タ イ 北 部 と ベ ト ナ ム を 巡 る  32
54番の市内バスでチョロンへ
ベトナム  2   4月8日(金)
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1.バンメトート行きの夜行バスチケットは簡単に買えた

それにしても、チェックアウトするとすぐタクシーの手配を聞いてくれる。どのホテルでもそんな事が多いが、フロント用のマニュアルにでも書いてあるのだろうか。私は全く必要がないのだけど。要らないと言うと皆一様に怪訝な顔をするのだ。
特にこのホテルなんか空港から近く、ゆっくり歩いても15分あれば十分着いてしまう。


昨夜、バンメトートのホテルは予約してしまったので、今日の夜行バスには必ず乗らないといけなくなった。なるべく早くミエンドン・ターミナルに行ってバスを予約したい。
空港からは152番バスでベンタイン・ターミナルへ行くのだが、ごく最近、空港シャトルバスの109番ができていた。早朝から深夜まで(5:30~1:30)運行している。深夜に着くと、タンソンニャット空港から市街地までの便が無く(152番は18時まで)不便だったが、このバスができたので安心して夜便に乗れそうだ。(49番、ドンコイ通り方面のバスも登場したようだ。4万ドン)ただシャトルバスは2万ドンと少しだけ高い。152番は5千ドンだ。ベトナムは通貨のようにドンドン便利になっていく。

ベンタイン・ターミナルで降りた。チョッと両替をしておきたいのだ。ロータリー横の横断は難易度が高く、私にはかなり難しかったが、今ではもうすっかり慣れて、バイクの中をすり抜けられるようになった。
ベンタイン市場のすぐ横にある両替所で2万円をドン()に替えた。ベトナムではどの両替所も各国通貨の電光掲示板が無い。係員が電卓に204を出して「どうだ」と聞いた。私は一瞬、考えるような素振りをしているが実は何にも分かっていない。ドンで千の位に5を掛ければ円になる。そんな程度なのだ。それでもホテルは予約サイトでクレジット決済だし、現金はさほど必要ないのだ。オッケーすると4,080,000₫に替わった。

ベトナム通貨は紙幣とポリマー紙幣(プラスチック)で、硬貨は殆ど見かけない。私が主に使うのは2万ドン札。日本だと沖縄辺りにしか流通しない札の数字(2000円札)だが、ここでは重宝する。ただ印刷が消えかかっているのもよくある。1000ドンとか2000ドン紙幣は単位が小さいせいか、かなり雑に印刷されているようでチョッと安っぽい。子供雑誌の付録に付いているような紙幣だ。このポリマー紙幣はシンガポールでも使われている。値段はテンとかトゥエンティとかで言われる。テンは10thousandの意味だから、この数字に5を掛けると日本円になるのだ。(2016年4月現在)

ベンタイン・ターミナルに戻ると、急いで26番バスを探したが見つからない。待合所に入り係員に聞いてみた。
私の、歩き方の本では、ミエンドンへは26番になっているし、数年前は26番に乗った記憶がある。今は45番になったようだ。プラットホームの表示も『
45 Bến Xe Miền Đông』になっていた。
ミエンドン・ターミナルは、以前ファンティエットから着いた時以来2度目だ。ミエンタイよりは大きいが売店がずらっと並んでいるようではない。ただ軽食堂とか薬局は待合所の中にあり、外側には小さな店がいろいろあったみたいだ。

ミエンドン・ターミナルに着いて『バンメトート』行きの窓口を探した。31~35番辺りに表示があった。近くの人に聞いてみると、31番だと言った。31番窓口では21時30分、22時00分の便があると言う。
KUMHO SAMCO BUSLINES』ミエンドン22時発のチケットを買った。228,000₫、スリーピングバスだ。ベトナムはこのタイプのバスが多い。車内は3列2段になっていて、水平近くまでリクライニングできる。ラオスのVIPはフラットだが、ダブルベッドなので知らない人とは気まずい。ベトナムタイプの方がはるかに良い。
バンメトートのどの辺りに着くのかを尋ね、スマホの地図を見せたら「ここ」と指さした。市街地に近い場所のようだったが、とにかく行ってみないとよく分からない。

