蘇州・無錫・紹興・上海を巡る旅  
自転車で巡る蘇州の町並み
第4日目   7月24日

1. 紹興までの切符を買いに

お昼前に、近くの售票処(Shoupiaochu)へ紹興(Shaoxing))までの切符を買いに出かけた。ここは長距離バスとか鉄道の切符を扱っている。街頭にある小さな窓口だから、駅ほどは混んでいなくて、5人位待って私の番が来た。
ところが、何と、ガイドブックで調べていた列車が無くなってしまっていた。時刻表にも見当たらなかった。
ダイヤが変更されてしまったみたいだ。行きの列車が無いと、他のもの全て計画が狂ってしまう。仕方がない。そんな訳だから、ここには何も用が無くなった。計画では、深夜1時頃に蘇州駅を出て、紹興へ早朝5時頃に着く列車に乗ろうと思っていた。そして帰りを、杭州から蘇州とか無錫への京杭運河経由のフェリーに乗ろうとか思っていたのだった。
だけど、出発便から狂ってしまうと、もうどうでもよくなって、售票処を出た。


2. 自転車で蘇州の街を散策する


2台の自転車と電チャリ。私と娘は自転車で、娘婿と孫娘は電チャリで、いざ出発。
途中、京杭運河を渡る。川幅は広く、観光船が行きかう運河とはちょっと違う。北京と杭州2500km、物流の大動脈だ。色んな大きさの船が次々と通り過ぎて行く。予定ではこの下をフェリーで通る筈だった。
少し北に寒山寺が見える。蘇州麺発祥の地、楓橋鎮はすぐ近くみたいだ。自転車はずっと東へ向かって進む。
ここから東側が三香路、左側に市政府がある。そして、しばらく走ると、また大きな運河に出た。外城河だ。昔の城内(今の旧市内)の周りをぐるり取り囲んでいる。京杭運河ほどは広くないが、内堀を入ったと言う感じがする。

ここからは旧市街で道前街となる。たくさんの店が軒を連ねている。繁華街に入り、車も電チャリも急に多くなった。蘇州ではバイクは見かけない、全て免許の要らない電チャリと自転車だ。だから空気の汚染が少ないのだろう。
気は張っているけれど、中国の交差点はちょっと怖い。通行の左右が逆だから、どっち側からくるか、とっさに分からない時がある。信号もルールも多少違う。電チャリが続いてどんどん流れてくる。ベトナムのバイク程ではないにしろ、この電チャリの数も半端じゃない。


3. 蘇州一とかの有名麺館、同得興へ

そうこうしていると人民路の交差点までたどり着いた。そこから少し北へ走り、怡園の北側の角、嘉餘坊通りを西へ曲がると、同得興(トンダーシン)が見えた。古い伝統ある家屋を感じさせるりっぱな店構えだ。
自転車をすぐ前に止め3台まとめて鍵をする。
店内に入ると、すぐ右側にレジがあり、注文をして支払いを済ませるようになっている。この店は先ず、紅スープと白スープを選び、トッピングを選んでメニューを決めるようだ。私は紅燜肉面を注文した。正面突当りにある厨房窓口でレシートを渡し、紅スープ側で待った。
同得興のスープは、白湯と紅湯がある。醤油系のこってりスープとあっさりスープらしいのだが、まだ感じが分からない。
出てきた紅燜肉面は、普通にチャーシューメンだった。
麺は細くて白っぽいのでソーメンのようでもあるが、ストレートで長い。どうも、蘇州麺と言えばこの規格なんだろう。ほぐしてなく、固まりでどかっと入ってる感じだ。それに量も多い。
スープはさして特徴がなく、あっさりしている。全体的にやさしい味だ。
やはり味の決め手は、メニューの多さからも、トッピングの具材によるのが大きいだろう。今回は単純に燜肉面を注文したが、慣れてくるとこの豊富な具材で、自分好みのメニューができるのだろう。
14時過ぎで店内に客は少ない。ただ、途絶えずぱらぱら入ってくる。もうすぐ営業は終了するのだろうが。そして、しばらくするとレジの明かりが落ちた。蘇州麺と言えば、先ず同得興をあげる人が多いようだが、確かに店内の雰囲気も、味も良さそうである。

食事を済ませて外に出ると、何だか空模様があやしい。空がどんよりと曇っていて、ぽつぽつ雨がかかった。それから間もなくしてザッーと降ってきた。なぜこのタイミングなのか。慌てて近くのビルの軒下に隠れた。どうも蘇州の夕立ちはこの時刻らしい。
そしてこの夕立、雨だけでは勘弁してくれなかった。あちこち猛烈な稲光に雷が襲ってきた。とても大陸的だ、もう観念した。しばらくは動けそうもない。
何とか雨がかからない程度のひさしだから堪らない。孫娘は体をくっつけて震えている。前の道路には水たまりがどんどん広がっていく。


