りは緑色の田畑が多い。緑の大平原が地平線まで延々と続いている。


車内販売が幾度となくやって来る。お湯のポットを提げて、カップラーメンを売っている人。大きなジャーに氷を入れ、その中に缶飲料を冷やして売っている人。ソーセージやすり身団子の串焼きもある。弁当は豚肉をのせたのが一般的なようだ。
突然車内で、”パーン”と大きな音が響いた。おしぼりが1個売れたのだ。何もそんな開け方しなくても、そっと開ければいと思うのだが。買った男の子が顔を拭いていた。


列車は各停だから、本当に生真面目に1駅ずつ停車していく。着くとすぐ発車はするものの、ちっとも先へ進まない。それでもローカルな駅を眺めていくのも楽しみの一つだ。プラットホームにブロックで台を作った売店があった。日本の立ち食いそばのようなものだが、街中にある屋台の雰囲気で料理を作っているように見えた。

アユッタヤーまで来るとさすがに多くの人が降りて行った。観光客も多いのだろうが、地元民もこの町の乗降は多いようだ。バンコクと言う大都会の手前に位置する歴史ある町、アユッタヤーの地名はタイ人の心にどう響いているのだろうか。
L.A.の手前に『パサデナ』と言う町があるのだが、西部開拓時代から、列車がこの駅までやって来ると、次はロサンゼルスだ。長い旅をしてやっと帰ってきた。ここはこんな特別な思いに、ひどく郷愁を誘われる地名らしいのだ。


バンコクが近づいてくると、線路脇であちこち工事をしている所が多くなった。日本も加わった新線の工事だ。エアポートリンク、MRT、BTS、共に延伸計画が進行中だ。都心からドンムアン空港まで橋脚ができた状態で放置されていたのもある。


3.フアランポーン駅でフードコートへ

バンコク・フアランポーン駅は独特の雰囲気を持っている。暑い空気に包まれた中の雑踏がある。長いプラットホームを前へ歩いて行くのだが、大きな車体の横を荷物を持って歩いていると、何だか国際列車で外国に着いた気さえする。
かまぼこ型屋根の待合所には、ど真ん中に高速鉄道の模型が置かれていた。ほぼ実寸ではないだろうか、やたらと大きく待合所の人たちは隅の方へ追いやられてしまった。





ここで先ず向かった場所は、端の方にあるフードコートだ。ファンドで100バーツのクーポンを買った。5,10,20バーツ券をセットしてある。最近ではどこもが磁気カード式になったから、こんなクーポン券はかなり珍しい。私がここで食べるのは殆どがカオゲーン(ぶっかけ飯)なのだが、美味しい『クイティアオ・ルア』の店や、豚足の肉をのせた『カオカームー』の店もある。クイティアオ・ルアは舟そばと言って、生血を入れるのが特徴だ。濃い味で調味料を加えなくても美味しい。この店のが絶対に舟そばかどうかは分からないが、調理している時に血に浮いている筋っぽいものを入れていた。ここはとても人気で、朝には駅に用が無い人でも食べにやって来るそうだ。
カオゲーンの店は一番奥にある。今日はあまりスパイシーでないものをと聞いて、肉に野菜やキノコの入ったおかずを2種類選んだ。次は客席の奥にある飲料・デザートの店で、あのあまーいアイスコーヒーと水を買った。全部で65バーツだった。
このフードコートは、あれだけ待合室にいても、ここが混雑して空席が無いという経験はしていない。ゆっくり落ち着いて食事ができる場所だ。2階にチョッと気のきいたレストランとかがあるからだろう。

ゆっくり食事をした後、両替所に行ったが15時30分まではお昼休みになっていた。東南アジアでは銀行なんかもきっちりお昼は休んでいるのだ。仕方ないのでプラットホームをぶらぶら歩いて過ごした。


4.チャルーンクルン通りから75番バスに乗る

フアランポーン駅を出て、何年経っても工事の終わらないロータリーを抜けると水路の横に出る。そのすぐ先に1番バスがやって来るバス停があるのだ。この1番の赤バスは便利でよく乗っている。数人の客が待っていた。その中のおじさんと少し話していたのだが、料金は9バーツだと言った。バンコクのバスはしょっちゅう値上げされるので毎回聞かなければいけない。しばらくして75番が来た。おじさんは乗ろうと言った。サパーンタクシンまで行くのかと聞いたら、大丈夫だから一緒に乗ろうと言うのだ。

バスはチャルーンクルン通りを走り、途中一方通行道を避けて大きくカーブしながら再びチャルーンクルン通りに出る。サパーンタクシン駅が近づくと、横に座っている女性も、すぐ前の席に座っている車掌も、ここで降りるように手で合図をした。私がここからBTSに乗ると思っているようだ。どうしてみんなこんなにも親切なのだろう。
このバスはいつもの無料バス。それでも車掌はドアから降りて乗客を誘導していた。バンコクのバス料金のシステムがどうなっているのかよく分からない。しかも路線バスなのに車掌が座席に座っているのも理解できない。