チケットも手に入りやっと落ち着いたところで、入り口にある喫茶コーナーのような店でバインミーと飲み物を買った。待合所は広くここでしばらく休憩した。


2.目の前を BX.Miền Đông~BX.Chợ Lớn、54番バスが通り過ぎた

さて、これからどこに行こうか考えた。このバスターミナルには荷物預かりが無いと言われたのだ。こんなバッグを持ってどこへ行けばいいのだろう。ベンタイン・ターミナルで降りたらと考えるとぞっとするし、ドンコイ通りとかも歩きたくない。
そんな事を考えながら外を眺めていると、目の前を54番バスが通り過ぎた。
そうだ、これにしよう。チョロンへ行こう。とっさにそう思った。チョロンも雑然としているが、何とかなりそうだ。ホーチミン市に来るとやっぱり一度は行きたくなる中華街だ。
ベンタイン・ターミナルからだと1番バスに乗るが、歩き疲れた時は用がなくてもこれに乗る事もある。ワンマンカーでエアコンがよく効いている。
バス乗り場に行って54番、チョロン・ターミナル行きに乗った。車掌は女の子で5,000ドンと言った。54番は幹線のようで便数が多くどんどんやって来る。
チョロンに着いて、バスターミナルから出ると道路はデコボコで、しかもゴミが多い。キャスターの付いたバッグを引いて歩くのは大変だ。


3.チョロンは廟が多い中華の街

チョロン地区は少し治安が悪いと言われている。スリとかひったくりに注意するようにと書かれているのだ。確かにそんな雰囲気は感じるが、私は前に泊まった4区の方が恐かった。ネットには、4区のナンバーを見たら避けるとか書いている人もいた。
国立銀行の前なのに、4区に架かるあの小さい橋を渡るのが不気味だった事がある。

通りに出ると先ず、タマゴ商が道路脇で作業をしているのが目にとまった。真っ黒なタマゴを積み上げてあった。何だろ、後で聞いてみようとその場は通り過ぎたのだが、辺りにはあちこちで鶏を金網のかごに入れたり、足をビニール紐で何羽かをつないだりして売っていた。日本でよく見る白色ではなく黒っぽのが多い。
鶏冠が真っ赤で首まで赤いマントをかけたような精悍なのは雄鶏で、鶏冠が殆ど無く全体が黒い羽根で覆われたのが雌鶏なのだろうか。
白や茶色のアヒルは可愛くてこれが肉になるのは可哀そうだ。ここはタマゴと鶏の通りみたいだ。ただ鶏や鶏舎の近くには行かない、それが海外旅行の鉄則だと思っている。
通りに面した総菜屋は、ガラスケースと横の平台におかずをいっぱい並べているが、タイのものより素材が大きく粗っぽい感じで、全体が黒っぽく濃い味付けのようだ。でも美味しそうにも見える。

チョロンの街歩きに順路があるわけではないが、ぶらっとグエンチャイ通りを歩くと、どうも廟の前に出る。『天后媽祖廟』『天后廟』(ティエンハウ廟)。ここで先ずはおまいりをするのだが、チョロンにはこのような廟がたくさんあって、しかもどの建物も形状が似ているので、地図でしっかり確認しないと分からなくなってしまう。
天井から吊るされた渦巻きの線香が印象的な廟なのだが、屋根瓦の上の龍や置き物も独特の雰囲気がある。中国文化らしいと言うか、やたら派手な造りになっているのだ。歴史的に見れば18世紀の頃、福建系の華僑が守り神として建立したようだ。


4.『ラマン』の不思議な魅力が漂うサータイ市場

ティエンハウ廟から200mも歩くとサータイ市場の入り口に着く。グエンチャイ通りとチャンフンダオ通りの間の100m程の路地にある小さな市場だが、庶民がお買い物をする場所になっている。ビンタイ市場は卸が中心のでかすぎる市場だし、アンドン市場やキムビエン市場もチョッと違う。

