7  江原道は原州から

ムグンファ号は8時35分発だった。8時過ぎに宿を出た。
昨夜はよく眠れなかった。5時半からTVをつけて見ていた。朝はクラッカーを食べる。
アンドン始発のチョンニャンニ行きムグンファ号、栄州9:10 丹陽10:01 堤川10:21 原州11:04 楊平11:58 清涼里12:48になっている。
5号車33番(窓側)、この席で丹陽(タニャン)の景色は楽しめるのだろうか。
しかしこの列車、客が殆どいない。5号車で3人ばかりだ。大丈夫なのだろうかと、経営者でもないのに気にかかる。
少し景色を眺めていたら眠ってしまった。ざわめいて目が覚めたのは栄州(ヨンジュ)、かなり乗りこんで来た。
横の席にハルモニ(お婆さん)が座った。
栄州は嶺東線と中央線、慶北線が交差する駅だ。日本海側の江陵とか東海へはここで乗り換えになる。
山間部だが、乗降客の多い重要な駅なのだろう。ここでやっと席は半分以上埋まった。ここから徐々に本格的な山に入って行く。周りはすっぽりと雪に包まれている。
いくつかトンネルをくぐり、下りになった頃、丹陽駅に着いた。この先国鉄線は電化されているようだ。
所々線路も新しくなっていたり、高架にもなっているように見えた。
丹陽を出るとすぐ、列車前方に大きな湖が見えてきた。氷河湖みたいなコバルトブルーに見える。全面凍りついている。
この旅、計画段階では丹陽も予定していた。船で亀潭峰の下を遊覧したかったのだ。でもこの時期、絶対無理だと分かった。
線路はかなり高い所を通っている。とても景色がいい。感激しているのも束の間だ。すぐに通り過ぎてしまって、再び山の中へ入ってしまった。
堤川を過ぎしばらく走ると、だんだん平野が多くなってきた。江原道に入った。高層のアパート群も見えて来出した。
左に大きく緩やかにカーブし原州駅に着いた。一緒に数十人がここで降りた。

原州の駅前はひっそりしている。タクシーの運転手が暇そうな目でこちらを見ている。正面に大きな観光案内板が立っているのが見える。しかし観光案内所みたいなものはどこにも見当たらない。
自販機で甘いコーヒーを飲んだ。何を考える事なくしばらく休んでいた。

先ず、春川へ行くためのバスターミナルを確認しよう。案内板を見ると高速ターミナルがあった。
正確な地図がないので方向は分からないが、ちょっと歩いてみる事にした。歩道には所々に雪が残っている。駅前をまっすぐ歩き、大通りを横切って更に行くと上り坂になっている。商店街から離れて住宅地に入っていた。この方向は間違いだと思って引き返そうとした時、学生らしき人がやって来たので道を聞いてみる事にした。
私の韓国語を理解できる人はちょっといないと思うが仕方がない。一生懸命教えようとしてくれているが、途中で諦めたようだ。
ここからだと遠いのでタクシーで行った方がいいと言いだした。韓国の人はタクシーをよく使うが、私は殆ど歩く。でもここはタクシーに乗る事にした。高速ターミナルまでは10分位だった。
ところがこのターミナル、行き先が数か所しかない。勿論、春川もなかった。はっとした、窓から市外バスターミナルの文字が見えたのだ。あ、こっちから出ているのだ。急いで行ってみた。でも工事中、完成していなかった。
原州駅の案内板には書かれていなかった市外バスターミナルが、ここの案内板には書かれていた。
それも、ここからだと駅を通り過ぎて向こう側になってしまっている。
でも仕方がない、再びタクシーに乗った。

市外バスターミナルは古くて辺りもきれいではなかった。それでもバスはひっきりなしに出入りしているし人も多い。
待合所に入ってみる。ここからの路線は多いようだ。春川行きも1時間に2本以上はある。

この周辺には旅館とかモテルとかの文字が目につく。坂を上ってすぐのチョンスジャンと書いた宿に入ってみた。この時間帯だから部屋はある筈。一泊いくらか聞いてみると、イーマンオーチョヌォンだ。
部屋へ案内してもらう。安東の宿よりきれいで、オンドルが暖かい。荷物を置いてすぐ街へ出てみる。

タクシーで走ると、どこを走っているのか分からないが、歩くと街や人々の生活までよく分かりしっかりと記憶に残る。
坂をもう少し上ると正面にキンパッ天国があり、右側の先にロッテリアが見えた。キンパッ天国に入った。キンパッのチェーン店は他にもたくさんあるが、日本で言えば吉野家とかすき家の感じなんだろうか。私にとっては、手軽に入れて安い店と言う位置づけだ。久し振りにピビンパッを食べる。パンチャンは、味噌汁、たまご焼き、キムチ、海藻酢の物、するめイカの佃煮、薄いさつま揚げ、キムチ和え等である。全州のピビンパッとは比較できないが、美味しく食べた。

坂を下り市外ターミナルの横を通って進むと駅へ続く大きな通りに出た。まっすぐ進むと線路が頭の上を通過する。
程なく原州駅、紛らわしい案内板のある駅前だ。そのまま真直ぐ歩いて行くと段々人も店も多くなり賑わってきた。交差点の信号でも大勢の人達が待っている。
左側には市場があるみたいだ。何ヶ所か入口が開いていて、中の様子が見える。ここが原州の中心なのだ。市庁の案内も見える。市場に入ってみた。かなり大きい市場だ。この町の人口からすればそうなんだろう。27万人だ。
中はやはり、初めての者には迷路状態だ。生鮮食品から衣料品、日用品など辺り一面広がっている。
市場に来るとやはり、あの餅が。餅屋があった。そして豆類やナッツや栗の入ったのを発見。これは餅と言うよりデザートってところかも知れない。
ぶらぶら、しばらく散策していたが、うす暗くなってきたので宿に帰る事にした。昼食からあまり時間が経っていないので何か買って帰ろうと思った。
キンパッの店に寄って、サジュセヨ(持ち帰り)とキンパッを買った。それからファミマでコーン茶、ヨーグルト、クッキーとかも買った。
部屋はぽかぽかだ、凄く暖かい。シャワーを浴びて少し洗濯をした。オンドル部屋はとても乾燥しているから、喉には悪そうだが、洗濯物を干すには最高にいい。
朝までには乾く筈だ。

TVで韓国ドラマを見ながら食事をした。









   
中央線の時刻表 安東〜原州、8時35分発に乗車する。




堤川付近の車窓風景。栄州辺りから雪景色がずっと続く。



原州駅はバスターミナルと離れていてちょっと不便だ。




原州の市場付近の通り。大通りからこの辺り一帯が市場になっている。




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