メ コ ン の 流 れ と と も に    9
トンブリーからサラヤまでの鉄道旅
タイ 7   1月24日 (火)
前へ1 2 3 4 5 6 7 8次へ

1.6番バスで中華街へ

フロントで、近くを通るバスのルートを聞いてみた。「84番をよく見かけるんだけど」と言うと、バスの事は詳しく分からないようで、「6番バスに乗ればパフラットへ行ける」、とだけ教えてくれた。
大通りに出て交差点を左に曲がると、少し入った所に『Tops』があった。ただこの店、普通のスーパーではなくコンビニっぽい規模の店だ。それでもチョッと興味がある。帰りに寄ってみよう。
バス停でしばらく待つ。まもなくやって来た6番バスは、チャオプラヤ川に沿ってチャルン・ナコーン通りを走り、大きな橋を渡ってマハチャイ通りへと進む。
この赤バスはドアを開放してあり、バス停でもきっちり停止せず、客はすぐ飛び降りそして乗って来る。この乗客達の動きのタイミング、とスピードがいかにもタイらしいのだ。車掌も椅子に座っていて、客が乗って来ると、おもむろに立ち上がり筒をガチャガチャ鳴らしながら近づく。均一料金の8バーツだ。

大体の場所は分かるが、どこで降りようかと辺りを見ていると、中華街の人混みが見えてきた。チャルン・クルン通りを左へ曲がった所のTriPhet通りで慌ててボタンを押して降りた。お正月の賑わいを見ようと思っているのだが、大通りは派手な飾り付けは有るものの特に何もなく平常だ。


2.流れのままにしか歩けない中華街の混雑

さすがにパフラット市場は混んでいた。自分の意思ではなく、人の流れに合わせて歩くだけだ。凄く混雑しているものの、買い物してる様子はあまりなく、皆ただ前へ前へと歩いて行くのみだ。
マハチャイ通りまで出て、今度はサパーンレック市場へ入る。こちらも大混雑している。ちょっと入るのをためらってしまう。混雑の中をチャルン・クルン通りまで歩いて、ちょっとクロントムの方へも入ってみた。こちらは人影がまばらで普段と変わらない。私は何かを買ったり食べたりする訳でもなく、ただお正月の中華街を歩いているだけだ。
もうすっかり人混みを満喫して、と言うかうんざりして、今度はチャオプラヤー川の方へと歩いて行く。ラーマ1世像の辺りまで来ると、さすがに辺りには殆ど人はいない。
お腹も空いてきたので、すぐ先にあるパーク・クローン市場へ行く事にした。ここは花市場で有名だが、野菜や果物の大きな市場もある。ただ卸が中心なので午後になると閑散としてしまう。

ずらりと並んだ花屋の店頭にはパラソル型のテントが張ってあり、きれいな花がぎっしりと陳列されている。紙で一束づつを包んでいるのも多いようだ。いろんな用途があるのだろうけど、仏用の花だけを扱っている店もあり、その横には仏具の店があったりもする。

その通りを今度は川の方へ向かい、広い空間にある野菜市場へ入る。先日は営業時間を過ぎていたみたいでひっそりとしていたが、今日はまだ商い中だ。
その中に食堂が何軒か集まったエリアがある。数人の客がいる店に入った。食堂と言っても、ちょっとした厨房と低い仕切りがあるだけの店だ。その仕切りガラスに貼ってあるメニューを指さすと、向こうからカラー写真の付いたメニュー表を持ってきてくれた。なるべく辛そうでないのを選び注文した。それでも、女性は「スパイシー?」と聞いた。「ノット、スパイシー」と答えると頷いた。
出されたご飯は、エビ、肉、野菜を味付けしたぶっかけタイプだ。あまり辛くはなく、美味しく食べられた。これは45バーツだった。
朝は中華街へ行く事しか考えていなかったのだが、あの混雑に疲れて早々に退散してしまったので、これからの予定がなくなってしまった。しばらく川を眺めていたら、昨日乗ったローカル線にまた乗りたくなった。そうだ、今度はトンブリーから乗ろう。
チャオプラヤー・エクスプレスのメモリアルブリッジ・ピアへ向かった。ワンラン(シリラート)まではオレンジ旗に乗る。このオレンジは料金が均一だし便数も多く、観光用のピアには止まるからとても便利だ。と言うか昼間はこのオレンジが殆どなのだが。ターティアン~ターチャン~シリラートと進んで行く。


