メ コ ン の 流 れ と と も に    12
ビエンチャンの市場めぐり
ラオス 2   1月27日 (金)
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1.朝食はバスターミナルのサンドイッチ

ビエンチャンの朝はとても爽やかだ。まるで南カリフォルニア。天気は良く、空気もからっとしている。廊下の端にあるベランダに出てみた。小ラオス国立博物館さなテーブルが置いてあり、座ってのんびりしている人もいる。朝陽を浴びながら辺りを眺めると、ここが首都の中心部とはとても思えない、何とも穏やかな景色が広がっていた。
靴を履いたまま下に降りて行くと、階段の下にスリッパと靴が並べて置いてあった。若しかして、ここからはスリッパに履き替えるのだったのか。どうりで床はピカピカだった。でも案内してくれた人は何も言わなかったけど。
外に出て1階の道路側に面した部屋を見ると、この宿のオーナー家族が食事をしていた。
サームセンタイ通りの角にはトゥクトゥクのおじさんがいて、「乗らないか」、と声をかけてきた。「街歩きするから」、と断ったが、何とも人の良さそうなおじさんだ。ここを定位置にしているようで、木陰でのんびり客を待っている。

私の朝食はと言えば、やはり、あのバスターミナルのサンドイッチだ。それしか考えられない。足早に、サームセンタイ通りからクービエン通りを歩く。もう、この頃には爽やかな空気が暑さに変わってきた。直射日光は南国の強さで容赦なく照りつけてくる。
タラート・サオの前では、荷車にマンゴーやグアバ等、果物をいっぱい積んで売っている人や、路上に薬草らしき物を思いっきり広げたおばさんが大勢いた。
バスターミナルに着き、ずらっと並んだパンの前に立つが、さて今日はどの店で買おうか。すっかりこの街に慣れ切った人のように、パンの品定めをしながら歩く。と言うか、サンドイッチを作っているお姉さんを選んでいるのだ。清潔感があって愛想の良い人。それとお客が多い店だ。辺りにはフランスパンの良い香りが漂っている。
店を決めてサンドイッチを注文する。具材をしっかりと見て選ぶが、途中からは適当にと言う。昨日のサンドイッチとどう味が違うのか分からないが、とにかくうまい。

PETのオレンジ飲料も買って、柱だけで吹き抜けの待合所へ行った。大勢いるがまだベンチはいっぱい空いている。人やバスの流れを見ながらゆっくりと味わって食べる。
その時、日本語で声をかけられた。ちょっと太った浅黒い顔のおじさんだ。昨日私が、この中を歩き回っているのを見ていたそうで、声をかけてみた、と言った。私は、海外では日本語を話す人にはチョッと警戒する。この方はタイのパタヤに住んでいて、ビザの延長を申請する為にラオスの大使館へやって来たらしい。昨日もここにいたそうなのだ。
同じウドンタニーから入国したとか。四国の方だそうで、パタヤには3年程住んでいるらしい。「高級なリゾート地に住んでいいですね」と言うと、パタヤは庶民レベルの土地だと言った。しばらく居て来年には日本に帰るらしい。
私が、次はベトナムに行くと話すと、サイゴンでは気をつけるよう言う。何度か危険な目に遭ったそうだ。シャツを捲って腹巻きの貴重品入れを見せてくれた。こんな風にしていないと危ないのだとか。
確かに私のように、小さなカバンを肩にかけていると、貴重品がその中に入っているのは一目瞭然だ。しばらく話していると、「時間だから日本大使館へ行かなければ」、と歩いて待合所を出て行った。


2.タラート・トンカンカムまで歩く

今日は街の北側、タラート・トンカンカムへ行こうと思っている。ここからだと2kmもない距離だ。先ずラーンサーン通りを北へ行って、ドンパーラーン通りを西へ、そしてラオ・テレコムの辺りからクーンブーロム通りへと出る。
左側には体育館のような建物や競技場が見えてきた。この辺りの道路沿いには、何メートルか毎にパラソルを立てて、台の上にカードを並べ売っている。女性の仕事なのか、バイクが停まってすぐ買えるよう、歩道の端ぎりぎりまでせり出している。何かと見ると、バスターミナルでもよく見せられた宝くじのような券だ。タイでも盛んだがラオスも人気があるようだ。

チャオアヌ通りを北へ進むと、少しづつ雰囲気が出てきた。古めかしい建物の前にはお米が桶に入って並んでいる。右側の路地へ入ると市場が見えてきた。
卸の方はもう取引の大半が終了しているようで、商品も人影もまばらだ。建物の中に入って行くと、薄暗いが、小売の店が幾筋も並んでいた。生鮮物から加工食品、日用品や衣類まで、あらゆる物が売られている、大きな市場だ。そのなかでも特に野菜や果物の店が多い。ラオスでは、輸入に頼る日用・雑貨や加工食品は高いそうだ。物価はタイと比べてもそう安くないらしい。生鮮物以外では、自国での生産が殆ど無いからだ。

