新村

 新村から弘大入口へ                                      6/25(金)

8時頃目が覚めた。昨日の登山で疲れていたからぐっすり眠れた感じだ。
支度をして玄関へ行くとA君に会った。もう11時30分だ。あまり長い休暇でもないと思うのだが随分ゆっくりしている。相変わらず口数が少なく、エレベーターで降りて行った。
私は必ず階段なのだが、今日はチョッと様子が違う。足の筋肉がかなり痛い。とにかく階段とか斜面とか下りる時が特に痛い。

随分と前の話だが、京都・三条大橋から元箱根まで、旧東海道を地図を片手に歩いた事があった。
まだ歩き始めて間もない頃、土山宿の旅籠を出て鈴鹿峠越えをする時、足の筋肉や膝の関節が猛烈に痛くて困った。リタイアになってしまうのかと思った程だった。気力だけで何とか峠までは到達したものの、下り坂になると急な石段や斜面の道が多く、ひどく辛い思いをした事があったのだ。

街歩きだから、足が痛いとかも言ってられない。それに平坦な歩道は大丈夫だ。ゆっくり歩いてマックまでやってきた。12時前なのに店は空いていた。いつものバーガーを食べてゆっくり休憩した。
昨年の冬は、ここで吹雪を見ながら食べた日が何度かあった。

今日の予定は、新村から弘大入口辺りの散策だ。新亭ネゴリ駅で2号線に乗れば、新道林駅で乗り換えはあるものの、そのまま2号線で行ける。

ゆっくり休憩した後の店外はやたらと暑い。強烈な太陽光が真上から一気に降り注いでくる。
地下鉄の階段ではかなり辛い思いをして下りた。斜めに歩いてみたり、蟹歩きをしてみたり大変だった。
地下鉄を降りてエスカレータに乗ると、新村ロータリー横の現代百貨店の所に出た。相変わらず前の道路の交通量は多いし賑やかな街だ。

新村には何度も来てはいるが、夏に来たのは初めてだ。それに昼間に食事をするような所でもないような気がする。
この時間だとお年寄りをたくさん見かけるのだが、ここは若い人達ばかりが目に付く。
夜は賑やかなテジカルビ通りも人通りが少なくひっそりしている。前に行った事のある人気の泗泉カルビ店の辺りさえ誰もいない。それにしても暑い、ちょっと歩くと汗が吹き出てくる。これでは東南アジアの街歩きと変らない。

ぶらっとひと歩きした後、暑さを避けて地下街へ入った。エスカレータを降りていると強烈なあの香りが。やっぱりあった、LUSHの石鹸。このにおいの石鹸をください、と時々言われるそうだが、私もこの混じりあった香りは好きだ。

しばらく地下通路でぶらぶらしながら涼しんだ後、また地上に出る。今度は延世大学の通りへ行ってみる事にした。
京義線のガードをくぐると目の前に広大な延世大学のキャンパスが広がっていた。さすがにお坊ちゃまの名門校だ、とても良い環境にある。
この辺りには何の店もない。容赦なく日差しが照りつけるだけだ。
再びガードをくぐりトクスリ薬局の角を国鉄新村駅の方へ歩く。トクスリ薬局の入った建物は、新村では待ち合わせ場所として有名なトクスリ喫茶店のあった所だ。

大きな教会の横を通ってしばらく歩くと右側にチョルピョンプデチゲを見つけた。一度は入りたい店だが、この暑さと一人で入る気兼ねさがある。さすがに入り口が迷彩色のデザインになっていて部隊のイメージだ。店内はあの映画ロケに使われたような素朴な造りなのだろうか。
前の歩道は映画とは違ってきれいになっていた。今度冬に来ようと思いつつ通り過ぎた。

建物が切れて広くなった所が国鉄の新村駅だ。上の方にメガボックスと書いてあるミリオレの大きなビルが建っている。横の小さいビルの所に、昔ながらの新村駅の旧駅舎の建物が今も現役で頑張っていた。

