メ コ ン の 流 れ と と も に 17 |
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1.世界遺産、グエン朝の王宮へ 朝食は前の店へ行った。パンとジャム、それにコーヒーだ。私にとって初めてのベトナムコーヒー。カップの上にあのアルミ製のドリッパーが載って出てきた。底には練乳がいっぱい入っている。何と趣のあるコーヒーなのだろう。今ベトナムにいるのだと実感する。 お湯を注いでしばらく待つのだが、この気温ではちょっと冷めてしまった。練乳が甘く、コーヒーは濃く、独特の味わいだ。 さすがにパンはバゲットタイプのフランスパンで、こちらではバインミーだ。さりげなくナイフと一緒に皿に置いてある、1本のパン。ジャムはと言えば、少しだけ小さな皿に入れてある。そしてこれはジャムとは言えない色付きのゼリー。甘いだけで全く風味が無い。 ただ私にとっては、旅先での食事はこれで十分だ。普段の生活と同じなら旅の意味が無い。 狭い店内には、コーヒーを飲みながらガイドブックを読んでいる人もいた。 今日は王宮めぐりと旧市街歩きの予定をしている。雨はもう降っていなかった。晴れてはいないものの雨の心配はなさそうな天候だ。 宿を出てハノイ通りを歩く。もう通勤時間は過ぎていると思うのだがバイクは多い。道路には、黄色の星が入った赤の旗や横断幕が遠くの方まで掲げられている。ここには社会主義国の象徴を垣間見るような気がした。 フースアン橋を渡り、広場に出ると左側にフラッグタワーが見えた。そこから堀を渡ってガン門に入る。道は狭くなっているが、そこにバイクや車やシクロまで走ってくる。歩行者はちょっとだけ高くなった石の上を歩くのだが、これがとても危険でバイクに接触しそうになるのだ。 やっと通り抜けると王宮門が見えた。正面にホーチミンが手を挙げている肖像が掲げられている。石造りの門の上には、瓦が黄色い楼閣が建っている。 ここに入場料を払う窓口がある。55,000ドン(約220円)だ。薄っすらと太陽が顔を出し暑くなってきた。 王宮門をくぐると正面に大和殿がある。皇帝が執務を行っていた場所で、中国の紫禁城を模して建てられたそうだ。ここでも中国文化が色濃く反映されているようだ。漢字で《大和殿》と大きく書かれている。 そこから更に進むと左右には右廡・左廡と言う高級官吏の詰め所がある。文・武の官吏と言えば韓国の両班のようだ。 そしてそこから左右に渡り廊下が長く延びている。中庭のような空間はとても広い。 右側にある閲是堂は宮廷舞踊が行われた場所らしいが、このすぐ前には水中人形劇を行うための舞台設定がされていて、その案内も出ていた。 裏門まで行ってから再び王宮門へ戻り、ぐるっと一周した。そして王宮門の2階に上ってみた。眺望の開けた見晴らし台だ。大きな鐘や太鼓が置かれていた。鐘楼とか鼓楼の役目も果たしていたのではないだろうか。 東西には城壁と内堀がずっと向こうの方まで続いるのが見え、北側には大和殿が真正面に見える。 壁には当時の王宮の様子を描いた絵が掛けてあった。白や水色の衣装をまとった貴族たちが、王宮門の上に立つ王様に頭を下げている。門の前には左右に象が2頭づつ描かれている。正面の瓦は黄色で、その両側は緑色になっている。 平日だったせいか観光客はあまり多くなかったが、それでも欧米系の人達や中国人はあちこちで目に付いた。若い二人連れも多く、ここはデートスポットにもなっているようだ。世界遺産のこの建造物群はさすがに見応えがあった。 2.フォーン川沿いのドンバ市場へ 王宮を出て、水路に沿った道を歩いて行くと、そこにはすっかり庶民の生活があった。観光客も通るのか、衣料品店や飲食店が並んでいる。それでも殆どの店は随分と庶民的だ。 しばらく歩き、トゥオントゥ門からチャンフンダオ通りへ出る。この大通りにはショッピングセンターのビルがあり、KFCやロッテリアのロゴが見えた。中に入ってみると1、2階がCOOPの店になっていた。ぐるっと回ってみる。きずテープを買いたかったので、聞いてみたが無かった。実は、靴ずれしていて、しかも持ってきた傷用絆創膏は使い切ってしまっていたのだ。 それにしても客は殆どいないのに警備員の数がやたらと多い。 しばらく行くとバスターミナルがあり、小さなバスが何台か止まっていた。やはり屋根の上に荷物がしっかり載っている。どこへ向かうのか分からないけど、随分とローカルな感じだ。 