足元が水浸しの所で『マム』を見つけた。何種類か大きな容器に入って売られている。ベトナム程は使われないようだが、時々見かける。ただ、マムらしき物であって、汁の中に魚が浮いている状態だ。日本の塩辛のようにも見える。魚醤になると、ここでは『ナム・パー』、と言うらしいのだが、この魚が浮いた状態の物は一体何なのだろうか。
肉類は、吊るしたり板の上に塊のまま並べて売っている。私などは、冷蔵されていないと痛まないか心配してしまうが、そんな事もないのだろう。外ではスイカも山のように積んである。
この市場は、生鮮市場としてはビエンチャンで一番大きいらしい。

タラート・トンカンカムを出て、今度は住宅地の中の路地を歩いてみた。所々に食堂や店があり、チェンマイ等とあまり変わらない雰囲気だ。

路地からクーンブーロム通りへ出て、国立競技場のすぐ横をキーフアン通りへと入る。ここからは石ころの道で誰一人通行人がいない。サームセンタイ通りまで戻った。未だ行っていない国立博物館が横にある。暑さで疲れ、一旦宿へ戻る事にした。

エアコンで体を冷やしながら、しばらく休憩していた。市場めぐり、今度はタラート・サオへ行ってみよう。


3.タラート・サオを散策する

ここはビエンチャンのデパートみたいな、おしゃれスポットだ。新棟と旧棟の大きな建物が並んで建っている。まだ慣れない私はこの中で迷ってしまう。どうもよく分からない。2階はどちらも、アクセサリーや貴金属類の店が並んでいるのだが、果たしてこんな高価な物を誰が買うのだろう。時間帯にもよるのだろうが、客は一人もいなかった。そしてこのビルには、ラオスで唯一と言われるエスカレーターがある。
新棟を上の階へ上っていると、小さい女の子が二人、上ったり下ったり、この珍しい乗り物で遊んでいた。上の階にはまだ入居していない店舗用のスペースがいっぱい残っている。

バスターミナルにも近いこのショッピングセンターは、土産物店も多く、モン族の衣装や工芸品もたくさん売られている。
モン族はミャオ族とも言われ、タイ北部山岳やラオス、ベトナム、中国・雲南省など広い地域で生活している少数民族である。精霊信仰の独特な宗教観がある。女性はスカートのように、厚地の布を腰に巻いている。布地の下の部分に、派手な模様が付いているのが印象的だ。市場などでは時々見かける事があった。
さて、私はここで、布地に刺繍が入った小さな袋と素朴な手作りのノートを買った。店員になって初めての客、と言った感じの女の子は、値段が分からず慌てて女主人に聞きに行った。

3階のフードコートにも行ってみた。そんなに広くはないが店の数は多いようだ。明日もう一度来よう、と思って出た。
このタラート・サオには生鮮食品はないが、そのすぐ近くにはタラート・クアディンがあり、他にもこの付近一帯、テントを張った市場らしき場所がいっぱいある。


4.ナンプ・コーヒーで夕食を

夕食にナンプ・コーヒーへ出かけた。宿からも近く、歩いて数分の距離だ。サームセンタイ通りのスウェンセンズも近い。この時間は客が少ない、と言うか殆どいなかった。昼間はカフェとして旅行者で賑わっていたように思ったのだが。
メニュー表には写真が付いていてとても便利だし、日本語まで書いてある。かと言って店員が日本語を喋る訳でもなく、そのメニューがどんな物なのかは全く分からない。
私はライスとチャーシュー入りの中華風野菜炒め、らしき物を注文した。スープが付き、氷水をジョッキに入れてくれた。水が出るのは珍しい。小さな皿に調味料の液体が入っていて、これはどうするのか尋ねると、瓶に入っているのと同じだと言う。答えになっていない。ちょっと舐めてみると、ヌックマムのような味だ。塩辛くほんのり魚の香りがする。よく聞くと、どうも、ご飯にかけて食べるそうなのだ。
ちょっと疑わしい気もするが、少しだけご飯にかけて食べてみた。

この店は値段も安く清潔で、お勧めだ。





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あまり広くないビエンチャンでは、このバスターミナルが町の中心となっている。

タラート・サオ前の道端で、薬草らしき物を売っているおばさん。

サームセンタイ通りにある、街角のカフェ。朝は涼く爽やか。

タラート・トンカンカムの場内。生鮮食品だけでなく、雑貨や衣料品まで揃っている。

スイカはこの時期でも多いようだ。所々で盛り上げて売っている。

おしゃれなネット・カフェもある、ビエンチャン市街地。

ナンプ・コーヒーの店内。日本語でも書かれた写真付きメニューが便利だ。