メ コ ン の 流 れ と と も に    7
ウィークエンドマーケットからアユッタヤーへ
タイ 5   1月22日 (日)
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1.チャトゥチャック・ウィークエンドマーケットヘ

このホテルの朝は快適だ。窓から遠くまで見渡せるし、特に今日は天気が良い。すぐ前をBTSが走って行く。
冷蔵庫に入れてあったドラゴンフルーツとマフィンを食べた。ドラゴンフルーツは白い方のタイプ、スプーンですくって食べた。味は淡白だが水分は多くて朝に食べるにはもってこいのフルーツだ。

ホテルを出てBTSのクラン・トンブリ駅へ向かって歩く。この通りは道幅も広くきれいに整備されている。
駅の窓口で切符を買おうとしたのだが、ここでは硬貨への両替しかやってくれない。切符はその硬貨を使って自販機で買えと言うのだ。私のICカードは期限切れなので使えず、かなり面倒だ。日本では、SUICAもICOCAも10年放っておいても使えるから便利だ。東南アジアはどの国もかなり短い。
サヤーム駅でスクンビット線に乗り換える。ここからはちょっと混んでいて座れない。久しぶりに、沿線の景色を懐かしく眺めた。
終点のモーチット駅で降りる。プラットホームの高い位置からは、ウィークエンド・マーケットのテント群がよく見える。
乗客の殆どがこのマーケットへ向かうようで、みんな大通りに沿って一斉に歩いて行った。

チャトチャックウィークエンドマーケット一番近い入り口から入った。ここには今まで2度しか来ていない。中に入ると、迷路と人の多さで方向感覚を失ってしまう。今どの辺りにいるのか分からない。それでもあちこち迷いながら見て回った。ただ私の場合は、特に何かを買う目的は無く、物見遊山の興味本位で歩くだけだ。欲しい物さえあれば、値切り交渉したり、面白いのだろうが。
場内はそれなりに混雑していて、欧米系の人達や、家族連れも意外と多い。
建物の中を縦横に走る通路はとても狭いのだが、商品別に区画割がされているから、探すには分かり易いようだ。
所々に小さな屋台が出ていて、ビニール袋に入った飲料やら、カットフルーツを売っている。
このマーケットの塀の向こう側には、平日も開いている民間のチャトゥチャック・プラザがあり、バンコク最大の北バスターミナルも近い。


2.バンスー駅は2つあった

今日はアユッタヤーへ行く予定をしている。しばらくこの賑わいを楽しんだ後、国鉄バンスー駅へと向かう事にした。
マーケットの南端にはMRTのガンペーン・ペット駅がある。地下鉄に乗ればすぐバンスー駅まで行く事ができるのだが、私は敢えて歩いて行く。
方向は分かっているつもりだ。MRTも1駅だしガンペーン・ペット通りをまっすぐ歩けばすぐだと思っていた。
ところが、タイの道はそう簡単にはいかなかったのだ。
少し先には水路があり、道は途中から迷路になった。アパートの中に迷い込んだり、鉄道の線路をくぐってから特に複雑になった。何度も道を聞いたり、汗だくで探しながら歩いた。

そして何とかバンスー駅にたどり着く事ができた。ごみごみした市街地から、ぱっと開けた荒地のような場所だった。駅前にはバスが停まっているし、MRTの駅もあるのだが、人通りは殆どない。
長いプラットホームが2つあり、自由に出入りできる状態だ。ベンチには何人かがいて列車を待っていた。切符はどこで買うのだろうか。聞い3等車の車内南線のバンスー駅てみると、あそこと指さしてくた。確かに駅の出札窓口らしきものがある。北方面行は何時なのだろう。駅員に「アユッタヤーまで」、と言うと、「ここは北方面の列車は止まらない」、と言われた。どう言う事なのか、北線に乗っていたらバンスー駅は止まるのだが。
そして、その駅員は、北線はもっと向こう側(フアランポーン側)に駅があると言うのだ。どれ程離れているのだろう。せっかく苦労して見つけた駅なのに。
言われた方向に歩いて行くと、そう遠くない場所だった。レールに沿って小さな建物が見えたのだ。
近づくとやはり駅のようだ。何故、北線と南線の駅舎を別ける必要があるのだろう。列車の本数から考えるアユッタヤー方面の列車と余裕だらけと思うのだが。
北線のバンスー駅でチケットを買うと、12時5分発でアユッタヤーが13時6分になっていた。そして20分程で列車がやってきた。不思議とほぼ定刻だ。

この後の沿線風景は、水田と、所々に高床式住居が建っていて、あとは荒地だ。アユッタヤーの駅と、付近の景色は覚えていたが、どうも降りるタイミングが不安だ。タイ国鉄は、乗客の乗り降りが済むとすぐ発車してしまうのだ。降りるのが遅かったら次まで行ってしまう。それで、近くのおじさんに、「アユッタヤー駅へ着いたら教えて欲しい」、と頼んだら、その人もそこで降りると言う。やれやれ、これで安心だ。


3.アユッタヤーの洪水被害は深刻だった

アユッタヤー駅前の通りを”渡し場”へと歩く。辺りの建物も洪水被害にあっているようだ。所々が壊れていて、以前の街並みの雰囲気ではない。店も営業しているのかどうか分からない。突当りの渡しの乗り場に出ると、水位は高くないがゴミが引っかかっていたり、所々壊れているような所も見かけられた。
”渡し”は斜め右方向へと進む。旧市街地側に着き、商店街を歩く。全体がチョッと汚れた感じで、道路の隅には細かい砂がいっぱい積っている。以前マックに入った事があったので、探してみた。確かメインの通りよりは少し先の道だった筈だ。ところが街全体の雰囲気も違うし、マックのあった辺りには何にもなかった。地元民の何人かに尋ねてみたが、「もうとっくに無くなっている」、と言うのだ。
仕方なく、少し戻って客が数人いる食堂に入った。店内の客はみんな麺を食べていた。私もセンレックを注文した。


