メ コ ン の 流 れ と と も に    18
フエからダナンへ
ベトナム 3   2月 2日 (木)
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1.気候・風土の境界を越えダナンへ

フロントに行くと、昨日予約したバスは8時だったが、9時に変更になったと言われた。ホントに誰かがここまで呼びに来てくれるのだろうか。玄関前に出てそわそわしていると、「中に入って座っていたら」、と言ってきた。何度も電話が鳴っている。
9時少し前に、「バスが来たから、前の通りへ出るように」、と言って、おじさんが外へ出て行った。案内してくれるものだと思い、私も慌ててその後を追ったのだが、どこかへ消えてしまった。
てバスの方はと言えば、通りには見えない。リュックを引っぱり右往左往していると、向こうの方からゆっくりとやって来た。バスの方からすれば旅行者を見つける事など簡単なのだろう、係員が降りてきて、乗るように言ってくれた。
ちょっと古めだが普通のバス、乗客は半分位だった。その後、次々とホテルを巡回しピックアップを繰り返しながら進んで行く。しばらくするとほぼ席は埋まったようだ。やはり白人客が多い。

朝は雨も降っていなかったのだが、山道に入るとワイパーが動いていた。
フエとダナンの間には496mのハイヴァン峠があり、ここを境に気候風土がすっかり変わるそうだ。南シナ海からの湿った風が山脈に当り雨を降らせる。フエの雨季は9月~1月だがホーチミンでは5月~10月だ。
バスは峠道をゆっくりと登って行く。そして長いトンネルに入った。
隣の席にはベトナム人のおじさんが座っていて、その人がよく喋るのだ。モータサイをやっているそうなのだが、しきりにホイアンを自慢する。名刺までいただいて、「是非電話してくれ」、と言うのだ。

ダナンまでは4時間程かかったのだが、途中で一か所だけ休憩用の店に入った。食事やみやげ物店の場合はトイレがタダになる。それ以外のバスターミナルだと有料だ。
みんなトイレを済ませ、食事をする人もいた。私は付近の景色が気になり、路地に入ったりしながら写真を撮った。
狭い駐車場には次々とツアーバスが入って来る。

山道から海岸線に出ると、すっかり景色が変わった。白い砂浜のビーチが延々と続いている。道路も真っ直ぐできれいだ。ベトナムらしさを感じさせない。
しばらくして、線路を横切り市街地に入った。慌てて地図を見てみる。ダナンのどの辺りに降ろされるのか心配だ。宿との位置関係がとても気になった。



2.チャンフー通りで下車し、ホテルへ向かう

大通りの端にバスが停まり、「ダナンはここで降りるよう」、言われる。私はこのバスはダナン行きとばかり思っていたのだが、ここで降りたのは5名程だった。他にダナンのどこまで行くのだろう。バスは乗客を降ろすとこの通りを真っ直ぐ走って行った。

通りの標識を見ると、『TRN PHU×HOANG VAN THU』 になっている。地図で確認すると、ハン川に沿ったチャンフー通りの南の方だった。ホテルも多く観光客が集まりそうな場所だ。私の泊まる宿は、『グエンヴァンリン通り×ハムギー通り』、の近くだから好都合な場所だった。
大通りを西へ向かって歩く。道幅も広くきれいに整備された通りだ。

ダナンはベトナム中部最大の都市であり、ベトナム戦争当時アメリカの軍事基地があった所だ。一時、北軍に占領された時、アメリカ軍が猛烈に攻撃を加え街を焼き尽くした。
今ここを歩いていても、そんな面影は全くない。穏やかできれいな街並みだ。バスから見た白い砂浜のイメージもある。
今もベトナム軍やアメリカ軍の重要な軍事基地があるのだろうか。ラオスから乗ったバスにいた、迷彩服の男もダナンへ向かっていた。

歩きながら、ふと気が付いた。あのピックアップバスはホイアン行きだ。フエからダナンへの観光客がそんなにいる訳がない。ここは観光客には素通りされるらしいのだ。フエからホイアンだと絶好の観光ルートだし、それで殆どの人が降りなかったのだ。