3.シリラートからトンブリー駅へ

シリラートで下船し、怖ーい博物館(死体を展示してある)のある病院を横切り、駅へと向かう。以前、トンブリー駅はピアの近くにあったが、再開発のためにかなり内陸へ移動してしまった。それを知らずに探し回った事があった。シリラート・ピア前の商店街で、カットされたグァバの袋入りを買った。これに赤い砂糖をつけて食べるのだが、これが手に付いて、べたべたして気持ち悪い。
しばらく歩くとこの時間もう営業していない市場があり、そこを右に入ると水色の列車が見えてきた。駅舎は小さいがベンチも並んでいてきれいだ。カンチャナブリー方面の始発駅だが待っている客は少ない。

さて、次の便と折り返し便を調べてみようとするが、ここでの時刻表はタイ語表記しかない。私は全くこの文字が読めないのだ。下手に遠くまで乗ってしまうと帰って来られない。日本の電車並みに考えるととんでもない事になる。
白人の旅行者らしき人に聞いてみたが、カンチャナブリーへ行くそうで、その事しか知らないと言われた。外人客も何人かはいるが皆そんな人達なのだろう。時刻表をよく見ると、コミューターが『Salaya』までは何便か出ていて、そこからの帰り便もあった。サラヤにしよう。
トンブリー発13時55分発、サラヤには14時24分着があり、このチケットを買った。まあ、3等だから単に時刻の入った乗車券なのだが。これが随分安い。4バーツだから10円程だ。30分乗って10円とは何とも安い。前の売店で水を買った。

短い距離だが乗り越してしまうと大変なので、プラットホームにいた駅員に、サラヤは何番目の停車駅か尋ねた。6番目の駅らしい。
しばらくして列車が入線してきた。



4.Salayaまで短い列車の旅

これは機関車が牽引する列車で3等車。昨日のディーゼルカーは2等車だった。そんなに変わるようでもないが、料金にははっきり違いがある。
車内は昔ながらの座席と、右の写真のような簡単なベンチ風の車両が何両か連結されている。全て3等車のようだ。
プラットホームとは反対側の、線路上から物売りが声をかけてくる。見ると、四角い箱に豆類のような物を並べていた。しばらくして女子高生らしき3人連れが乗り込んで来たかと思うと、その物売りと親しそうに話を始めた。次は飲み物売りがやって来た。車内にも入れそうに思うのだが、何故かこの駅では線路を歩いてやって来る。
列車は出発するとすぐ単線になり、住宅の中をすり抜けて走る。しばらくすると、だんだんと家がまばらになり辺りは草むらになった。途中、南本線との合流駅であるタリンチャンでは、駅舎や線路などの改修工事中だった。

教えられた6番目ちょうどでサラヤに着いた。真っ直ぐの線路が3線分並んだすっきりとした駅だ。小さい駅舎のすぐ裏は民家になっているが、あちこち散らかして建物もきれいではない。
反対側には線路を渡って大通りがある。そしてソンテウが何台も客を待っていた。
その大通りに沿って歩いて行くと、近くに大きな市場があった。広い吹き抜けの中は青果物の市場になっていて、平らな台の上には果物がぎっしり並んでいる。その奥には肉、魚の市場もあった。左側の方にかなり広いフードコートを見つけた。若者とおじさんが大声を出しながら、TVのムエタイを夢中で見ていた。日本じゃ大相撲ってところか。
私は果物店でカットされたスイカを買ってきて、ここに座って食べた。20バーツだったが、いっぱい入っている。喉の渇きもすっきり、美味しかった。