4. 山塘街を運河に沿って虎丘まで

どれ程時間が経っただろうか。雨は止み空が少し明るくなってきた。今、16時20分、1時間半くらいこの恐怖と闘った事になるようだ。再び自転車を走らせた。山塘街の方へ向かうようだ。先頭の電チャリを追って走った。路地を走るのは楽しい。住民の様々な生活が見えてくる。地元民と一体になったような錯覚を感じるのがいい。
しばらく走ると、昨日歩いた山塘街の門が見えてきた。山塘橋を渡り、自転車を降りて街を歩く。孫娘はソフトクリームを買ってもらって食べていた。私も何か珍しい物をと、さがしていたら、何人かが買っていた梅ジュースらしき物を発見、買ってみた。薄い味でこれ全部飲むには困るような飲み物だ。

写真を撮るには最高のスポット、新民橋までやってきた。水量が多い時、舟はここで降ろされる。この橋をくぐり自転車に乗って更に北へと走る。山塘街は虎丘まで続いているが、観光客はこの北側には殆ど来ないようだ。それでも、しばらくは露天や飲食の店が続いている。店が全くなくなると、辺りは生活の場に変わる。左側に運河を臨む細い道を、白壁の家並みや舟を見ながらゆっくり走った。
大きく弧を描く橋に出くわすと自転車を降りて登ってみたりもした。写真を撮り、舟が通過して行くのをしばらく眺める。この距離、虎丘まで4km弱とか。ぶらぶら歩いてもいいが自転車が最高。高速鉄道が橋の上を疾走して行く。辺りをキョロキョロしながら、庶民の生活を垣間見る。
虎丘の前に出ると、景色は一変する。観光客が大勢いて、タクシーの運転手がたむろしている。土産物店や果物を売る露天も多い。
今日は夕立に邪魔された。もう17時半になっていた。そろそろ帰り支度の時間だ。


5. 蘇州は世界文化遺産だらけ、ズボンは泥だらけ

蘇州はとにかく世界文化遺産や有名な庭園が多い。街を走っていると、あちこちでそのような道路案内板が目に付く。寒山寺に向かう途中、道路清掃車が前からやって来た。水を撒きながら何かが回転している。慌てて歩道の奥に避難した。それでも道路は一面泥水に覆われてしまったようだ。タイヤに付いた泥水のハネを気にしながら走ったのだが。ズボンとシャツの背中は泥だらけになってしまっていた。
寒山寺までやって来ると、観光バスが道路にずらりと並び、行く手を遮っている。乗客も大勢辺りを歩いている。それらを避けながら遠回りで走った。こんな夕方なのに未だ帰らないのだ。
途中、何か買う物があったようで、日本の商品で品揃えされた『しんせん館』と言う店に寄った。コンビニ程度の売り場スペースに、日本の食料品や実用雑貨が並んでいる。大型スーパーにも有るのだろうけれど、ちょと買うにはこちらが便利なようだ。
店を出て、濱河路を少し南へ走ると、交差点の真ん中に赤い大きなオブジェが見えてきた。そして淮海街のアーチの所に出た。
かなり疲れて、汗もいっぱいかいて、やっと近くの通りまで辿り着いた。果たして今日は何キロ走ったのだろう。


6. 大娘水餃で夕食

折角だから、もう食事をしてから帰ろうと言う事になり、テスコのショッピングセンターへ向かった。
テスコの中には『大娘水餃』、と言う店がある。おばさんの水餃子かな。何度も見かけたので、チェーン店のようだ。疲れていたから、早く涼しい所で座りたかった。この店は中華のファストフード店に分類されてたりもするが、料理はゆっくりで、業態的には少し違う。この時間帯はファミリー客も多い。
先ず、ここでは水餃子は外せない。水餃子3種類(鮮肉高麗菜・鮮肉青菜三鮮・牛肉餃12元)、焼き餃子(鉄板煎餃20元)に、鮮肉小籠包(8元)、三鮮虷仁湯餃(25元)、等を注文してくれた。水餃子は中国でも華北地方の物だから珍しい。天津では色んな具材の入った、美味しい餃子を食べた記憶がある。その時、黒酢のタレに戸惑ったが、食べ慣れれば美味しい。

この店のシステムとして、レジで料理が確定すると、そのまま厨房にデータが送られているようだ。厨房の人は客の持っているレシートを見て料理を運んでくる。そしてレシートを持って行ってしまう。後で、何のメニューだったのか、いくらだったか、分からなくなるのが困る、このシステム。
料理の性質上、注文を聞いての対応だから、茹で時間や焼き時間等もあり、料理が出てくるまでしばらくかかる。だから、この業態をファストフードとは言えない。
焼き餃子も美味しかった。日本の餃子とは、皮のもちもち感が少し違う。そして中の具材の味も良い。
この店は手軽に小吃を食べられる店だ。韓国では鍋の店とか、大勢で入らないと気まずい店も多いが、ここは1人での利用も特に問題なさそうだ。






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獅山大橋から見た京杭運河。大きな荷物運搬船が行きかう。すぐ前が運河公園。その先には寒山時がある。








MOUSE 同得興の入り口にあるレジ。ここで注文し、レシートを貰い、厨房口まで行って料理を貰う。














山塘街で暮らす人たちの、普段の生活を垣間見る事ができる。


虎丘の前まで続く山塘街の道。左側に運河を見ながら走る。














『大娘水餃』の店。ファストフード店のようなカウンターだ。ここで注文して代金を払う。レシートを貰ったら、それをテーブルに置いておくと料理が運ばれてくる。餃子のメニューはとても多い。


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