宿は苦労無く見つける事ができた。大通りを一つ入った通りにあった。いかにも安宿が集まるって感じの通りだ。”KARAOKE”の看板もよく目につく。
フロントでPCのバウチャーを見せる。ベトナムではチェックインの時、パスポートをフロントに預けさせられる。ポリスに持っていくらしいのだ。それでパスポートはその日の22時まで返してもらえない。
できるだけ早く列車の切符を買っておきたかったのだが、パスポートがなくては切符は買えない。それでも一度ダナン駅へ行ってみる事にした。
宿からはハムギー通りを真っ直ぐ北へ行くと突当りのようだ。
通りの左右に池があり、釣りをしている人がいる。道端のスタンドでは新聞や飲み物を売っていた。ベトナム人は新聞を読むのと、お金を数えるのが大好きなようだ。
駅へ近ずくにつれて、ごみごみした独特の雰囲気になってきた。ここでは、歩道はバイクを置く場所だ。歩行者はそこを歩けない。ぎっしりバイクが並んでいる。役所も公認なのだろう。確かによく考えれば、あれだけのバイクが走っているのだから、当然こうなるのは分かる。
途中、リータイトー通りとの交差点にKFCがあったので、チョッと入ってみた。ベトナムらしい料理メニューをさがして注文してみる。テーブルまで運んでくれるそうだ。果たしてその料理は。やはり食事は食堂に限る、と思い知らされた。何とも味気ない料理だった。
駅に着いた。待合室に何人か座って列車を待っているようだ。大きな都市だが列車の本数は多くない。掲示されている時刻表を見た。パスポートさえあれば買えるのだが。

駅前にはテーブルや椅子が道路まではみ出した食堂があった。日本だと、ずっと田舎にある駅前の風景だ。


3.ダナン・コン市場の喧騒

駅から歩いてコン市場へ行ってみた。レズアン通りから南へ少し行くと、大きな建物と人混みが見えてきた。斜め前にはビッグCの大きくきれいな建物も見える。市場の前は大勢の人やバイクでいっぱいだ。この大きな交差点も通行量が多い。
建物の中は狭い通路が縦横に走り、衣料品の店がぎっしり並んでいた。これはちょっと歩けそうもない。すぐ裏側の方に出た。野菜や果物の露店がいっぱいあり、全くの露店状態の食べ物屋も並んでいた。客が前に座り、マンツーマンで授業でもしているように見える。低いイスに一列になって何かを食べているようだ。
慣れないと、チョッとこの仲間には入れそうにない。イスにさえ座ってしまえば、辺りを気にする事なくマイペースでいいのだろうが。
人混みに圧倒され、早々に市場から退散した。
そして斜め前にある、ここでは多分一流デパートのように見えるビッグCを覗いてみた。市場の喧騒を見た後だけに、中の通路は閑散としているようにしか映らない。整然としていて、地元民の生活感がしない。私にはやはり市場の方が楽しい。
特に買いたい物もなく、中をぶらぶら一周し、こちらもすぐに出た

グエンホアン通りを南へ歩き、グエンヴァンリン通りまで戻った。すぐ近くに『フォー24』、が見え入ってみる事にした。ベトナムでは有名なチェーン店だし日本にも店がある。
フォーは最も庶民的な食べ物だと思っていた。ところがこの店は少し違っていた。店内は空調が効いていて涼しい。ピカピカのカウンターがあり、凄く清潔な感じがする。まるでレストランだ。照明も多少控えめだ。その分値段は少々高めになっている。

味の方はと言えば、そこそこ、あまり美味しいとは思わなかった。野菜もたっぷりお皿に出してくれ安心して食べられるが、何かもの足りない。客も殆どいなかった。
私の感覚では、こんな庶民食はそれらしき雰囲気のする、大衆食堂の方が良い。目の前の調理場で、さっと茹で上げた麺にスープを注ぎ、はい一丁上がり、がいいのだ。
野菜や葉っぱはきれいに洗ってあるのか心配だが、この店だと安心して食べられる。
フォーは米の麺にあっさりしたスープを入れたのが殆どのようだが、そのまま食べると、私には少し物足りなく感じられる。

ベトナム料理は香草がきつく味はあっさりと言ったイメージだ。実際にタイやマレーシアのように辛くない。
麺好きの私は、これからの旅先で、どんな美味しい麺が食べられるか楽しみにしている。



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峠の山道を越える。少し雨も降っていて辺りの景色はよく見えない。

バスの休憩所付近。鶏が放し飼いにされ、何とものどかだ。

ここでバスを降ろされた。ダナン大聖堂から4ブロックくらい南。ここから宿までグエンヴァンリン通りを西へ歩く。

2度もやってきたダナン駅。チケット窓口は全くの公務員の態度だ。

市街地の中心にあるコン市場。大勢の市民で賑わっている。

コン市場にある外の通路には、全くの露店で食べ物屋が営業していた。

夕暮れのグエンヴァンリン通り。この少し先はハン川になっている。