それでもチョロンは、町中が市場のようなものだ。店やエリアが専門分野に分かれているから、品揃えはもの凄く多い。
私が一番驚いたのは手芸用品だ。小売りではとてもあれだけの種類と在庫は置けない。
メモ帳を買おうと探した時も、延々と並ぶ文具屋に驚いた。

その中でも中華街らしいのは『Tháp Mười』から『Hải Thượng Lãn Ông 』通りや『 Lê Quang Sung』辺りにある真っ赤な祭事用の飾り物が並ぶ店の風景だ。




さて、このサータイ市場なのだが、映画『ラマン』の舞台となっている。これはフランス人の作者の自伝小説を映画化したものだ。インドシナがフランス領だった時代、ベトナムに暮らすフランス人の少女と華僑の青年との愛の物語だ。ストーリーとは別に、私は当時の風景を再現したこの映像を観るのが好きだ。[ Sa Đéc~Vĩnh Long~Sài Gòn ] のバスがメコン川を渡り、あぜ道のような土の道を走る。今はビンロンに橋が架かっているからフェリーは使わないが、サデークは船で渡るようだ。チャウドックから帰る時、バスはロンスエンからフェリーでメコン川を渡った。そしてその先しばらくは映画に出てくるような田園風景が続いていた。

このサータイ市場は狭い路地に屋台の店がひしめき合っていて、客が少なくても賑やかに感じる場所だ。しかもこんな路地をバイクが引っ切りなしに通って行くのだ。
映画の影響があるとは思わないが、観光客もこの市場にやって来るみたいだ。ただ生鮮食品が殆どで食べ物の屋台も特に目新しいものはないようだ。
それでもなぜか惹かれるのが、ここチョロンの庶民的なサータイ市場だ。
ベトナムの女性は本当によく働く。こんな市場で男性は殆ど見かけない。他で仕事しているのかと思えば、バイクを停めて道端のカフェにいたりする。




5.バスターミナル前の迫力ある青果市場

チャンフンダオ通りに出て歩いていると、あちこちに昔の風情を感じるような路地がある。チョットだけ路地裏に入ってみるがそう奥へは進めない。外国人の旅行者が入ってはいけないような気がするのだ。私はサータイ市場よりこんな路地裏の風景で『ラマン』の世界を感じる。
この通りには『涼茶』を売る屋台や店が多いのに気付いた。道端でそのまま飲んでいる人もいるが、ボトルで買ったり、ボトルに入れてもらっている人もいる。かなり人気のお茶のようだ。こう暑いと水分補給は必要だが、ここでも健康志向の飲み物が多いのだろうか。涼茶、甜品、24味、百草涼茶、とか書いてある。漢方薬的な薬効のある物なのかも知れないし、アサヒ十六茶のような飲料なのか。飲んでみれば良かったのだけど、眺めただけだった。

フーティウの看板がかかった店があったので入った。入り口に厨房があり、店内の広い空間にバイクが5台ほど停めてある。テーブルはその端の方にひっそりと置かれている。客が何人かいた。バイクでこの店内まで乗りつけてきているのだ。
私はフーティウ・コーと言ったつもりなのだが、大・小の金属ボールに入って出てきたのは、小さい方が汁に浸かった具材、大きい方には麺と葉野菜などが入っていた。
店主に聞いてみると、麺の方に具材をかけるのだそうだ。そしてライムを絞る。そんな感じだった。レバーに豚肉、すり身団子、エビが入り美味しそうになった。麺は平たいきしめん風だ。
ミトー発祥と言われるフーティウは麺にコシがあって美味しい。タイビン市場(Chợ Thái Bình)近くには『 Quỳnh 』や『Nhan Quan 』があり、特にQuỳnh のフーティウ・ナンバン・コーはとても美味しい。