チャルーンクルン通り(ニューロード)のロビンソンの前からサートーンの船着き場まで歩いた。対岸のトンブリーへは渡し船が頻発している。いつも船が待機していて、時間が来ればすぐ出発する。この船はいつもこの場所にいるので、チャーター船などの客が乗り降りする時は、この船に横付けし一旦ここに降りてから上陸するようだ。
フアランポーン駅からだと、MRT(地下鉄)でサラデーン駅まで乗って、BTSに乗り換えクルントンブリー駅で降りればいいのだが、この渡し船を使った方が情緒があるし安い。しかもMRTは荷物検査があって面倒なのだ。
船はすぐ出発しチャオプラヤー川を横断する。この辺りは有名なホテルが多く専用のジャンクを持っているから、タイ版の屋形船のようなのがよく行き来している。
渡し船はトンブリー側で料金を払って降りるようになっている。3バーツなのだが、これがもっと高いようだとキングタクシン橋を歩いて渡る人が多くなるかも知れない。この渡し場にはいつもバナナを売っている。降りる時に誰もが目に付くような場所に並べてあるのだ。しかも安い。他で買ったら持ち運びが大変だが、ここまで帰ってくれば家まで近いだろう。
私もよくここでバナナを買う。今日買ったのは30バーツ、15~6本ばかり付いていた。


5.夕食はウォンウィエン・ヤイの市場へ

昨年のバンコクのホテルは最悪だった。場所も悪かったようで、あまり治安が良くない地域と書いている人が多かった。ただドンムアン空港着が夜遅かったので、エアポートリムジンの着くチャトゥチャックに近い場所を選んだ。そんな事もあって今回はトンブリーにした。このホテルは3度目だ。清潔で安心できるホテル、しかも安い。BTSの「Krung Thon Buri」駅もそう遠くないし、サートーンから渡し船に乗っても、キングタクシン橋を歩いて渡っても近い。私のお気に入りホテルの1つだ。

ホテルのフロントには受付嬢がいなくて、ガードマンが呼びに行ってくれた。チェックインして11階1103号室に入った。久しぶりのこのホテル、11階からの眺めはかなり良い。この部屋は小さなベランダが付いていて外気に触れる事もできる。同じようなホテルに、エアポートリンク『Ramkhamhaeng』駅のすぐ前にナサベガスホテルがあるが、フロント嬢の応対はこの『King Royal 2』の方が良い。

しばらく部屋で休み、夜になって夕飯に出かけた。Charoen Nakhon Road の方の食堂か、少し歩いてウォンウィエン・ヤイ駅の近くにある市場に行くかだが、久しぶりに市場の方へ歩いてみた。大通りは通行量がかなり多いが、歩道を歩いている人は殆どいなくて、電車が着いた時だけだ。ひっそりした夜道なのだが、新しく若者が集うような鍋の店が2軒できていて、大いに賑わっていた。ただ1人で入れそうな店ではなかったし、いっぱいだった。
市場の方は、歩道に屋台の店が並んでいて、こちらも多くの客で大繁盛している。市場の中に入ると独特の侘しさがある。客はチョッとしかいないが殆どの店が営業していた。私はおばさんが元気に声をかけてきた店に座った。適当に注文し、「水も」と言ったら、「あっちの店で買ってきて」と言われてしまった。何だか覚えがある。ここでは飲料は飲料の店で買ってくるのだった。


食事を済ませた後は、歩いてキング・タクシン像まで行ってみた。いつもライトアップされている偉大な王のモニュメントなのだが、この日はなぜか照明が消えていた。




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ロッブリー駅の中央出入り口にはサルの町を印象付けるオブジェが置かれている。


TV撮影中。レポーターがこのサルのオブジェの前で解説をしているところ。



開墾された広い大平原がどこまでも続いている。チャオプラヤー川もゆっくりと流れる。



車窓には、遠くの山がうっすら見えるようになってきた。アユッタヤーに近づいているようだ。



各駅停車の列車は、次々と停車を繰り返しバンコクへ向かって進む。



各駅停車の列車は小さな駅まで停車していく。日本と違って駅員がいて旗を振っている。



アユッタヤー駅に到着。さすがにここは乗降客が多い主要駅だ。



アユッタヤー辺りからはきれいな水田が続く。遠くには工場もたくさん見えるようになる。



タイ国鉄のバンコク中央駅(フアランポーン駅)はあらゆる方面行きの列車が発着する。



フアランポーン駅から水路沿いの道を歩く。このバス停で1番バスを待つ。



サートーンから渡し船でトンブリー側の船着き場へ渡る。チャオプラヤー川を見ているとタイにいる事を実感する。


公園と塀の間にある通路(Soi Charoen Nakhon 13)を歩いて Charoen Nakhon Rd.へ。



Wongwian Yai 市場の方へ歩いて行くとSomdet Phra Chao Tak Sin Rd.沿いには食べ物屋台がいっぱい並んでいる。


BTSの線路に沿ってクルントンブリーの大通りがある。歩道はひっそりしているが、新しい鍋の店ができていた。