その向こうに大きな市場が見えた。大通りからフォーン川の岸辺まで続いている。 市場に入り先ず薬局へ行ってみた。こんなごみごみした場所にある薬局でも、チョッと気位が高いようだ。傷テープの入った箱を見つけ買おうとすると、バラでないとダメだと言った。 日本では1箱100円で買えるこんな物も、こちらでは薬局扱いでしかも高い。4連になったシートを出された。バラ売りだった。それでもやっと手に入りホッとする。 市場は、1階には食料品や雑貨が、軒先やテントでは野菜や果物が売られている。2階は衣料品だ。 あちこち歩いていて食べ物の屋台街を見つけた。赤いテーブルとイスがたくさん並んでいる。 さて何を注文するか、辺りを見回してみた。やっぱり麺だった。 フエと言えばブン・ボー・フエだ。みんな同じような物を食べている。注文すると野菜の入ったどんぶりと一緒に出てきた。少し葉っぱも入れて食べた。 さすがにスーパーマーケットと違って、市場は人も多く活気がある。地面に並べられた野菜や果物を見ているだけでも楽しい。市場の外れ、フォーン川の岸辺でしばらく川を眺めていた。薄暗いテントの下ではおじさんが大勢いて、将棋のようなものに興じていた。 3.チャンティエン橋を渡って新市街へ戻る 市場からフォーン川に架かるチャンティエン橋を渡る。 この橋はバイクと自転車、それに歩行者の橋で車は通行できない。車はすぐ上流のフースアン橋を通行する事になる。ベトナムの交通事情からすれば、バイクにさえ対応していれば十分なのだろう。 そして古くて雑な造りでもあるこの橋は、継ぎ目の部分の隙間がかなり開いていて気になる。 橋を渡りフォーン川に沿ってレロイ通りを歩いて行くと、小さなスタンドのようなみやげ物店が、距離を置いていくつか並んでいる。店の人はと言えば、椅子に座って新聞を読んでいた。売っている物は殆どが外国人向けのみやげ物で、書画に人形、小物や提灯にノンラー(傘)だ。 フォーン川の観光船乗り場やチケット売り場も近くにあった。この時期は未だ雨季が明けてないから、オフシーズンに当たるのか、どことも観光客は少なそうだ。 しばらく行くとみやげ物店やカフェが立ち並ぶ、チョッとだけ賑やかな場所がある。この辺りはホテルやゲストハウスも多く白人の姿が目についた。 しばらくこの辺りを散策した後、フンブオン通りにあるロータリーまで歩き、少し先にあるビッグCへ行ってみる事にした。 なかなかきれいな建物だった。若者がたむろしていた。下の階はあまり用がないのですぐエレベーターでフードコートへ向かう。 このビッグCはタイの店とは比較できない位に、別物って感じだ。 フードコートは閑散としていた。それでもこの3階からの眺めは何とも良い。辺りに高い建物が少ないので遠くまで見渡せる。 フルーツジュースの店でマンゴーのジュースを飲んだ。その後、周囲の店を歩いて行くと、サイゴン・デリの店にはメニューの写真をいっぱい張り付けてあった。これだと書いてあるベトナム語は分からなくても注文はできる。その中の骨付き肉と卵焼き、野菜の載ったぶっかけご飯を注文してみた。学生のアルバイトがやっているようだ。雰囲気的に味は期待できなかったが、やはりその通りだった。 1階に下りて食料品売り場に行き、明日の非常食を探す。そしてマフィンの6個入り、果汁飲料3パック、ジャックフルーツチップを買った。 宿にに戻り、明日のダナン行きを考えた。バスターミナルまで行きたいが天気が不安だ。若し雨でも降れば厄介だ。フロントに案内が出ていたピックアップバスにしようか。 フロントに行って、明日のダナン行きのバスについて聞いてみた。しきりにここまで来てくれると言うが、ここは路地だ、バスなど入れる筈がない。多分、前の大通りでピックアップしてくれるのだろう。 そしてこのバスに決めて手配をしてもらう事にした。US$8、ちょっと高い。おじさんはしきりにあちこち電話している。未だ間に合うのだろうか。OKとは言わないがチケットはすでに購入してしまった。 このホテルのWi-Fiは、部屋では感度が悪く、ずっとフロント近くのテーブルで使っていた。夜遅くなると、フロントのおじさんがそのテーブルがいっぱいある所へマットを敷きにやって来る。今日も疲れたのか早々と眠ってしまった。こうなると私も長居はできないので、部屋に帰った。 Topへ 前へ ◀ ▶ 次へ |
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