駅から新村路の方へ歩いていると、美味しそうな粉食の店があった。店を覗くと、入り口近くでアジョッシがマンドゥをいっぱい作っている最中だ。
庶民的ないい感じの店だったので入ってみた。
マンドゥも美味しそうだが、暑いし喉も渇いている、こんな時はさっぱりとコングッスが食べたい。
奥から水を持ってきて聞いてくれた。コングッスを注文する。麺をゆがいて冷やし豆乳スープを作る。これが10分位かかるようだ。
氷がいっぱい浮かんだコングッスが出てきた。チリチリに冷えた豆乳スープが喉を潤してくれる。麺より先にスープばかり飲んでしまった。飲料の豆乳と違って、ちょっとざらっとした感じがコングッス独特の食感だ。

粉食の店を出て新村路を歩く。ロータリーの横から現代百貨店の前をを通り、地下鉄2号線に沿って弘大入口の方へ。日差しを避けて木陰を探しながら歩いているが、異常に暑い。先ほどの豆乳の汗が噴出してくる。
こんな昼下がりに、強い日差しの中を歩いている人など殆どいないようだ。

大きなセゴリを左側へ。地下鉄弘大入口辺りには大勢の人がバス待ちしていた。KFCの角を左へ曲がると学生街の雰囲気がしてきた。カフェとかレストランがやたらと目に付く。右に折れると小さな店が並んだ通りがある。左右の道路に挟まれた商店街を歩く。学生街は梨大も大学路も弘大もよく似た感じだ。

三角形の小公園の周りにはアクセサリーを売る露店がずらっと並んでいる。客はまばらだが何か楽しい雰囲気だ。
弘大正門近くまで戻ってきた。弘大は建物が大きなゲートになっていた。

弘大入口駅から地下鉄に乗り木洞駅で降りる。新亭駅方面へ斜めに入る道を歩いてみた。
すると少し歩いた所にキムパッの店があった。
途端に、あの美味しかったセウポックパッを思い出してしまう。引き寄せられるように店に入ってしまった。

アジョッシが水を持ってきたので、セウポックパッと言うと、何?と言った表情をする。再びセウポックパッと言ったが何も反応しない。おかしいな、発音が悪いのかな。と、大きな声で何度も言ってみた。そうするとアジョッシもセウポックパップ?と返してくる。
そんなのを何度もお互いに繰り返していたらその内、舌がもつれておかしな感じになってしまった。周りの客の視線を感じ見渡すと、皆が見ているではないか。アジョッシにからかわれている雰囲気だ。

ちょっと恥ずかしく、冷静になって壁のメニュー表を見た。それが、どうした事かメニューに見当たらない。なんだ、無いのか。オプソヨとか言ってくれればいいのにと思う。
もう諦めた、トンカツにしよう。チーズトンカスと言えば途端に厨房へ消えた。
メニューをじっくり見てみたが、やはりポックムパッは見つからない。それで他の物にするまで何度もこちらに合わせて聞き返していたのだ。
キムパッの店のトンカツは薄いが大きい。甘いソースをたっぷり塗ってありかなり美味しい。コグマトンカスはどんな物なのかと想像した事があったが、あれはトンカツの肉にコグマペーストを塗ってあるようだ。
注文だけで疲れてしまった。








2号線新村駅の地下道からから地上に出ると、現代百貨店の近くに若い世代をターゲットにしたSCのU-PLEXがある。


新村ロータリー付近にあるデパート。梨大、弘大にも近いが、この通り沿いは少し雰囲気が違っている。




彼女に新村へ呼び出され、彼女の元彼と三人で食事をしカラオケで歌い居酒屋で飲んだ。これで元彼とのよりが戻り僕の役目は終わったと思った。彼女を残して先に現代百貨店の地下鉄駅へ続くエスカレーターへ向かう。後は元彼に任そう。
地下鉄駅へ続くエスカレーター、これに乗れば永遠の別れのような気がした。彼女が追っかけて来るような気がして乗るのを躊躇する。そしてエスカレーターで降りていると上から、キョヌ!と叫ぶ声がした。








弘大繁華街近くにある小公園。アクセサリーの露店が公園の横にぎっしりと並んでいる

弘大の中心地にある商店街の通り。平日のこの時間帯は通行客がまばらだ。

弘大入口の通りの風景。やはり若い世代の人達が多いようだ。

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