バスターミナルの近くまで戻ってビンタイ市場辺りをぶらぶら歩いてみた。あのタマゴ屋は閉まっていたが、鶏は女性の足元でペットのようにつながれて売られている。お兄さんがバイクを停めて鶏を見た。女性はすかさず鶏の足を掴んで持ち上げた。この鶏たちは、今、喜ぶべきか悲しむべきか。

バスターミナルに隣接する路上の青果市場は、凄く迫力があるといつも思う。道路上に並ぶ店の数も多いが、商品を盛り上げた量も凄い。この時期、ミルクフルーツ(vú sữa)が多いようでかごに山積みされている。15,000ドンの値札が付いているようだ。前にソクチャンの市場で10,000ドンで買った事はあるが、ここも安いと思う。チョッと離れたベンタイン市場へ持って行けばこれが70,000ドンになるのだ。1kgだから多分3個くらいになるだろう。
ドラゴンフルーツはこの辺りの特産品で一年中ある。ベトナムでは『Thanh long』だ。ファンティエットでは国道沿いのあちこちで売られていた。これもミルクフルーツに負けないほどのボリュームで盛ってある。値札は12,000ドンのようだ。



6.BX.ミエンドンから夜行バスでバンメトートへ

BX.ミエンドンへ54番バスに乗った。ターミナルへ着く頃になると窓の外は暗くなっていた。待合所には大勢の人がいるが慌ただしさは全く無くてひっそりしていた。今19時過ぎだ。バンメトート行きのバスは22時なのでたっぷり時間がある。何だか空港でチェックインでもするような余裕だ。

すぐ外にある売店で美味しそうなパンを選んで買った。私の勘は鈍っているようで、しっかり見たつもりなのに、パサパサしていてしかも固いのだ。全然美味しくないのに当たってしまった。それでも何かをしながら3時間耐えねばならない。

プラットホームに出ていっぱい並んだ夜行バスを端から端へ見ながら歩いた。と言っても一度じゃない、何度もこんな事を繰り返していた。
バンメトート行きの夜行バスはこの赤っぽいのみたいだ。同じバスが何台か並んでいる。行き先で気になったのが『Phan Rang』だ。Phan Rang–Tháp Chàm、チャンパ遺跡があり、チャム族の人たちが暮らす町。そんなイメージなのだが、TVで観た事があり行ってみたいとは思っていた。そのファンラン行きはやらたとバスの数が多いのだ。バンメトートはすっかり負けていた。


私のチケットにはバス番号が14065になっているのだが、このバンメトート行きのバスは番号が違っていた。運転手に聞いてみると、チケットを見てこのバスだと言った。でもバスに付いている番号は03489だ。ラオスもベトナムもチケットにバックナンバーを書いてくれるから分かり易いのだが、こんな風に勝手に変更されたら返って間違ってしまう。



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この一角にあるホテルに泊まった。すぐ近くにミニストップがあり便利。空港まで徒歩15分程度。



ベンタイン・バスターミナルからは45番バスでBX.ミエンドンへ向かう。



このチケットカウンターの左の端の方にバンメトート行きの窓口があった。



ターミナルのベンチに座ってしばらく外のバスを眺めていると54番が走って行った。



バスターミナル近くのHEMだ。私はこんな風景がたまらなく好きだ。



『Chợ Xã Tây』(サータイ市場)ティエンハウ廟の方からだと、ここが入り口になる。



この時間だと客は少ないが、それでも通路にはあちこち屋台が置いてあるので狭く感じる。



逞しく働く女性だが、男性は路上カフェでまったりしていたりする。



サータイ市場のある通り。狭い通路をバイクが走り抜けていく。



チョロンの路地裏には、昔の風情が漂っているかのような趣がある。



大通りから路地に入る場所には露店が並びチョットした市場になっている。



あちこちの屋台やスタンドで涼茶が売られている。その場で飲む人、ボトルで買う人がいる。




チョロン・バスターミナルのすぐ横にある露店が集まる青果市場。



薄暗くなった頃には、各方面行きの長距離夜行バスがずらりと並んだ。