線路沿いには衣類や雑貨、それにホームセンターのような店が入った大きな市場があった。この地域ではここに来れば何でも調達できてしまうのだろう。

駅へ戻ると、トンブリー行きは15時40分だと言われ、そのチケットを買った。ところが、上りが全く来ない。時刻はとっくに過ぎてしまった。
1等車や寝台車の連結された下りの特急は次々とやって来る。さすがにタイ国鉄の幹線。連結車輛は多いし、ハジャイ等の国境付近まで行っている列車が多い。

そして1時間20分待って、やっとトンブリー行きがやって来た。ただこの列車が15時40分発の遅れた列車かどうかは分からない。と言うのは、以前、切符を買った時、2~3時間も前の出発時刻が入った切符を渡された事があった。指定席でないから別に問題はないが、どの列車に乗ってるのかは不明だ。

終着駅のトンブリーでは大勢の乗客が降りた。皆一斉に駅を出るが、しばらくするとどこかへ消えてしまう。左側の大きな市場は全く人っ気がなく薄暗い。足早にシリラートのピアへと向かう。
ピアの前の大通りは物凄く賑わっている。ここは小さな市場になっていていつもこんな感じだ。食べ物の屋台が、道路まではみ出しそうに椅子を並べている。そこに大勢の人達が集まり、道路はソンテウやトゥクトゥクやタクシーでいっぱいになっている。

ここからオレンジ旗に乗るのだが、見るとオレンジが丁度入って来たところだ。何人かが切符なしでチェーンをくぐって入った。私もそのまま入って乗り込んだ。実はこのピアは珍しく、切符を買って乗船口へ行くようになっている。しかも上りと下りが別の桟橋になっているから、間違えると厄介なのだ。
と言えば分ってしまうだろうけど、以前、間違えた事がある。右へ行く場合は右側の桟橋、左へ行く場合は左側の桟橋で待つ。それが、やって来た方の側に着きそうで錯覚する。しかもここは左右の桟橋がきっちり仕切られているので困るのだ。他のピアなら行き来は自由だし切符も買って乗船する必要がないのだが。どちらにしても船内では切符切りが来るからその時買えばよい。


サートーンで下船し、階段を登ってキング・タクシン橋の上に出る。今日も夜景がとてもきれいだ。渡しに乗っても、チャオプラヤー川の夜景はきれいだが、この高い位置からは格別だ。しばらく涼しい夜風に吹かれて立ち止まっていた。
路地を歩き大通りへ向かう。こんな時間でもこの薄暗い場所には小さな物売りが出ていた。
朝見つけておいた『Tops』へ寄ってみる。果物や野菜も少しはあるが、飲料や菓子が多く、コンビニ的な店造りになっていた。
この店でパンと飲み物、それにリンゴを買ってホテルへ帰った。




                    Top    前へ   次へ

クロントム(泥棒市場)の方はサンペーン市場のような賑わいは無い。

中華街の市場に迷い込むと、どの辺りを歩いているのか分からなくなる。

パフラット地区プラプッタ・ヨドファ橋の北側にあるラーマ1世像。

パーククローン市場の野菜売り場。この奥には何軒かの食堂がある。

メモリアルブリッジよりオレンジ旗でワンラン(シリラート)へ向かう。

チャオプラヤー川の西側にあるトンブリー駅。ここからはカンチャナブリー方面の列車が出ている。

サラヤの生鮮市場。野菜・果物の売り場がずらりと並ぶ。別棟に肉・魚の市場もある。

サラヤの線路沿いにある市場。こちらは衣類・生活雑貨・工具類等を売っている。

サラヤ駅の大通り側には、ソンテウが客を待っていた。

チャオプラヤ・エクスプレスから見たワット・アルンの夕景。