大通りから北側の路地を歩いてみた。洪水の痕がしっかり残っている。真ん中辺りまで白くなっている塀、寺院の土塀も、辺り一帯の建物もこの高さで泥水の痕がついていた。
しばらく路地を歩いたが、あちこちに痕跡が残っていて、観光気分にはなれそうもない。住民の方も心なしか、元気がないように感じた。工業団地でもあれだけの被害が出た事だし、アユッタヤーはそれよりも早く水が押し寄せ、昨年10月~11月と水没した。世界遺産の寺院も、しばらくの間観光ができなかったり、旅行社ではツアーの中止が相次いだ。
あれからまだ2カ月しか経っていない。私も日本を出発するまで、タイ国鉄の北東線が動いているのか、とても気になっていた。

大通りに出てしばらく歩き、道路を挟んで左右に大きな仏塔のある場所までやって来た。右側のワット・ラーチャブラナの方へ入ってみた。お正月、と言うより水害の影響なのか、料金は要らないと言われた。観光客は殆どいない。白人のバックパッカー達が何人か、グループであちこち歩き回っている程度だ。
正面に建つ大きな仏塔には階段があり、途中まで登る事ができる。さすがに辺り一面見渡せるようになった。ここからは真っ暗だが下の部屋に下りる階段があった。誰かがその中から出てきたので、私も階段を下りてみた。懐中電灯など持っていないので、中は真っ暗、何も見えない。足で探りながら進んで行き、カメラのフラッシュを光らせた。小さな部屋になっているようで、一面壁画が描かれていた。若しかしてこれがタイ最古の壁画なのか。宗教の空気を感じた。
こんな神聖な場所にいつまでもいられない。すぐ階段を上って外に出た。

ワット・ラーチャブラナそこから大通りを渡って、今度はワット・プラ・マハタートへ行った。するとここでも料金は要らないと言うのだ。
こちらは少し観光客が多いようで、入り口の売店も開いているし、トゥクトゥクが客を運んでいた。ここで棒のアイスを買って食べた。
広い境内に入ると、観光客はあまり目立たなくなってしまった。
ビルマ軍に攻められて、首を取られてしまった仏像や木の根が巻き付いた仏像の頭など、あちこちで写真を撮ってみた。

それにしても暑い。この地方に若し日本の秋のような季節があるのなら、是非その時期に来たいものだ。
しばらく木陰の石に座っていたが、いつまでもはいられない。皆一様に滞在時間は短そうだ。

ワットを出て、大通りの交差点を東へ向かって歩く。商店街の辺りまで歩いても、ほんの1km程度なのだが、この距離かなり疲れる。途中で、何か祭りの準備なのか、背景を中華門のようにした舞台設営をしていた。明日が旧暦の元旦だ。何かイベントがあるのかも知れない。
今回の旅では旧正月をどの国で迎えるかも注意点だった。交通機関が混雑するからなのだが、タイは4月に『ソンクラーン』があるし、中華街を除けば大丈夫だろうと考えた。

活気のない商店街を出て”渡し”に乗った。このパーサック川の周囲にも洪水の爪痕がいっぱい残っている。アユッタヤーの人々に笑顔が戻るのはいつになるのだろう。早く”マイペンライ”が復活して欲しいものだ。


4.フアランポーンでぶっかけ飯

アユッタヤー駅に戻り列車に乗った。Ordinary(各停)は15バーツ(約40円)、約2時間弱でフアランポーン駅に着いた。
夕方のバンコク中央駅は列車を待つ人で混雑していた。プラットホームで、急行列車の2等座席車を覗いてみた。寝台車はエアコンが効いているが座席車の窓は開いていた。
フードコートに入り、一番奥のコーナーで、辛そうでないおかずを尋ねて2品選んだ。ぶっかけ飯はうまい。飲料・デザートの店でかき氷も買ってきた。
タイのフードコートでは、クーポンは120~150バーツにしている。私が行く程度の店では1品30~50バーツ程度。ぶっかけ飯、クイティアオ、かき氷、水、これだけ食べても150バーツまでだ。クーポンはたくさん買っても当日限りなので、あまり意味がない。


食事の後、駅から少し離れたバス停まで歩いた。1番バスは駅まで入って来ない。少し南のKooLanRd.の橋を渡って急に現れる。この場所は薄暗いがアーケードがあり待つには不便はない。その1番バス、チャルン・クルン通りが途中から一方通行になるためなのか、やたらと大回りしながら走る。ホントにサートーンまで行けるのか心配した。
サートーンから、今日は渡しに乗って帰った。




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BTSクルン・トンブリー駅。シーロム線が延伸されて便利になった。
チャトチャックウィークエンドマーケット
チャトゥチャック・ウィークエンドマーケットの場内。多国籍の人で賑わっている。
北線のバンスー駅プラットホーム
バンスー駅・北線のプラットホームは、南線より数百メートル離れたバンコク寄りにある。

アユッタヤー駅前、パーサック川の渡し場近くの風景。所々に水害の影響が見かけられる。
ワット・プラ・マハタートにある仏像。

ワット・プラ・マハタート内の仏像群。ビルマ軍によって破壊され、頭部のない胴体だけが並んでいる。

ワット・プラ・マハタート内の建物群。モデルを使った撮影が行われていた。

アユッタヤーの中心を走るNaresuanRoad。イベントの飾り付けが始まった。

夜のフアランポーン駅。夜行列車の出発が始まる。